バガン
バガン遺跡はオールドバガンだけではありません。
遺跡はニャウンウー村や周辺のその他の村にも広がっています。
オールドバガンに負けないほど見どころがたくさん。
2015年12月訪問

写真はシュエズィーゴォン・パヤー



シュエズィーゴォン・パヤー

シュエズィーゴォン・パヤーはニャウンウー村にあるバガンで「最も霊験あらたかな」仏塔です。

入口には右の写真のような巨大な獅子がお出迎え。いったい何メートルあるんでしょう。巨大だけど、鈴着けていて、なんともかわいい。

狛犬みたいな感じですが、ミャンマーの獅子は2体とも口をあけていて、日本みたいに阿吽の形にはなっていません。

獅子の巨大さから、凄いものがありそうな予感。
獅子の横の入口で靴と靴下を脱いで仏塔に向かいます。

シュエズィーゴォン・パヤーは11世紀にミャンマー最初の統一国家を築いたバガン王朝初代のアノーヤター王が建設した寺院です。
現地ガイドさんによると、ミャンマーの人はここをミャンマー最初の仏塔と信じているのだそうです。

アノーヤター王は南のモン族のタトゥン国を破ると、お釈迦様の歯と骨を奪い取り、それを収めために、この仏塔を建てたと言われています。お釈迦様の歯と骨があることから、この仏塔は非常に霊験あらたかなのだとか。

参道を進むと現れたのは巨大な黄金の仏塔


シュエズィーゴォン・パゴダの「シュエ」とは「黄金」、「ズィーゴォン」とは「勝利・栄光」という意味。

名前からも戦勝記念として建てられたパゴダだということが分かります。アノーヤター王としては国の威信を示す目的もあったんでしょうね。もっとも、この仏塔、その大きさ・豪華さから、アノーヤター王の存命中には完成せず、バガン王朝2代目の時代にようやく完成したものだそうです。

現地ガイドさんによると砂岩の上に漆喰を塗り、更に黄金が貼られているのだとか。
また、金属製の飾り部分も多く、やはり黄金が貼られています。

方形で三層の基壇部分の上に釣鐘状の仏塔・ドームが乗るという構造は安定感があります。

ドーム・仏塔に通じる階段は、かって王が登ったもの。黄金の中に赤く塗られた階段も鮮やかです。

この仏塔も1975年の大地震で壊れてしまったのだそうですが、現在は修復もすっかり終わって美しい姿を見せています。

仏塔の周囲を取り巻く黄金製の花や小仏塔
   


仏塔の角に置かれている獅子。頭が1つで体が2つ。
なんとも、かわいい。



仏塔の周囲には八曜の祭壇も置かれています。ミャンマーでは誕生日が何曜日かで性格や運勢が決まるとされていて、それぞれ動物も決まっています。1週間が7日なのに八曜というのは水曜日だけ午前と午後で分かれているから。自分の曜日の祭壇をお参りするのがミャンマー風。私は金曜日生まれなんですが、地球の歩き方によると「モグラ」、現地ガイドさんによると「モルモット」。
ガルーダ(日曜日)や竜(土曜日)、ライオン(火曜日)なんてかっこいいのに・・・なんだかなあ。

水曜日の午後
牙のないゾウ
 
 金曜日 
モルモット(モグラ?)
 日曜日
ガルーダ


仏塔の周囲には多くの礼拝所があり、仏像も収められています。



さまざまな礼拝所
   


鏡を貼った柱と美しいレリーフ


バガンで「最も霊験あらたか」と言われるだけあって、凄い賑わいです。バガンで外せないパゴダなのは間違いありません。ちなみにバガンで「最も美しい」アーナンダ寺院と「最も高い」タビニュイ寺院も外せないポイント。アーナンダ寺院とタビニュイ寺院はオールドバガンにあります。



ニャウンウー村のマーケット



シュエズィーゴォン・パヤーのあるニャウンウー村は空港も近く、バガン観光の交通の要衝です。
そのため商業も盛んで、マーケットは賑わっていました。

 日本の干物みたいなお魚
巻き煙草というか葉巻?
 



マヌーハ寺院



マヌーハ寺院はオールドバガンの南ミィンカバー村にある寺院です。マヌーハはアノーヤター王に敗れたモン族タトゥン国の王。アノーヤター王に敗れたマヌーハ王は捕虜となり、バガンで軟禁生活を過ごしますが、その中で寺院建設を許され、建てたのがこの寺院です。
11世紀に建てられたこの寺院、捕虜となった王が建てたものだからか、余り大きな寺院ではなく、外観はどっちかというと地味な印象。

しかし、中に入ると、びっくり。

巨大な仏像
大きな体が窮屈そう
 
 なんとか写真を撮ろうとしても
狭い場所なので上手く撮れません。

この仏像、17mの大きさ。左右にも少し小さいもののやはり巨大な仏像が窮屈そうに収まってます。
囚われの身の自分を表わしているとか・・・色々な説がありますが不思議な寺院ですよね。

これだけではありません。裏に回ると今度は巨大な涅槃仏。30mだそうです。
狭いところに大きな仏像が寝ているので・・・写真撮れない。
   

顔だけは入口が近くにあるので外から撮れました。


寺院の境内にはこんな像もありました。
囚われのマヌーハ王と王妃だそうです。


なんというか哀れですよね。勝者であるアノーヤター王はタトゥン国からお釈迦様の歯・骨・髪を奪い、シュエズィーゴォン・パヤーに歯と骨を、シュエサンドー・パヤーに髪を収めたわけです。ミャンマー南部を支配していたモン族は元々上座部仏教が盛んで、ビルマ族が持っていない文字もありました。海に近い南部にはスリランカやインド南部から仏教を始めとする文化が流入しており、おそらく文化的には勝者であるビルマ族より進んでいたと思われます。実はバガン国2代目はモン族の反乱で命を落としており、3代目がモン族との融和を図ることで国を落ち着かせました。モン族の文化を取り入れることで、バガン国も繁栄したわけです。


この寺院には巨大な一つの石で造られた巨大な鉢があります。
お米が1トン入るそうですが、普段はお賽銭箱みたいに使用されているとのこと。

階段を使って覗いてみたら
確かに大きいけど、お金余り入ってない・・
 
実は、ちょっと前に中のお金を出していました。
みんなでお金を確認中
 


昔のミャンマーの風俗を示した鐘
昔のミャンマーの男性は、みんな刺青をしていたそうです。
刺青がないと、おかまちゃんと思われたんですって。




マヌーハ寺院から歩いてすぐのところに、ちょっと変わった寺院があります。

ナンバヤー寺院



ナンバヤー寺院は11世紀に建てられた寺院で、バガンでは珍しく石で建てられています。この外観、なんともインド風ですが、中に入るともっとインド風。かって置かれていたであろう仏像はなくなってしまっているのですが、仏像を取り囲んでいたであろう柱にインド風の美しいレリーフが彫られているんです。

怪物の顔と美しいレリーフ
 
 3面の神?

内部は暗いので懐中電灯必須です。
暗いので余り上手く写せませんでしたが、3面の神?を撮ってみました。
 
 

現地ガイドさんに聞いたら、大乗仏教の影響ではなくヒンドゥーの影響なのだそうです。
まあ、大乗仏教もヒンドゥーの影響が強いですが、多くの顔を持つインドの神なのでしょうか。



パヤトンズ寺院

オールドバガンの東にあるミン・ナン・トゥ村にもいくつものパゴダがあります。
パヤトンズ寺院は内部の壁画が必見



パヤトンズ寺院のパヤとは「仏塔」、トンズとは「3」、3つの仏塔という意味ですが、見ての通り、3つの仏塔を屋根に持つ寺院です。この寺院は13世紀に建てられたもので、日本人の寄進により修復されました。内部に美しい壁画が数多く残るのですが、残念ながら撮影禁止。千体仏や人間の顔に鳥の体を持つ美しいキンナラの壁画が見事です。壁画はどちらかというと細かく繊細な印象。どこかに絵葉書がないか探したのですが、残念ながら見つけられませんでした。


パヤトンズ寺院の周囲にも多くのパゴダがあります。
ちょうと日が沈むところでした。
   




夕食のレストランではミャンマーの伝統的な人形劇をしていました。
人形は大きく、かなり激しい動き。



バガンは2泊しましたが
できれば、もう少しゆっくりしたかった。
1週間居ても、全てのパゴダは見られないんでしょうけれど。


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参考文献

地球の歩き方・ミャンマー(ビルマ) ダイヤモンド社

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。