タ・プローム

アンコール・トムの東に位置するタ・プローム
巨木の根が建物にからみつく遺跡は日本人に人気です。
2002年1月訪問

定番写真です



タ・プロームはジャヤヴァルマン7世が12世紀末に母の.ために建てた仏教寺院で、王の母になぞられたプラジュニャーパーラミータ(般若波羅蜜多菩薩)が安置されていました。
東西1000m、南北700mの周壁に囲まれた大きな寺院で、かっては5000人の僧侶が暮らしていたと伝えられます。しかし、後にヒンズー教寺院に改修されたということで、仏教的なレリーフは余り残っていません。

広大な寺院なのですが、この遺跡では自然の力を明らかにするために樹木の除去を行っていないため、熱帯の樹木が建物に根を張り巡らす様を見ることができます。自然が創った不思議で神秘的な風景は日本人に特に人気です。


東門を入ってすぐに、美しいレリーフがあります。

これは「髪の長い女の子」のレリーフ。

日本では余り知られていない仏教の伝説です。

お釈迦様が瞑想しているのを阿修羅が邪魔しようとしたので、髪の長い女の子が髪の毛で池の水を吸い上げ、お釈迦様の瞑想場所の周囲に水を移し、水位を高くして、阿修羅が入ってこれないようにした、というお話。

よく分からない話ですが、要は髪の長い女の子がお釈迦様の瞑想の邪魔をしようとする阿修羅からお釈迦様を守った、ということでしょうか。

女の子は右の写真の上の方。

蓮の花の上で髪の毛を絞っている姿が彫られています。

象やら、アプサラが綺麗です。

このような女性の仏教説話が彫られているというのも、この寺院が王の母のために建てられたものだからでしょうか。

かっては、このような美しいレリーフが寺院のいたるところを飾っていたのだと思うのですが・・・。


遺跡に足を踏み入れると寺院そのものよりも、巨木が作り出す風景に見とれてしまいます。

東門近くの回廊を押しつぶしそうな巨大な根がありました(左下)。
ヘビのように根を這わしている木もあります(右下)。

   



遺跡内部は崩壊が進んでいて、通れなかったり、近寄れない場所も多いです。
しかも、木を切っていないからか、ジャングルの中のように薄暗い・・・。
まるで障害をすり抜けながらダンジョンを進んでいる気になってきます。
結構迷子になりやすいとのことですが、確かにどこをどう歩いてきたのか分からなくなってきました。





ところどころに美しいデバターが残っています。
レリーフを探すのはダンジョンを進みながらお宝を探している気分。

   



美しい祠堂にも根が迫っています。不思議な美しさです。





これは凄いですね。こうなるまでに何年くらいかかるのでしょうか。





屋根が落ちてしまったのでしょう。レリーフが美しいのですが近寄れません。





中央祠堂近辺だと思うのですが・・・。
建物を飾るレリーフが見事です。苔むした壁面は幻想的な美しさ。

   



中央祠堂のそばに、もう何が何だか分からない状態になっている木がありました(左下)。
回廊を押しつぶそうとしているように見える木も・・・(右下)。

   



色が残っているのでしょうか?





自然のままに放置されたタ・プロームは、苔むした建物に巨木の根が這い回り、幻想的な空間になっています。ジャヤヴァルマン7世が母親のために建立した寺院なのですから、往時はさぞかし素晴らしい寺院だったと思うのですが、どうしても気が付けば巨木ばかりを撮っていました。


アンコール・トム周辺は見どころが多いですが
時間がなくても見た方がいい遺跡のひとつのような気がします。
この雰囲気は、他でなかなか味わえません。


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参考文献

アンコール 遺跡を訪ねる旅 日本語版(ARCHIPELAGO PRESS ディエリー・ゼフィー箸)

基本的にガイドさんの説明に基づいてまとめています。