インレー湖
ミャンマー中部
シャン高原にあるインレー湖
ボートでの周遊が楽しい。
2015年12月訪問

写真は朝もやのインレー湖


インレー湖はミャンマー中部、シャン州のシャン高原にある湖です。雨季と乾季で大きさが異なりますが、水量の少ない乾季でも南北15q、東西6qの広さの大きな湖です。インレーの「イン」とは大きな湖、「レー」とは4つの意味。昔、この湖の周囲に4つの村があったことに由来します。湖畔のホテルに滞在して、ボートでの周遊を楽しむのはミャンマー観光のハイライトかもしれません。

少し早く目が覚めたので、日の出前のホテルを散策してみました。
泊まったホテルはコテージタイプ。このようなホテルがインレー湖では多いようです。



レストランの前がホテルの船着き場



日が昇って朝食を食べてから、いよいよボートでの観光です。
インレー湖のボートの多くはこのタイプ。エンジン付きで、結構速度も出ます。



カモメのような水鳥。



まずはインディン。インレー湖の南西にある川を遡って行きます。
ボートを下りると、なんとものどかな風景。

村の水路
 
 川でお洗濯・・・でしょうか。

ボートを下りて少し歩くとインディンです。

インディン



インディンは1054もの仏塔が残る場所です。ミャンマーの人たちは、この地にアショカ王が仏塔を建て、13世紀にそれを修復したのが始まりだと信じているそうです。実際は17〜18世紀に建てられた仏塔が多いとのことでした。カックー遺跡とちょっと似ています。仏塔の数はカックー遺跡の半分以下ですが、参道はミャンマーで最も長いという700m。両側に土産物屋が並ぶ参道が延々と続きます。途中、参道からそれて撮ったのが上の写真。ちょっと荒れた感じが風情のある遺跡です。しかし、参道を進み、終点まで来ると、そこには、きらびやかな仏塔が並んでいました。

   

あれれ。地球の歩き方には、崩れかけた仏塔が並ぶと書いてあるんですが・・・。現地ガイドさんに聞いたら、2006年から修復が始まっているんだそうです。仏塔を修復すると功徳が積めると言うので、頑張っちゃっているのです。現地ガイドさんによると中規模の仏塔を1基修復するのに約15万円ということでした。修復すると大理石のプレートに名前書いてもらえるよ、とのこと。

でも、日本人からすると、なんか違うというか、むしろ残念というか。
参道を戻っていくと、中心から外れた仏塔は未だ手つかずのものが多いことが分かりました。
私は古びた方が好きですが、ミャンマーの人たちにとっては、ここは遺跡ではなく現役の寺院なのでしょう。

   


地元のお母さんたちが子供たちを遊ばせています。
頭飾りから少数民族の人たちだと思います。パオ族?自信ないけど。



インレー湖周辺には少数民族が数多く暮らしています。

パラウン族の工房

いわゆる「首長族」と言われる部族の人たちです。

   

彼女たち、特に年配の女性は非常に首が長く見えます。これは彼女らが5歳くらいから首につけている金属製の飾りによるもの。年齢を重ねるにつれ、飾りを増やしていきます。実際は首が長くなるのではなく、飾りの重さで肩が落ちていくのだとか。年配の女性は2つ飾りを着けていて、重さは合計11sなんだそうです。聞いただけで重そうです。大変でしょうね。最近の若い女性は、恥ずかしがって、この部族の風習を守らなくなってきているという話でした。

 水牛の歯の頭飾りやワニの形の竪琴
 色鮮やかな傘


お店の外にも土産物屋の船が出ていました。



お次は湖畔の大寺院です。

ファウンドーウー・パゴダ



湖の上からもひときわ目立つファウンドーウ―・パゴダ。金箔を貼りすぎて団子のようになった仏像5体が祀られています。この寺院は毎年10月の満月に合わせて、5体の仏像のうち4体を船に乗せ、21日間かけて湖畔の村々を巡るお祭りで有名。
1965年のお祭りの時、途中で船が転覆し、仏像4体のうち3体はすぐに見つかったものの1体が行方不明となりました。ところが、翌朝、行方不明になった仏像が頭に水草を付けた状態で寺院に戻っていた、ということがあったそうで、それ以降、より人気が高い寺院になったのだそうです。
仏像は13世紀のものということで、古い寺院なのでしょうが、現在の建物は1952年に建てられた新しいもの。巨大な2階建ての寺院で、内部は金ぴか。仏像は2階中央に祀られています。

 5体の仏像を祀っている場所
女は中に入れません。
 望遠で撮ってみました。
団子というか黄金の雪だるまのような仏像


ファウンドーウ―・パゴダは大きな寺院で境内も広く、橋を渡ったところにお祭り用の船があります。
   


橋を渡ってお祭りの時に使う船を見に行きました。巨大な船です。

 後ろから見たところ
仏像を置く台が見えます。
 船首部分は巨大な黄金の鳥
丸い球をくわえています。



蓮の織物工房



インレー湖では蓮の織物が有名。蓮の茎から繊維を取り、糸にします。



蓮糸で布を織るなんて、中将姫伝説のようなお話です。ミャンマーでも蓮で織った布は、元々はお坊さんに捧げるものだったそうです。蓮糸は太くて丈夫。でも色を染めるのは難しいそうで、蓮糸だけで織るより、絹の織物のポイント的に使われることの方が多いそうです。 

   



インダー族の浮島

インレー湖では浮島を見ることもできます。これはインダー族の浮島といって、彼らは浮島を畑として利用しています。ホテイアオイなどの水草の浮力を利用して畑を作るのだということでした。畑で採れるのはトマトやキュウリ。特にトマトは1年中採れるということです。

   



ガーペー僧院



ガーペー僧院は湖上に建つ僧院。1884年に建てられたという木造の僧院は日本人が懐かしいと感じるような、とても心が落ち着く場所です。基壇の上に多くの仏像が置かれているだけでなく、基壇以外にも美しい装飾の仏塔や仏像が並びます。仏像は全部で30体ほどあるとのこと。



基壇中央の本尊を祀る厨子
 
 ご本尊は優しい表情


多くの仏塔も美しい。
涅槃仏でしょうか。
最後の説法の場面かもしれません。
 
 お釈迦様の前世。おそらく燃燈仏の説話
お釈迦様が自らを橋として如来を通した場面


仏像が置かれた基壇の周囲は広い空間。
柱は全部で654本あるそうです。



並ぶ仏塔
 
 横から見た基壇

なんとも厳かな雰囲気

美しい仏像


台座も見事です。


湖上のテラスに続く廊下の両側には土産物屋さんが並んでいます。



実はこの僧院、かっては猫が輪くぐりの芸をすることで有名でした。しかし、猫たちに芸を仕込んだお坊さんが2012年に亡くなったので、今では芸を見ることはできません。芸をしなくなった猫たちは僧院の中を歩き回ったり日向ぼっこしてのんびりと過ごしています。全部で何匹いるのかな。

湖に面したテラスがお気に入り
 
 お坊さんに餌をもらっていました。


ミャンマーの猫たちは、ちょっと小柄で、可愛い子たちが多い気がします。
   



最後に、インレー湖の美しい夕暮れ。











インレー湖には2泊しましたが、観光は実質1日だったのが、ちょっと残念。
もう少しのんびりまったりしたかった。
こんなところでゆっくりする旅もいいですよね。
欧米人が非常に多かったです。



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参考文献

地球の歩き方 ミャンマー(ビルマ) ダイヤモンド社

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。