クノッソス宮殿 ギリシャ本土に先立ちクレタ島で花開いたミノア文明 伝説のミノス王にちなみ名付けられた文明です。 ミノス王の迷宮と言われるクノッソス宮殿を訪ねました。 2016年9月訪問 写真は遺跡の北入口
下の写真はイラクリオンの考古学博物館に置かれていたクノッソス宮殿の復元模型。
もっとも、遺跡に残されている壁画などは全てレプリカなので、 オリジナルがあるイラクリオンの考古学博物館を合わせて訪れないと魅力半減かもしれません。 遺跡とイラクリオンの考古学博物館の展示をあわせて紹介します。 遺跡の観光は宮殿の南西部から始まります。 遺跡入口付近 エヴァンズ卿の胸像の近くは一見、地味な石組み。 これはかっての宮殿の通路で行列の回廊と言います。 行列の回廊
もっとも遺跡には壁画は残っていないのでイメージが湧きにくいのですが・・・ この後行ったイラクリオン考古学博物館に献上行列の説明図がありました。 写真中央より、やや右側に立つ女性は女王か女神とされています。 行列の回廊は地震で崩れていて先には進めません。 左に折れると、エヴァンズ卿が復元した場所が現れ始めます。
ここで宮殿の構造の説明が始まりました。
遺跡に入って最初に目にする壁画も印象的です。 捧げ物を持って並ぶ男性たち。色々な壺を持っています。
遺跡に戻ります。 献上行列の壁画のすぐそばには大きな壺がいくつも置かれていました。
聖なる牛の角のすぐ先に美しい「百合の王子」の壁画があります。
百合の王子の壁画の先は広い中庭です。 中庭
中庭西翼
この宮殿西翼部分は宗教及び政治の中心部だったのではないかと考えられているそうです。 玉座の間 控えの間から奥の部屋を覗くことができます。
奥にある扉の向こうには小部屋があって、王の瞑想の間とも宝物庫とも言われているそうです。 更に興味深いことに、玉座の間の左隣は一段低いプールのようになっています。 いったい、何のために、どのように用いられたのでしょう? 不思議な玉座の間 オランダのハーグ国際司法裁判所の裁判長の椅子は、この玉座の間の玉座を模しています。 「ミノス王はこの世で最初の裁判官」と伝えられているからです。 「ミノス王は善政を布き正義を守り、近隣の諸国を武器によらないで来貢させ 勢威が大いに振るった」との古い伝承もあるそうです。 ミノタウロスの神話とは全く別のイメージですね。 遺跡からはこの古い伝承の方が正しいんじゃないか、って感じます。 それにしても、グリフィンの壁画は美しい。 グリフィンは女性を守る形で描かれることが多いことから グリフィンに左右を守られた玉座に座っていたのは女王・女神官だったとする説も有力なんだとか。 玉座の間の左側の階段を上がると壁画のレプリカが置かれた部屋があります。 その周辺の2階部分は、宗教的儀式を行った場所(左下) そして、階段を上がらず通り過ぎて、そのまま左に進むと宝物庫(右下) 宝物庫では有名な蛇の女神像が見つかりました。 イラクリオンの考古学博物館で展示されています。
中庭東翼
中庭から見下ろせる場所に赤い柱の並んだ回廊?部屋?がありました。
近くで見たいけど、中庭からは降りられないようです。 少し進むと、中庭に面した場所が倉庫になっていました。 大きな壺と床に空いた穴・・・この中に金銀銅があったそうです。 この倉庫の入口部分は煤で汚れています。 かって宮殿を襲った火災の跡と言われているそうです。 この倉庫を奥に進んだら扉があったのですが、鍵がかかっていて入れません。 修復中なんでしょうか。扉の隙間から赤い柱と綺麗な壁画が見えます。 さっき見下ろした赤い柱が並ぶ回廊?のようです。 結構、日の光が入っていて、気持ちよさげな空間。 イラクリオンの考古学博物館で、オリジナルを見ることができました。 盾の壁画と言われているそうです。 8の字型の盾はギリシャ本土で興ったミケーネ文明の特徴です。 クレタは紀元前1450年ころミケーネの侵攻を受け、クノッソス宮殿も占拠されました。 もしかすると、そのころの壁画なのかもしれません。 東翼では宮殿の上下水道を見ることができます。 左下は宮殿の雨水を外に流すもの。家畜等に使用されました。 右下は、人々が飲む水道の管。ピントが上の鉄格子に合ってしまいましたが、下の管がそれ。 現地ガイドさん曰く、東翼の倉庫跡周辺が迷宮と言われる由縁なのだとか。 なんでも行き止まりの部屋が多いのだそうです。 このまま北に進むと北の入口にでるのですが、 ちょっと戻って 中庭の東側の階段を下りていくと、王の間に出ます。 自由時間に目指してみましたが、かなり道が分かりにくく、ガイドがいないと迷います。 何階もの構造になっているので平面的な地図だと場所がつかみにくい。 自分でも、どの道を進んだのか良く分かりません。さすが迷宮。 王の間 黒い柱が印象的 王の間の左奥が王妃の間です。 王妃の間
イラクリオン考古学博物館にオリジナルが展示されています。
王妃の間の左隣には王妃の浴室や更に進むと王妃のトイレがあるのですが、残念ながら修復中 ただ、イラクリオンの考古学博物館に浴槽のオリジナルが展示されていました。
王の間に戻って先に進むと、そこは双斧の間 ミノア文明のシンボル双刃の斧を飾った場所だったそうです。 正直、地味な場所で特別の場所と気が付きませんでした。 こちらは自由時間にさ迷っていた時に撮った写真 西翼の北側あたりだったかもしれません・・・。 中の柱は階段みたいになってます。本当に興味深い宮殿。 北入口
ここからだと壁画(レプリカ)の全体像が分かるでしょうか。 この壁画もイラクリオンの考古学博物館でオリジナルを見ることができます。 この壁画も百合の王子と同じく立体的な浮彫壁画。 オリジナルの方が、数段、格好良い。
北の入口を出て、少し西に進むと劇場と呼ばれる場所に出ます。 劇場
劇場の近くから立派な石敷きの道が続いています。 王の道 3500年以上前の道と思うと感慨深い。 クノッソス宮殿凄い面白かった。 数階建てなので迷います。まさに迷宮。 こんな遺跡他にはない。 エヴァンズ批判はありますが復元加減もちょうど良かった。 ただ、壁画は全てレプリカなので イラクリオンの考古学博物館とセットで訪れるのがおススメ。 ギリシャと周辺の遺跡に戻る 参考文献 クノッソス ミノア文明 ソソ・ロギアードゥ・プラトノス著(遺跡で購入した解説書) 古代ギリシャ・時空を超えた旅(2016年東博展覧会図録) ギリシャ神話 呉茂一著 新潮社 ギリシャの神話神々の時代 カール・ケレーニイ著 中央公論社 図説ギリシャ・エーゲ海文明の歴史を訪ねて 周藤芳幸著 ふくろうの本 図説ギリシャ・神話神々の世界篇 松島道也著 ふくろうの本 図説ギリシャ・英雄たちの世界篇 松島道也・岡部紘三著 ふくろうの本 古代地中海血ぬられた神話 森本哲郎編 文春文庫ビジュアル版 古代ギリシャがんちく図鑑 柴崎みゆき著 バジリコ株式会社 基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。 |
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