ティティカカ湖とシュスタニ遺跡

標高3855mのプーノ
ボリビアとの国境にまたがるティティカカ湖観光の拠点です。
近くにあるシュスタニ遺跡も見逃せません。
2004年5月訪問

写真はプーノの展望台から見たティティカカ湖


ティティカカ湖

ティティカカ湖はインカ発祥の地と言われ、初代皇帝が皇后となる妹とともにこの湖の太陽の島に降り立ったという伝説があります。
「ティティカカ」というのはピューマの石とか灰色のピューマという意味。なんでもティティカカ湖はピューマが兎を捕まえている形をしているそうです。インカの人たちは自然を何かに見立てるのが好きですね。
ティティカカ湖は琵琶湖の約12倍、島根県と同じ位という大きな湖で、最も深いところは約280m。
3800mを越える高地にある湖で、汽船が航行する湖としては世界で最も高地にあるそうです。

3枚の写真をつなげてみました。ちょっとずれましたが雰囲気は伝わるかと思います。
     


ウロス島めぐり

上の左の写真で湖に突き出た半島に白い建物が写っていますが、それが宿泊先のホテル。
ホテルの桟橋からティティカカ湖のウロス島めぐりに出ました。


ウロス島というのは、ティティカカ湖の浅瀬に生える葦を積んで作った人工の島のこと。ティティカカ湖は火山湖で深いところは280mくらいあるものの(火口跡もあるらしい)、プーノの街に近いところは、浅瀬なので、葦をどんどん積んでいくと、しまいには湖底にまで達して固定されます。そういう葦でできた島をウロス島と総称していて、湖には多くのウロス島・浮島に人々が住んでいるのだそうです。

ボートに乗って出発。綺麗な湖です。
ボートで3〜40分。それらしき島?が見えて来ました(右)。
   


最初の島に到着。
ここからは葦舟(トトラ舟)に乗り換えて2つの島を訪ねることになっています。
トトラ舟が、もう待っています。


最初に着いた島は、まだ固定しておらず、去年のクリスマスの日に風に吹かれて今の位置まで流されてきたとのこと。葦でできた島は軽いので、日によって、風によって、向きも変わるのだそうです。

この浮き島は結婚をすると新しく作ることが許されるそうです。でも、住んでいるのは必ずしも親族とかではなく、仲のいい友人とかが島をくっつけて大きくしたり、逆に考え方が合わなくなったりすると、島を切って、別々のところに流れていくのだとか。自由と言うか・・・。

ただ、島の上は歩きにくい。ふにゃふにゃというか・・・ぼきぼき、というか、葦が足にあたりますう。
島を見渡すと、家も葦でできています。最初に訪れた島には、なんと郵便局もありました。

トトロ舟。男性2人で1か月くらいかけて作るそうです。
葦舟は完全な浮き舟で、乗るところも水面より高くなっています。
最初乗るときこそ怖いものの、結構、快適。15人くらいは乗れるらしい。
船首を色々な動物の頭の形にするようです。
   


地元ガイドさんのお話では、ここらへんの部族で喧嘩に弱い部族がウロス島に住むようになったとか。インカ時代、貧しくて税金として納めるものがなかったので、囚人を罰するための蚤を納めたとか・・・。島の生活、もちろん不便なんでしょうけれど、思ったよりは快適そう。なんとテレビもあります。
実はフジモリ元大統領が大統領時代、ペルーの大統領として始めてウロス島に泊まり、その際、島の人たちにソーラー発電を贈ったのだとか(家の前の黒いのがそれ。電線もあります)。そのせいか、島の人たちの間では、未だにフジモリ元大統領の人気が凄かった。

で、テレビ(電気)が来て、どう生活が変わったんですか?と質問したところ、「妻は遅くまで働くようになり、夫はテレビを見るようになった」、「子供の数が減った」とのお答えでした。う〜ん・・・・・。

   

少なくなったと言っても子供たちが多い。日本語の歌を上手に歌ってくれました。


ティティカカ湖の夕暮れ。



明日は近くのシュスタニ遺跡に向います。




シュスタニ遺跡



プーノの北東約30キロのところにウマヨ湖という火山湖があり、その湖に突き出した半島にシュスタニ遺跡はあります。インカの遺跡と比べて日本では余り有名ではないですが、実に美しい場所です。

遺跡入口に小さな博物館があり、お勉強をしてから遺跡へ。
お勉強の成果は次のとおり。

シュスタニ遺跡は、インカより前の時代からこの地方に住んでいたコリャ人たちの墳墓群である。

なぜか、コリャの人たちは非常に小柄だった。

コリャの人たちは、ティワナクから石組技術を学び、インカはコリャから石組技術を学んだ、と言われている。

その人たちが石組技術をいかしてお墓を作った。
お墓は一族ごとに作ってある。
(○×家の墓というやつでしょうか)

で、その一族のステータスによってお墓にも立派なものや、そうでないものなど色々あるのだけど、要はお墓が集まっている場所である。

コリャの人たちは、先祖を祭る場所として、美しいこの場所を選んだ。

ふうん。要はコリャ霊園なのね、と思いつつ、遺跡へ。
(実は、この時点では、まだ、あんまり期待していなかったんですが・・・)

湖に突き出た半島といっても、墳墓群は小高いところにあるので、坂道を登って行かなくてはなりません。
ここの標高はプーノより高く、4000m位はありそうです。決して急な坂ではないのですが、ゆっくりとしか歩けない・・・。

地面には土器の破片が無造作に転がっており、遺跡の周囲にはアルパカが、のどかに放牧されていたりします。

で、まず、見えてきたのが下の写真の墳墓。丸いタワーのような形。

しかも、面白いのは単なる円筒ではなく上の方が大きくなっています。
この墳墓は、かなり石組みが立派で、貴族というか支配階級のものだったと思われますが、中には大人のミイラだけが葬られていました。
子供は大人とは別の扱いをしたようです。
墳墓の中には丸石を積み上げただけのものもありました。

凄いのは、これらの墳墓の下部にはドア型の穴が開けられていて、冬至の日に太陽が差し込むように作られていること。
これは命が蘇るようにと願ってのものだそうです。


のどかで美しい風景ですが、空気が薄い・・。
   


遺跡を登っていくと、石がサークル状に置かれている場所に出ました。
大きいサークルと、その隣にやや小ぶりのサークル。

ちょっと見は、単に石を円形に並べただけのようにしか見えませんが、実はここは神殿跡なんだそうです。

大きいほうはパチャママ神殿。大地の神です。
で、同時に、貴族階級のミイラを作る場所でもありました。
小さいほうのサークルは貴族以外の人たちのミイラを作っていたようです。

こおサークルも入り口は、墳墓と同様冬至の日に太陽が差し込む位置に作られています。

で、このサークルはパワーポイントなのです。
ガイドさんは語るのです。
「サークルの真ん中で深呼吸とか瞑想をするとパワーを得られる」と。

早速、やってみました。はは、効果あるわけないじゃん。

が、しかし。深呼吸を真ん中で2・3回しただけなのにもかかわらず、階段を登っても息切れしなくなりました。
さっきまで高度でひ〜ひ〜言っていたのが嘘のようです。他に試した人も同意見。
パワーポイント、ほんとう?



更に遺跡を進むと湖を見下ろす半島の先端に出ました。
余りの美しさに絶句。




紺碧の湖と、ただ静寂。
写真では素晴らしさの万分の一も伝えられない・・・。




立ち去り難い美しさです。
ペルーで一番美しかった場所はどこかと聞かれたら、迷わず、ここです。
こんな美しい場所を埋葬場所に選んだコリャの人たちに納得です。
ここを死後の住処とするなんて、なんという贅沢でしょうか。


フリアカからアレキパに向かう飛行機に乗ったら是非左の窓側の席を確保して下さい。
ティティカカ湖やシュスタニの美しい火山湖を見ることができます。


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基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。