チャウクンディ

カラチ近郊のチャウクンディ
世界最大級の墓石群ながら謎の遺跡
墓石に刻まれたレリーフが美しい。
2014年12月訪問



チャウクンディはカラチの東約27qのところに位置する墓石群です。1万から1万5000もの墓石があると言われていて、世界的にも類を見ない大きさだそうです。しかも、周囲に町や集落の跡がなく、砂漠に墓石のみが群立している不思議な場所。墓石に刻まれた幾何学模様や土葬であることからイスラム教徒の墓だとされていますが、詳しいことは分かっていません。

チャウクンディ入口。建ち並ぶのは墓石。


パキスタンにイスラム教が入ってきたのは7世紀のこと。イスラム教は土葬で、本来お墓は質素なものでした。チャウクンディの墓石群は謎が多いものの、おそらく15世紀ころにシリアから入ってきたバローチ族が建て始めたものではないかと言われています。彼らは70q離れた山から砂岩を運び出し、美しい幾何学模様を刻んで墓としました。チャウクンディが発見されたのは20世紀初頭のことで、墓石は15世紀から18世紀にかけてのものと考えられています。

お墓は南北の方向に置かれ、頭が北側。顔はメッカの方向を向いて葬られました。



お墓が密集しているのは家族と考えられています。


謎の多いチャウクンディですが、ここの見どころは墓石に刻まれた美しい幾何学模様。墓石には葬られた人の生前の特徴を示すものが刻まれています。男性の墓は頭の上・北側に宝冠かターバンのようなものを置き、女性の墓はネックレスや耳飾りなどのアクセサリーを刻みました。

宝冠・ターバンが置かれた男性の墓
 
 宝冠・ターバンがないのが女性の墓


男性の墓には武器を刻んだものもあります。軍人だったのでしょうか。
この墓には宝冠・ターバンの下に刀が彫られています。



こちらは弓が刻まれています。



こちらは馬に乗った姿が刻まれています。イスラムでは珍しいですね。
宝冠側の下の方に刻まれています。
 
 アップで撮ってみました。


こちらは女性の墓。
中央にネックレス。周囲に腕飾り。上には耳飾りが並んでいます。



こちらも女性の墓。ネックレスが並んで彫られています。



このような美しい彫りで飾られている墓石は300基ほど。全体で1万から1万5000の墓石があることを考えると、ごく一部です。当然貧富の差が反映しているのでしょう。墓石の中には屋根があるものや、周囲に囲いを設けたものもあり、それらは当然、豊かな人物・家族のものと思われます。

屋根があって立派です。部族長などのものなのでしょう。



こちらの建物も、かってはドーム状の屋根があったようです。



柱の彫りも綺麗です。
 
 ドームの下の美しい墓石



屋根のある墓石の先に美しい5基の墓石が並んでいます。
基壇の上に並んでいて基壇の彫りも美しい。


上の写真が逆光になってしまったので反対側から撮ってみました。
細かな彫りが見事です。


現地ガイドさん曰く「チャウクンディで一番有名。絵葉書になってる」とのこと。
絵葉書は見かけませんでしたが、確かに美しい。

男性と女性の墓が並びます。
 
 女性の墓。幾何学模様が美しい。



自由時間に散策してみました。
ここに眠っている人たちはどんな人生を送ったんでしょうね。
小さいお墓は子供のもの。



お墓の下にはランプを置いてお供えしたんだそうです。



チャウクンディを訪れたのは実は日の出前の時間
散策中に日が昇りました。



日がだいぶ昇ったところでチャウクンディの観光は終了。



日本ではガイドブックにも載っていない遺跡です。
でも、とても素敵でした。
お墓なのに明るい雰囲気。
宗教観の違いなんでしょうか。


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参考文献を探すことはできませんでした。
現地ガイドさんの説明を元にまとめています。