ナスカ

謎の地上絵で有名なナスカ。
ペルー南部のナスカ台地にナスカラインと呼ばれる無数の線と絵が描かれています。
セスナでの遊覧飛行はペルー観光には欠かせません。
2004年5月

写真は何が何だか分からなくなったナスカラインと地上絵



上空からでないと分からないナスカの地上絵については宇宙人が描いたのだという楽しい説もありますし、有名になったのはデニケンなどの宇宙考古学とか超古代文明論によるとことが大きいでしょう。私自身、子供のころ読んだ怪しい本でナスカの地上絵を知りました。

しかし、地上絵は紀元前後から後800年ころに栄えたナスカ文化のものであることが分かっています。ナスカ文化はペルー南部海岸地方の砂漠地帯で栄えた文化で、地上絵によく似た絵が描かれた土器等も多数発見されています。当時のアンデスは地方毎に様々な文化が発展する地方発展期と呼ばれる時代に入っており、北ペルーの海岸地帯ではモチェ文化が花開いていました。

ナスカに滞在して地上絵以外のナスカ文化の遺跡なども見たいところですが、時間が限られた旅行だったため、リマからイカに飛び、イカを起点とする地上絵遊覧で見学しました。リマからの日帰り観光です。

イカから10〜15分。ナスカラインが見えはじめます。
海外では地上絵よりナスカラインの方が有名ということですが
地上の起伏を無視するように一直線に続くラインは確かに壮観です。
台形図形は上空からかなり目立ち、滑走路と言われたら信じちゃいます。
   


イカからのフライトで最初に見える「絵」は「宇宙人」とか「フクロウ人間」と呼ばれるもの。
これは丘の斜面に描かれていて、ちょっと他の地上絵とは感じが違います。

 真ん中あたりに小さく写っています。
拡大してみました。
 




イカから20分か25分、広い台地に出るといよいよ地上絵観光です。

ナスカの地上絵は天気によって見え方が違うということですが、私は運が良かったらしく非常に綺麗に見えました。上の@宇宙人(フクロウ人間)の他に、A猿、B犬、Cコンドル、Dクモ、Eハチドリ、F手、G木、Hペリカン、Iオウムといった地上絵を見せるのが遊覧コースのようです。

しかし、実際には、他にも多くの地上絵が無数にあり、ナスカラインや幾何学模様が入り乱れ、次から次に目に入る地上絵で息をつく間もありません。おまけにパイロットはサービス精神旺盛で、見どころの上では右に左に何回でも旋回してくれます。酔い易い人には相当辛いと思われるので酔い止めは必須アイテムかもしれません。私は興奮しすぎて酔わずにすみましたが。

初めは頑張って写真を撮ろうと思ったのですが、当時はデジカメではなかったし、そもそも航空写真など撮れる腕がないことを早々に悟ったので見学に専念することとしました。まあ、何枚かはチャレンジしましたけど、セスナ機の機体ばっかり写ってしまったり・・・散々な出来です。


コンドルを探せ。実際ははっきり見えたんですけど、なんでこうなるのか・・・。



拡大して少し補正しました。肉眼だと、もっとくっきり見えます。



ハチドリ。本物の地上絵は羽ばたいてるように見えて感動。一応写った。



拡大して補正。画像が少し粗いですが・・・。



パリワナとかペリカンと呼ばれるものの一部 首がくねっています。機体が邪魔・・・



オウムとかトンボと呼ばれるものの一部。



幾何学模様は、さすがに写せました。
   


パンアメリカン・ハイウェイと地上絵。巨大さが分かります。



ナスカ台地での遊覧飛行時間は30分くらいでした。
楽しくて、あっという間だったけど、見た、という充実感もありました。

ただ、これだけだとあんまりなので、お土産用に買った絵葉書も紹介します。

まずは有名なサル、尻尾が渦巻き模様になっています。






 上は木、下は有名なコンドル
 上は有名な蜘蛛、左下はオウム、右下は手


上はハチドリ、下は花



案外、絵葉書でもくっきりはっきりは写っていないものですね。
実際に見る方が絶対はっきり見えると思います。


ナスカ台地は固い白い岩盤の上に黒い砂利が薄く覆っているだけなので、砂利を少し掘れば下層の白い岩盤を露出させることができ、地上絵やラインを描くこと自体は容易だったそうです。雨が少ないことから、崩れることもなかったのだとか。
砂利をかき分けながら歩けば白い線が現れるし、地上絵は全て一筆書きのように描かれていることから、人々が線の上を歩く祭事があったのではないかとの説もあるそうです。実際、線の上を歩くことでマリア・ライヒ女子は地上絵のメンテナンスをしていたとか。

地上絵の中で最大のものは300mほどあるそうですが、杭やロープを使うことで小さな絵を比例拡大させることが可能であり、200mくらいの絵を描く実験も成功しているとのこと。

しかし、描き方が分かったとしても、そもそも何のために地上絵・ラインを描いたのかについては、マリア・ライヒ女史の太陽や星と線の位置から農作業の時期を判断したという天体カレンダー説、地下水脈の位置を表したとする説、線の多くが山に向かっていることから水をもたらす山への信仰を示すものだとする説・・・等々、未だに多くの説が分かれ、全く決着がつかない模様です。
いっそのこと、いつまでも謎のままの方がいいのかも。宇宙人説が完全に消えるのも寂しいし。


イカは砂漠とオアシスの町でした。



地上絵観光は純粋に楽しいです。
今ではナスカの地上絵だけでなく、より古いパルパの地上絵観光も可能だとか。
いいなあ。また、行きたい。



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参考文献

古代アンデス 神殿から始まる文明(朝日新聞出版・大貫良夫/加藤泰建/関雄二 編)
沈黙の古代遺跡 マヤ・インカ文明の謎(講談社+α文庫・増田義郎監修・クォーク編集部編)
埋もれた古代文明の謎(東京書籍・吉村作治監修)
古代文明の謎はどこまで解けたかU(太田出版・ピーター・ジェイムズ/ニック・ソープ著)