ヴェルギナ(アイガイ) マケドニア王国最初の都 アレクサンダー大王の父と息子の眠る地 ヴェルギナの博物館を訪れました。 2018年10月、2019年12月訪問 写真はヴェルギナの太陽と呼ばれるフィリッポス2世の納骨箱
ヴェルギナ(アイガイ)はテッサロニキの南西約80q。高速で約1時間のところに位置します。 マケドニアの2番目の都であるペラの南。ペラからも車で約1時間。 4つの墳墓は埋め戻され、丸ごと地下博物館となっています。
盗掘された墓では副葬品などは失われていたのですが そのうちの1つからは見事な壁画が発見され、実物大で写真展示されています。 ハデスがペルセポネを略奪するシーンです。
ハデスとペルセポネ
この壁画はマケドニア絵画の素晴らしさを示す大発見とされました。 ギリシャ彫刻は見事ですが、絵画というと壺や皿に絵付けされたものくらいしか見た記憶がありません。 この時代にこれだけの壁画が描かれていたとは・・・ それでも、博物館最大の見どころは やっぱりアレクサンダー大王の父・フィリッポス2世の墓と副葬品。
大量の馬具も副葬品とされていました。 黄金の矢入れ。レリーフが素晴らしい。 黄金の胸当て 王の遺骨が入れられた黄金の納骨箱と豪華な金の冠
豪華な冠は樫の葉を模したもの。樫の実(どんぐり)が見えます。 樫の木はゼウスのシンボルなので王者の象徴とされたのでしょう。 納骨箱は棺に入れられ、棺は装飾された寝台の上に置かれました。 棺を置く寝台にはマケドニア独特の装飾が施されています。 フィリッポス2世やアレクサンダー3世の象牙の浮彫も施されていました。 象牙のレリーフは非常に小さいものですが、精緻な彫りが見事です。 左がフィリッポス2世。中央がアレクサンダー3世とされています。 小さいうえに象牙の彫刻は大変時間がかかるものであるため、 これらのレリーフは王の生前に作られていたのだろうとのことでした。 王の墓は前室と後室に分かれていて王は後室に葬られていました。 前室からは20代の女性の骨を収めた納骨箱も見つかっています。
彼女の副葬品として豪華な金の冠と100枚の金のメダルが見つかっています。 こちらも素晴らしい。細かい花の細工が見事です。 写真だと分かりにくいですが、実物は黄金の輝きがまぶしいばかりです。 王の墓は階段を下りたところにあります。 発掘の時、墓が崩れることを恐れて天井から掘り進められました。 そのため、この扉は王の葬儀の際に閉められたままとなっています。 保存状態はあまりよくありませんが、霊廟の上部には壁画が描かれています。 フィリッポス2世とアレクサンダー3世の狩りの場面です。
左が父フィリッポス2世。右が若き日のアレクサンダー3世(後の大王)
もう1つの未盗掘の霊廟からは10代の少年の遺骨が見つかりました。 アレキサンダー大王の息子であるアレクサンダー4世と考えられています。
棺を置くベンチを飾っていた象牙製のレリーフ マケドニアの都は前5世紀にペラに移ります。 実際、フィリッポス2世もアレクサンダー3世もペラで生まれています。 しかし、これらの墓の発見から、ペラ遷都後もアイガイは祭儀の中心地だったと考えられています。 見学はできませんでしたが、博物館の近くには王宮や劇場跡などの遺跡も残っているそうです。 フィリッポス2世の暗殺現場と言われる劇場や王宮跡には行ってみたいなあ 2018年に最初に訪れた時に遺跡が写っているので購入した絵葉書 絵葉書の左下は象牙のフィリッポス2世像。右下は象牙のアレクサンダー3世像。 この2人、父子だけあって顔が似てると思いませんか。どっちもちょっとたれ目。 2018年に訪れた時は博物館内写真撮影禁止だったので土産物屋で本も2冊買いました。
本当に素晴らしい、見ごたえのある博物館でした。 実は今でもフィリッポス2世の墓とすることに異議を唱える説もあるのだそうです。 展示品を見る限り間違いないように思えるんですが・・・ いずれにせよマケドニア王家の墓であることは間違いがないようです。 王家の霊廟は元々は人々が参拝できるようになっていたものを ローマ侵攻時に、略奪を避けるため、埋めて隠したということでした。 アイガイは地震によって1世紀以降衰退し、街も王墓も人々から忘れ去られました. ギリシャと周辺の遺跡に戻る 参考文献 古代ギリシャ・時空を超えた旅(2016年東博展覧会図録) アレクサンドロス大王の父 原随園著 新潮選書 図説ギリシャ・エーゲ海文明の歴史を訪ねて 周藤芳幸著 ふくろうの本 図説アレクサンドロス大王 森谷公俊著 ふくろうの本 古代ギリシャがんちく図鑑 柴崎みゆき著 バジリコ株式会社 基本的には現地ガイドさんと添乗員さんの説明を元にまとめています。 |
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