シナイ半島と聖カタリナ修道院

モーセが十戒を授かったシナイ山
シナイ山の御来光を見るため、スエズを越えてシナイ半島へ
シナイ山麓の聖カタリナ修道院は世界最古の修道院です。
2005年1月訪問

写真はシナイ山からの眺め


標高2285mのシナイ山はモーセが十戒を神から授けられたとされるキリスト教屈指の聖地です。そのシナイ山での御来光を拝み、山麓の世界遺産・聖カタリナ修道院を目指すため、カイロのホテルを出発したのが朝の8時。トイレ休憩のためスエズ運河手前で降りたのが10時。約2時間でスエズ運河に到着しました。スエズを越えればアジア。アフリカとアジアの境を越えることになります。

もっとも、スエズ運河、私たちはトンネルで移動します。だから見えません。しかも、トンネルに入る下り坂では左右の警備兵たちが、しっかりと銃口を下に向けているのであります。カメラ構えたりする人がいると、馬鹿、撃たれたらどうする、という罵声が飛び交い、ここは、やっぱり要衝の地であることを実感。で、緊張のスエズ運河ですが、わずか2・3分で通過。アジアに戻ってきました。

左下はスエズ運河下のトンネル内。上には運河があるはず。
右下はトンネルをアジア側に出たところ。後ろにトンネルが写っています。
   

スエズ運河を越えると、こんどはバスはスエズ湾・紅海沿いにひたすら南下します。

途中、モーゼの泉というところを見学したりしながら、ひたすら南下。

分かりにくいと思いますが、右の写真がモーゼの泉を撮ったもの。

手前に丸く石が組んであるでしょう?
それが泉です。
泉というか、井戸みたいなものですね。

一つじゃなく、いくつもあります。
ここらへんでは泉は貴重なんでしょうね。

日本でお大師様が、いたるところで杖で泉を作ってますが、それと同じで、モーゼも色んなところに泉というか井戸を作ったと言われています。

すぐ近くには青いスエズ湾。バスはスエズ湾・紅海を見ながら、ひたすら南下します。

お昼を食べたレストランはスエズ湾・紅海沿いのリゾートホテルのレストラン。

プライベートビーチとかもあるホテルで・・・実に、綺麗な海でした。
ということで、海の風景を少し。

実に綺麗な海です。沿岸に大都市も工場もない紅海は世界一美しい海とも言われるそうです。

   

美しい紅海はダイバーにとって憧れの海ということで、最近はリゾート開発が進んでいるらしく、新しいホテルもたくさん建ってました。ヨーロッパからは近くて、いいんでしょうね。

バスが紅海を離れ、シナイ半島内陸部に入ったあたりから記憶がない。どうやら爆睡してしまったようです。現地ガイドさんが、イスラム風のノアの箱舟のお話とかしてくれてたのは、おぼろに覚えているのだけれど。



シナイ山

気が付けば、こんな山の中でした。

ここは、オアシスなので緑がありますが、周囲はほとんど後ろの岩山みたいな荒涼とした場所。

シナイ山に近づくにつれて、荒涼さは増して行きます。

日本の山と違って木が一本も生えてない山々。

こんなところをさまよい続けたユダヤ人、きつかったろうなあ・・・と思いつつも、こんな荒涼とした山の上でわざわざ十戒を授けるなんて、神様は随分と試練を要求するものだとか思ったりもします。

さて、シナイ山、ほんとに、登るべきか・・・。

計画は、深夜2時にホテルを出発し、5時半までには山頂に上って、日の出を見ようというもの。

山頂は2280m、麓は1500m。

階段が全部で3800段という噂です。まあ、最初の3000段は危ないから新しくできた道を行くという話しでしたが。

泊まったホテルが結構いいコテージ風のホテルだったので不貞寝計画も立てたのですが、シナイ山が2回目と言う人から「ラクダだと楽よ」という知恵を付けてもらいました。

「ラクダは楽だ」という余りにも使い古したフレーズながら、大きく心を動かされ、夜中の1時に予定通りに起きてしまったので出発することに。

登山口の最初の方で一人ラクダさんに乗って、ラクダ道に分かれて・・・ちと寂しいけど、いつの間にかラクダ引きのおじさんがどんどん客を捕まえてくるので、結構、にぎやか。
わたしのラクダを引いてたおじさんが、客引きに行ったまま居なくなってしまったときには驚きましたが、なんと、ラクダさん、一人(匹?)でどんどん登って行きます。

意外と賢い。どうも、このラクダさん達、ベドウィンが共同で管理しているらしい。

駱駝の背中は馬やロバに比べて広いので、案外、安定も良く、30分もすると眠くなるほど
・・・・とはいえ、どんどん夜明け前の寒さが厳しくなってくるので、さすがに眠りはしませんでしたが。見上げると月や星が綺麗だ〜。いいなあ〜。こういうの。上を向いて行こう〜〜。

ラクダに揺られて1時間半くらい・・・最後の階段前のレストハウスに到着。料金も10ドルでそれ以上、ぼられませんでした。・・・・しばらく寒さに震えながらお茶を飲んでいると、ツアーのみんなが到着。結構、疲れ果てているメンバーもいるみたいで・・・ラクダは正解だったみたい。

で、これから、最後の800段。これは自力で登るしかない。正直、冷え切った体ではきついけど、救われるのは、大混雑だということ。キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒・・彼らにとっては共通の聖地なので、大混雑なのですよ。おかげで、休み休み登ることになるので、なんとか登れるんですね。私みたいな体力なしの根性なしでも。

そして、暗い山頂で大混雑の中、日の出ポイントを探す・・・・なんとか上手く、もぐりこみました。寒さの中、山頂備え付けの毛布を身体に巻いて、御来光の時間を待ちます。


雲が出ているようです。既に日は昇っているはずなのですが・・。



雲が黄金色に染まってきました。



太陽が雲から現れました。美しい。


一斉に山頂から湧き上がる大歓声と大拍手。
この感動は宗教を越えて万国共通のようです。

さあ、後は、お茶で体を温めなおして、下山するのみ。
が、しかし、明るくなって初めて、自分達が登ってきたのがどういうところか、知って・・・青ざめる・・・。
よく登ったね、こんなすごいところ・・・・ちなみに白いのは霜です。
すべって、かなりコワイ。最初に登ったモーセはやっぱり偉大です。
普通、一人でこんなところ登れませんよね。信仰というものは、凄いものなんですね。

   


下山には、2時間くらいかかりました。途中、お仕事を終えたラクダさんたちが休んでいます。わたしを乗っけてくれたのは、どの子なんでしょう。いっぱいいて、わかんない(笑)。
しかし、ラクダさんは楽でした。別にベドウィンにリベートもらってませんが、体力ないからと諦めずに、ラクダさんに乗って挑戦しましょう。どうせ最後の階段は大混雑だから休み休み登ることになるし。山頂からの日の出は本当に感動的です。ここまで来て御来光を諦めるのはもったいない。

   


一度、ホテルに戻って朝食を食べてから、聖カタリナ教会の観光です。



聖カタリナ修道院


聖カタリナ修道院は、シナイ山の麓にある世界遺産にもなっている修道院。

右は下山するときに撮ったもの。荒涼とした風景の中にあります。

ここにはモーセが山に登ろうとしたときに、燃えているのに燃え尽きない「燃える柴」があったといわれる場所があり、4世紀に「燃える柴」礼拝堂が建てられました。

その後、6世紀半ばにビザンティン皇帝が聖女カタリナを記念した修道院を「燃える柴」礼拝堂の周囲に修道院を建てたのが始まりです。

ビザンティン皇帝によって建てられたことからギリシャ正教の修道院で、現在活動している修道院としては、世界最古の修道院とされています。

聖カタリナというのはキリスト教徒であることを宣言してローマ軍に処刑された聖女です。
聖女は近くにあるシナイ半島最高峰の2642mの山で処刑され、その後、遺体は300年山頂に置かれ、その後、聖カタリナ修道院に安置されたと言われています。


まるで要塞のような修道院の外観




この修道院も信仰心あふれる人たちで大混雑。

写真は修道院内の聖カタリナ教会堂の入口
内部は写真撮影禁止ですが、多くの見事なイコンがありました。




左下は「燃える柴」礼拝堂を横から撮ったもの。神がモーセの前に現れた場所です。
右下は鐘楼

   


聖カタリナ教会をひととおり見た段階で、もうお昼近く。
本日の観光はこれにて終了。なんせ、夜中の2時から動いてますし。
後はひたすら昨日と同じ道をカイロに戻ります。


疲れで爆睡していた私たちでしたが、なんと、途中、激しい雨で目が覚めました。
雨はどんどん激しくなってきている・・・・
昨日ランチを食べたレストランについたころには、もう、雨と砂嵐が吹き荒れて、台風より凄い状態。
めったに、こんなことはないらしいけど・・。
誰か、神の怒りに触れたのか?
シナイ山で、馬鹿やったのがいるのか?
思わず不安になるツアー一行。

しかし、

雨が上がって、カイロに戻る途中、砂漠に虹が出ました。
エジプト人にとっても珍しいことらしい。
だから、きっと、この虹はいい「しるし」なんだと思います。

   



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参考文献

21世紀世界遺産の旅(小学館)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。