ポッパ山(タウン・カラッ)
ミャンマーの土着信仰ナッ神
バガン近くのポッパ山麓のタウン・カラッはナッ神の聖地
不思議な山は不思議な場所
2015年12月訪問

写真はタウン・カラッ遠望


ポッパ山はバガンの南東約150qのところにある標高約1500mの山です。ポッパというのは「お花」という意味。ポッパ山の花を毎日王宮に供えたということです。ポッパ山の麓にある不思議な山というか丘というか岩峰がタウン・カラッ。ミャンマーの土着宗教であるナッ神の聖地です。

仏教国ミャンマーの不思議空間というかパワースポットということで、ミャンマーの中でも行きたかった場所の一つです。ただ、タウン・カラッは「777段」の階段を登らないといけないと聞いていたので、それが心配の一つでもありました。バスが山の中に入ってしばらく行ったところで、突然、バスが停まったと思ったら、なんと渋滞でバスがこれ以上進めないということで、急遽歩くことに。

この先、渋滞発生中
 
 横の小道からタウン・カラッが見えて来ました


777段の階段の前に、山道を結構歩くこととなりました。
道には多くの仏塔。仏教とナッ神信仰は共存してるようです。
   


だんだんとタウン・カラッが近づいてきました。

目の前にそびえるタウン・カラッ。標高737m。

大地から、にょきっと生えてきたようにも見えます。ミャンマーでは、過去の噴火でポッパ山の山頂が吹っ飛んでここに落ちてきたのだ・・・とも言われているそうです。
こんな不思議な山、日本にもあったら神社とか建てられていそうですよね。

岩肌が結構目立ちます。そして、山頂に多くの建物・・・。あの山頂まで、777段か・・・。

ここでナッ神信仰を簡単にまとめると、ナッ神はミャンマーに古くから伝わる土着信仰。ナッ神は神様というか精霊ともいうべき存在。

ミャンマーは今では上座部仏教が盛んな仏教国ですが、上座部仏教が本格的に広まったのは意外に遅く11世紀。ミャンマー最初の統一王朝をバガンに拓いたアノーヤター王以降のこと。

アノーヤター王は、上座部仏教を広げるため、それまでミャンマーで信仰されていたナッ神を仏教の下に置く形で整理したのだそうです。仏教と共存するような形で、古くからの土着信仰が生き残ったわけですね。


タウン・カラッの麓まで一旦山道を下っていきます。
麓に幾つかの寺院が見えて来ました。



麓まで来て、さあ、777の階段かと思ったら、現地ガイドさんが道を横に進んで、こんなところに連れてきてくれました。ナッ神を祀っている祠というか寺院のようです。
礼拝をする広い空間の奥に細長い部屋のようなものがあって、その中に祀られているのがナッ神とのこと。覗いてみると、なにか怪しげなものが色々あります。中にも入れるよ、とのこと。




中に入ると多くの神像が並んでいました。その中央に置かれているのがポッパ山の主神だそうです。

旦那さんと奥さんと双子。旦那さんが大きく写ってしまいましたが、どうやら主神は奥さんの方で現地ガイドさんは鬼だとか言っていたような気がするのですが、日本語ガイドながら日本語が今一つのガイドさんなので、良く分からない。

ただ、双子の方がおかまちゃんから深く信仰されているということは良く分かりました。
お祭りの時には、ミャンマー全国から、おかまちゃんたちが、ポッパ山に集まるのだそうです。

それにしてもナッ神というのは良く分からない。

ガイドさんは、ナッ神になるのは非業の死を遂げた人が多いというので、菅原道真が天神様になったような感じかと思ったら、他方で鬼だと言ったり、ヒンドゥーの影響もあると言ったり・・・。

どうやらナッ神ごとに得意分野があるみたいで、芸事が得意になりたい場合に拝む神とかが決まっているそうです。


居並ぶナッ神は37柱。
神様にこう言っては罰が当たるかもしれないけれど、なんともチープな神像たち。
なんというかマネキンみたいな感じと言うか、なんというか・・・。

   


日本人は古びた像に神性を感じますが、随分と感性が違うみたい。

ピンクの衣は男性。うっすらと髭がある。
 
 孔雀に乗ったり、虎に乗ったり・・・


ナッ神が、ますます分からなくなってきましたが、いよいよタウン・カラッ。
始めの3分の1くらいまでは靴で行けますが、途中で靴と靴下を脱ぎ裸足となります。

入口
 
 裸足となるあたりにはお猿が多い。


参道にはお店が多く、途中、ところどころに祠があります。
華やかと言うか、弩派手の祠に3柱のナッ神


色々なナッ神の祠があるんですが、お釈迦様の仏教寺院もあって混沌としてます。

山頂に続く階段を横からみるとこんな感じ。
途中、分かれ道もあります。
 
場所によっては、かなりの急こう配
見ての通り、かなりの参拝客
 


途中、お食事処もあります。



ついに頂上。近くに見えるのがポッパ山。



頂上は案外狭く、仏塔や仏教寺院が建ち並んでいます。
ナッ神信仰の中心なのに、仏教ワールドになるのが不思議。
   


豪華できらびやかな仏像


ミャンマーの仏教とナッ神って不思議な関係です。
日本で仏教と神道が交じり合ってるのと近い感じなんでしょうか。

この後、777段の階段を下りたところ・・・・、やっぱりバスがいない。
渋滞が続いてるみたいで麓までバスは来れなかったようです。
777段の往復で疲れきった足でバスまでの長い長い坂道を登りました。



実はポッパ山に向かう途中で黒砂糖と酒造りの村にも立ち寄っています。

シュロの木に登って樹液を取ります。
 
 樹液を煮詰めて黒砂糖を造っているところ。


 こぶ牛が油を引いてます。
こぶがあるのはオスだけなんですって
店番の女の子
顔に塗ってるのはミャンマーの日焼け止めタナカ
 


お酒を蒸留中
42度だそうです。
 
 ミャンマー風おつまみ
真ん中は食べるお茶。美味しい。


お店には仏像が置かれていました。日本の神棚みたい。




途中で出会った小僧さんたち



ポッパ山の後はバガンで夕日を見ました。
ポッパ山からバガンまでは1時間くらいです。


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参考文献

地球の歩き方・ミャンマー(ビルマ) ダイヤモンド社

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。