ゴールデンロック
落ちそうで落ちない不思議な岩
ゴールデンロック
お釈迦様の髪の毛の力で浮いているのだそうです。
2016年1月訪問



ゴールデンロックの正式名はチャイティーヨー・パヤーと言います。パヤーとは仏塔のこと。この不思議な岩は単なる岩ではなく、仏塔なんですね。金箔の貼られた岩の上にある仏塔は高さ7m。
この仏塔にお釈迦様の髪の毛が入っており、その霊力で浮いているとミャンマーでは信じられています。ゴールデンロックはミャンマー人にとっては単なる観光地ではなく巡礼の地なのです。

ゴールデンロックのある山頂のホテルから見た日の出前の風景
山々の間に雲海が広がっています。


ゴールデンロックは深い山の中にあります。

ゴールデンロックはヤンゴンの北東約210q、モン州にあります。ヤンゴンから、まず約200qをバスで移動し、その後、キンブン・ベース・キャンプという麓の町で軽トラックに取り換え、標高約1200mの山頂まで山道を約10q走って、やっとゴールデンロックの入口に辿り着きます。

軽トラックが走れる道ができるまでは麓から歩いて5〜7時間かかったとのことですし、道ができてからも2年位前(2013年ころ?)までは外国人は途中で軽トラックを下りて1時間くらい山道を歩くか、駕籠に乗らないといけなかったといいます。今は外国人も軽トラックで山頂まで行けるようになり、格段に行きやすくなったとのこと。かってはポッパ山よりずっとずっと大変だったのだとか。

ヤンゴンから、途中お昼も食べて、キンブン・ベース・キャンプまで5時間くらいかかりました。
ここから軽トラックに乗り換えて山頂を目指します。
軽トラック乗り場では階段を上がって荷台に乗り込まないといけません。


軽トラックの荷台は横に座席が何列も置かれていました。屋根もありません。貸し切りの私たちと違って現地の人たちは鈴なりになって乗っていました。軽トラックはいずれも日本製。山道を走りだすと凄い傾斜で、しかもカーブが続く道を延々と走ることになります。これって、帰りはジェットコースターじゃないか・・・・。こんな道を走る日本車凄い。あ、日本車ばっかりなのも、そういうこと?

山頂まで1時間ということですが、途中山の上にパゴダらしきものが幾つか見えます。その度にゴールデンロック?と期待してしまいますが、現地ガイドさん曰く、なかなか見えないよ、とのこと。




かなり走ってからついにゴールデンロックらしきものが見えましたが・・・
一瞬でした。小さく写ってるかな。写ってないかも・・・



ようやく山頂に到着。
一旦ホテルに入ってからゴールデンロックに向かうことになりました。


日があるうちにゴールデンロックに行って、夕日を見て、更にライトアップまで見る予定。
日が傾きかけているので、急がないといけません。

ゴールデンロック入口。ここで靴と靴下を脱いで裸足になります。


入口からは参道を15分ほど歩きます。階段も多いですが、それほどきつい階段ではありません。
しばらく歩くと、ゴールデンロックが小さく見えて来ました。
望遠で撮ってみたのが下の写真。

この位置からは、まるでゴールデンロックが宙に浮いているように見えます。

伝説によれば、お釈迦様の髪を隠し持っていた僧に王が聖髪を譲ってほしいと頼んだところ、僧が自分の帽子と同じ形(本によっては僧の頭と同じ形)の岩を探せば渡すと言ったため、王は帝釈天の力を借りて、海中にあったこの岩を山頂まで運びました。

そして、王は僧から聖髪を譲り受けて岩の上の仏塔に祀ったのだそうです。お釈迦様の霊力で岩は浮いて落ちないのだとか。

現地ガイドさんによると、このあたりはモン族が多く住む場所で、近くにはモン族の都があったこともあるとのこと。

モン族と言えば、11世紀にバガン王朝を築いたアノーヤター王が破ったタトゥン国を思い出します。ミャンマー南部の海に近い場所に暮らす彼らはビルマ族より古い歴史もあり、上座部仏教も早くから広まっていました。

ゴールデンロックは11世紀にできたと言いますが、その時の王もモン族の王なんでしょうか。

このあたりから、次第に混雑ぶりが凄まじくなってきました。
床に座り込んで食事をしていたり、テントみたいに寝る用意をしている人もたくさんいます。

   


人込みを避けながら更に近づくと、ゴールデンロック周辺の状況が良く分かるようになりました。


上の写真からも分かると思いますが、ゴールデンロック周辺は、かなり整備されています。ゴールデンロックのすぐ傍にはテラスが設けられ、ゴールデンロックに近づくことができるようになっています。もっとも、ゴールデンロックに触ることができるのは男性のみ。一番近いテラスには男性しか入れません。女性は、そこから少し離れたテラスから、ゴールデンロックを拝む形になってます。

そして、ゴールデンロックは、その下に降りることもできます。上の写真でも、ゴールデンロックの下にたくさんの人がいるのが分かるかと思います。行ってみたら、ゴールデンロックの横から下に降りて、ぐるりと回って、再び登れる・・・といった構造になってました。


ゴールデンロックのすぐ近く。
男性たちが金箔を貼ったり、ゴールデンロックに触ったりして、凄い大混雑。



日が沈むまで、ゴールデンロックを色んな方向から見て回りました。

   


下から見ると、今にも落ちて来そうで、はらはらします。
   


この角度から見るのが、一番怖いでしょうか。
今にもずり落ちそう・・・。



いったい、どういうバランスで落ちないでいるんでしょう。実はミャンマーという国は結構大地震が多い国で1975年の大地震ではバガンのパゴダの多くが大きな被害を受けました。ところが、その時も、このゴールデンロックはびくともせず、それどころか、なんと僧たちが駆け付けた時に30cmほど浮いていたという話まであるんだそうです。う〜ん。ここまで不思議だと、変に科学的に考えるより、ミャンマーの人達みたいにお釈迦様の霊力と考えるのが一番納得しやすいのかなあ。


ゴールデンロックの横を、日が沈んでいきます。



下に降りて、日が沈む様子を眺めました。
川面に映る太陽が美しい。



日が沈むと、ライトアップが始まります。
淡い紫に染まる空と輝くゴールデンロック、なんとも美しい。



ゴールデンロックの周囲には信者が油を浸した皿を置いて日没を待っていました。

 日没とともに、信者が並べた灯りに
一斉に火が灯されます。
 宵闇の中、輝くゴールデンロックと
信者の灯した灯りの帯


暗闇の中、ライトアップで浮かび上がるゴールデンロック



すっかり暗くなってから、再び下に降りようかとも思いましたが、余りの人込みに断念しました。
日が落ちてから、更に人が増えた気がします。

そろそろホテルに戻ろうかとゴールデンロックから離れることに。
ゴールデンロックのすぐ近くの礼拝所で僧たちが礼拝をしているようです。


実は、ここからが大変でした。

ホテルからゴールデンロックまで一本道だったので、まさか道に迷うとは思わなかったのですが・・・・。

ゴールデンロックの周囲は寝てる人や食事している人、その間を行き交う人々であふれていて
人に押されて進んでいるうちに、違う道に出てしまったのです。

気が付いて、戻ろうと思っても、ご覧のとおりの人込みで、簡単には戻ることができません。東京のラッシュ時より酷いと思います。どんどん押してきますから。

仕方がないので、しばらく流れのままに進んでから戻ることにしたんですが、いつまでたっても流れが切れない。

あとで地図で確認したら、ゴールデンロックへは幾つもの道があるんですね。
ホテルからゴールデンロックまでは一本道だったのですが、反対の方向にも幾つかの道があるようです。

間違えた道の方が最初に来た道より参道の両脇に店が並び、賑わっていたような気もします。


あ〜〜大変だった。

翌朝、朝日を見に行くこともできたんですが、昨日の人混みに懲りたのでホテルで見ることにしました。
日の出を見てから、参道を眺めていたところ、やはり、かなりの賑わい。
お坊さんやピンクの衣の尼さんは朝の托鉢中。その横を荷物を担ぐ人や駕籠が出ています。
 
 


朝食後、山を下りるために軽トラ乗り場に・・・
ここも凄かった。乗合トラックの場合、ターミナルに着く前に人々が群がって乗り込みます。
   

おとなしく待っていたら、永遠に乗れそうにありません。
貸切で帰れるツアーで良かった・・・
帰り道はジェットコースターみたいでしたが快適でした。


最後に、山頂のホテルから見た日の出



実は私が訪れたのは1月1日
ミャンマーで1月2日から3連休となる年だったので
それが大混雑の理由だったのかもしれません。
それにしても、凄い人気でした。
ゴールデンロックに3回詣でるとお金持ちになれるそうです。


ミャンマーの遺跡に戻る

東南アジアの遺跡に戻る




参考文献

地球の歩き方・ミャンマー(ビルマ) ダイヤモンド社
世界の隠れ名所を歩く地図 河出書房新社

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。