オルチャ

北インドの小さな町オルチャ
多くの宮殿と寺院の残る町
どこか懐かしいインド
2006年1月訪問

写真はジャハーンギール・マハル



オルチャはアーグラの南、カジュラーホの西、サンチーの北東という場所に位置する小さな町。
交通の便もよくないし、余り日本では知られていない場所だと思います。私たちのツアーではカジュラーホからサンチーに移動する途中でオルチャに立ち寄ることとなりました。正直、単なる移動日かと思い期待していなかったけれど、行ってびっくり、なんとも素敵な町でした。

実はオルチャは16世紀から250年の間、プンデラ朝という王朝の都だった場所。歴史ある町なのです。カジュラホを朝8時半に出て、ひたすらバスで移動し、1時ころオルチャの町に入り、遅いお昼となりました。そのレストランから見えたのが下の景色。オルチャの歴代王達の王墓群です。

方形の建物の上に高い屋根を持つのが特徴



オルチャの町中は、なんというか、イメージする昔のインド、といった感じ。喧騒と同時に、なんともいえない風情があります。象さんたちは現役でお仕事をしているし、さりげなく建つ立派な寺院。
右下の写真の寺院はチャトルブージ寺院といいクリシュナを祀る寺院だそうです。尖った屋根が魅力的。この屋根の形は王墓群の屋根と似ていますね。

   


町を歩くと川沿いに立派な建物が見えて来ました。
かっての王宮です。川の名はブトワー川と言うそうです。


オルチャというのは「秘密の場所」という意味。ムガール帝国がインドに侵攻した際、ラージプートの一族であるブンデラ朝が防御のための隠し砦として川の中の島に作ったのが、この宮殿の前身だったとのこと。
元々はムガール帝国からの隠し砦だったわけですが、プンデラ朝は17世紀に入るとムガール帝国と友好的な関係を築き、その後、18世紀後半まで、この地は繁栄を続けたということです。


橋を渡って王宮へ。




王宮の入口まで来ました。
まるで要塞といった感じの石造りの宮殿。
地元の人たちで結構賑わっています。



ブルワー川の中州・島には4つの宮殿が建てられているそうです。
白っぽい建物は今はホテルになっているシューシ・マハル。
右奥に見えるのがジャハーンギール・マハル。



まずは入って右側にあるラージ・マハルから見学




ラージ・マハル

ラージ・マハルは1554年から1591年にかけて建てられた宮殿。台所や王の寝室、王妃の間などに残る美しい壁画が見どころ。ただ、内部は暗く、肉眼ではなかなか見えません。なぜかフラッシュが禁止されてなくて、見学者がフラッシュを使うと、その光で一瞬壁画が見えるといった感じ。私もフラッシュ使って写真を撮りました。写真でじっくり見ると、保存状態の良さがよく分かります。

   


インド神話の神々たち。



こちらはラーマー・ヤナの一場面



ちょっと引いて撮ってみました。宮殿内の雰囲気が伝わるでしょうか。
     

壁画を楽しんだ後は隣接するジャハーンギール・マハルを観光



ジャハーンギール・マハル



ジャハーンギール・マハルは17世紀のプンデラ朝の王ビール・シンク・デオがムガール帝国のジャハーンギール帝を迎えるために建築した宮殿です。ジャハーンギール帝はムガール帝国4代目の皇帝で、有名なアクバル大帝の息子にあたります。当初はムガール帝国に対抗していたプンデラ朝は、このビール・シンク・デオの時代にムガール帝国と友好関係を築くことで絶頂期を迎えます。
町の中にあった立派なチャトルブージ寺院も、ビール・シンク・デオが建てたものということでした。


ジャハーンギール・マハルは四角い中庭を取り囲む形をしています。
写真は中庭から見た宮殿



この宮殿は、中庭を囲み完全な点対称の幾何学的な建築となっています。これはイスラムの影響だそうで、ペルシャの神学校によく見られる構造とのこと。建物の四隅を始め大きなドームが幾つもありアクセントとなっています。また印象的なのは小さなドーム型の屋根を四本の柱で支えるチャトリ。チャトリはインド建築独特のもので、イスラムとインドの融合といったところでしょうか。

中庭から上に通じる階段を登って宮殿を見て廻ることができます。何とも素敵な雰囲気。楽しい。

   


入口から反対側に綺麗な門がありました。
象の彫刻や透かし彫りなど非常に繊細な造り。
こちらが本来の正門なのだそうです。

   

面白いのは門の前が階段状になっていること。右の写真で分かるでしょうか。
これは象・ラクダ・輿に乗る際に便利なように、それぞれの高さになっているのだそうです。


ジャハーンギール・マハルから見たオルチャ



ムガール帝国との友好関係で栄えたオルチャですが
ムガール帝国が衰退期に入るとマラータ王国などに攻略されるようになり
1783年に街は放棄されました。


日本ではほとんど知られていない小さな町に
これだけの歴史があるのがインドの凄さのような気がします。
この雰囲気は忘れられない。


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参考文献

地球の歩き方インド(ダイヤモンド社)

ほとんど文献を見付けられませんでした。
基本的に現地ガイドさんの説明を元にまとめています。