ジャンタル・マンタル

ラージャスタンの州都ジャイプル
ピンクシティと呼ばれうるこの街には今もマハラジャが住んでいます。
マハラジャの造った天体観測所ジャンタル・マンタルは世界遺産に登録されました。
2005年12月訪問

写真はジャンタル・マンタル


ジャイプルはデリーの南西約266キロのところに位置するラージャスタン州の州都です。ラージャスタンというのは戦いが得意で勇猛さと独立心の強さで知られたラージプートという人たちの国だったところ。そんな勇猛果敢なラージプートの中でも特に有力だったのがカチワーハ家の王国・アンベール王国。カチワーハ家は当初ジャイプルの郊外のアンベール城を都としましたが、18世紀前半にサワーイー・ジャン・スィン2世がジャイプルに都を移します。
ジャイプルにあるジャンタル・マンタルはジャイプルの街を築いたマハラジャのサワーイー・ジャイ・スィン2世が造った天体観測所。サワーイー・ジャイ・スィン2世はインドの5カ所に天体観測所を造りましたが、ジャイプールのものが最も巨大で数も多く、2010年には世界遺産に登録されました。


ジャンタル・マンタルには天界観測のための機器が数多くあります。
これは最も巨大なサムラート・ヤントラ。
巨大な日時計で2秒単位で観測できるそうです。
肉眼で天体を観測していた時代、巨大なほど精巧に観測できると考えられたんですね。



天体観測機器というべきなんでしょうけれど、巨大すぎて建物のようです。高さは27,4m。登ることもできますが結構階段がキツイ。でも登るとジャンタル・マンタル全体を眺めることができます。

下の写真はサムラート・ヤントラの上から移したジャンタル・マンタル。並んでいるのは全て天体観測に用いられるものなのですが、まるで色々なオブジェが並ぶ野外美術展のようです。


手前にある黄色くて階段の付いているのはラーシ・ヴァラヤ・ヤントラ
12星座を観測する物で全部で12あります。
右手に地面に半球状の孔のようなものが2つありますが、これはジャイ・プラカーシュ・ヤントラ
中央奥にある細い壁が円形に並べられている2つはラーム・ヤントラ


下の写真で左の赤い三角形で階段があるのがラグ・サムラート・ヤントラ
その右の黄色い壁に赤い円形のものがついているのがナリ・ヴァラヤ・ヤントラ


他にも色々あるのですが、正直、名前を言われてもよく分かりません。

多くのインド人が来ていましたが彼らも野外美術展か遊園地に行くような感覚なんじゃないかな。
子供たちが結構多かったです。

下の写真の左端に赤い柱に円形のものが付いているのは子午線の通過時間を観測するもの
黄色い細長い壁が並んでいるのは太陽と月などの高度と方位を観測するもの



12星座を観測するラーシ・ヴァラヤ・ヤントラのうち魚座を観測するもの
どうせだから自分の星座のものを写してみました。


インドの人たちは今でも非常に星占いを重視しています。
結婚とか人生の重大事には星占いを参考にするのだとか。
天文学が盛んになったのも星占いとの関係が大きいようです。
12星座それぞれに専門の観測機器を造ったというのも精巧な占いをするため。



これは「巨大な日時計」ということが理解しやすい構造
20秒単位での観測が可能



地面に半球状に彫られていて、中がいくつもの壁で仕切られています。
この中に入って観測をするのだそうですが、正直、どういう仕組みになっているのかさっぱり・・・
細い線が描かれているので、それで計測するんでしょうけれど・・・。



ジャンタル・マンタルはシティ・パレスに隣接していて近くには風の宮殿もあります。



シティ・パレス

現在もマハラジャが暮らすシティ・パレス
ジャイプル市内の中心部にあります。


ジャイプルは元々、カチワーハ家の王国・アンベール王国の都だったところですが、市内中心部のシティ・パレスには今でもマハラジャが住んでいます。マハラジャが住んでいるのは上の写真奥の黄色い建物。でも、さすがにここは見せてもらえなくて、その代わりに周囲の宮殿を利用した博物館を見学できるようになっています。象さんに乗って戦った時の大きな刀が展示されている武器博物館や、細密画や絨毯などが展示されているアート・ギャラリー、そして、かっての王族達の衣服が展示されているテキスタイル館など。


テキスタイル館となっているムバーラク・マハル
19世紀にイギリスの建築家サミュエル・ジェイコブが設計したもので
かっては賓客の宿泊施設だったということです。

マハラジャ達の豪華絢爛な衣装は実に見ごたえがあります。
凄い面白かったけど、凄い混んでました。



こちらは謁見の間
ここの見どころは大きな銀の壺。世界一大きな銀の壺だそうです。
マハラジャがイギリスに行った時に毎日沐浴できるように
ガンジス河の水を入れてイギリスまで持って行ったんだとか。




大理石の象と衛兵さん。





風の宮殿

ピンクシティとも呼ばれるジャイプルを代表する建物が、この風の宮殿でしょう。



シティ・パレスの東側、バザールの大通りに面した美しい建物が風の宮殿(ハワ・マハル)です。
この宮殿は1799年にサワイ・プラテープ・シンクが建設したもので、壁一面に石の格子スクリーンのついた出窓がびっしりと並んでいます。これは宮廷の子女が外から姿を見られずに街を眺めることができるように工夫されたもの。風通しも良さそうです。

この宮殿、正面から撮った写真が有名ですが、少し見る場所を変えると非常に奥行きの浅い変わった建物であることが分かります。これも風を通りやすくする工夫なんでしょうか。



美しいピンク色の建物が並ぶジャイプルですが
ピンク色にしたのはイギリスの王子を迎えるためだったそうです。




水の宮殿

ジャイプルから郊外のアンベール城に行く途中に水の宮殿があります。



湖に浮かぶ小さな宮殿
かっての王の夏の離宮なのだそうです。


ジャイプルは実に見どころが多い。
郊外のアンベール城とともにゆっくり見て回りたい街です。



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参考文献

地球の歩き方インド(ダイヤモンド社)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。