ハラッパー パキスタン中部に位置するハラッパー モヘンジョダロと並ぶインダス文明の都市遺跡です。 破壊が進んだ遺跡は不思議に満ちています。 2015年1月訪問 写真は城砦部
ムルターンの町から車で3時間ほど。ラホール・カラチ間を結ぶ線路を越えます。 実は、この線路の下にハラッパー遺跡の焼煉瓦が使われています。
線路を横切ると、間もなく遺跡入口。 遺跡入口には小さな博物館。
博物館を出て、いよいよ遺跡に向います。 遺跡の地図がありました。
遺跡入口から入ってすぐのところに今は何もない場所があります。 ここは墓地。城壁の外側に位置します。 墓地から坂道を登って行くと城砦部に出ます。 城砦部 坂を登ってすぐのところに公開された遺跡がありました。 曲線を帯びた壁と井戸、排水溝が残る地区。 煉瓦の上に泥が塗ってあるのは保存のため。 この方角から見ると曲線を帯びた壁の形がよく分かります。変わった壁です。 反対側に廻って撮ってみました。 こちからだと丸い井戸や、その周囲に張り巡らされた排水溝がよく分かります。 煉瓦が四角く積まれているのは柱の跡。 井戸の近くに幾つも煉瓦が敷かれているのは「浴室」だそうです。 「浴室」と井戸、柱、排水溝。
少し先に進むと見事な排水溝が残っていました。
ここは城砦部の上流階級の居住地だったと考えられているそうです。 少し高い所から撮ってみましたが・・・ う〜〜ん。やっぱり、よく分からない。 やはり多くの煉瓦が持ち去られてしまったのが痛いです。 かってはモヘンジョダロのように高い壁が造られていたのでしょうけれど・・・ ほとんど基礎部分しか残っていないので往時の姿を想像するのも難しい。
聖者廟やモスクは城砦部の中でも小高いところにあります。 きっと下に何か埋まってるんだろうなあ・・・。 市街地 モスクを過ぎて坂を下ると城砦部の北に位置する市街地に出ます。 少し歩くと発掘された場所に出ました。 市街地の職人街だそうです。ここでインダス式印章が発見されたとのことでした。 しかし、ここも街並みを想像するのも難しい・・・。 気が付けば、遺跡の中で農作業。 鉄道工事で破壊が進んだ遺跡ですが、現在進行形でも破壊されてるんじゃないでしょうか・・・。 写真撮ってたら、脇を子供たちが遺跡に駆け降りて行きました。遊び場所になってるようです。 すぐそばで放牧されていたラクダたち 近くに面白い場所がありました。 煉瓦で造られた円形の壇のようなものが幾つも並び、奥の方には屋根で保護された場所があります。 現地ガイドさんは「貿易をした場所」と説明しましたが、 日本の本を見てみると「労働者階級の居住地」となっています。
この円形の壇は幾つも並んでいます。
穀物倉 少し離れたところに「穀物倉」があります。 上の区画よりも低い所にあって、上から全体を見渡せます。 真ん中に道があり(手前で曲がっていますが)、両側に大きな建物。 道を挟んで建物が整然と並んでいるのが分かるでしょうか。
下に降りて近くから見てみました。 日本の本には床下に通風施設を備えていたと書かれていますが・・・ 実はハラッパーの穀物倉もモヘンジョダロの穀物倉も、一粒の穀物も発見されていないそうです。 ですから、本当に「穀物倉」だったかは謎。 以上、遺跡見学だけで、ざっと2時間弱かかりました。 博物館で見るインダス文明 最後に各地の博物館で見たインダス文明を紹介。 パキスタンの博物館は写真撮影禁止が多いのですが 写真が撮影できる野外展示やラホール博物館の展示品を紹介します。 インダス文明の宗教 インダス文明の宗教は具体的には分かっていません。 有名な神官王像も、実際に神官だったのかは不明です。 ただ面白いのは牛の角のようなものを付けた人物像が印章に彫られていることが多いこと。 神官王像も頭の後ろが鋭角に削られていて、かっては角を着けていたとも考えられています。 後のシヴァ神や聖牛信仰ともつながるものかもしれません。
また、神官王像の服の模様も興味深い。かっては彩色されていたという説もあります。 インダス文明で染色が行われていたということの根拠のひとつにもなっています。 なお、神官王像のオリジナルがどこにあるかについては諸説あり どこかの金庫という説もありますが、カラチ博物館は「うちのがオリジナル」と言っています。 女性たち 有名な踊り子像は腕に30もの腕輪をしています。 数多く発見されている地母神はいずれも多くのネックレスを付けて華麗に装っています。 きっとインダス文明の女性たちは思い思いに着飾っていたんでしょうね。 テラコッタの地母神像が着けている扇のような頭飾り?は数多く見られます。
インダス文明を代表する交易品の中に「紅玉髄」というものがあります。 博物館で見ましたが、美しい赤い石で白い模様が付けられました。 写真に撮れなかったのが残念ですが、女性たちの装いは色鮮やかだったと思われます。 インダス式印章 インダス文明といえば有名なのが印章 本物はどれも小さく、きっと写真撮影が可能でも上手く撮れなかったと思います。 印章の図柄は、とても個性的で彫りが素晴らしい。 モヘンジョダロ博物館の壁面を飾っていたレプリカ(拡大されたもの)を紹介します。
印章に彫られているインダス文字も魅力的。いつか解読されるのか・・・。 おもちゃ ラホール博物館に展示されていた牛車のおもちゃ(レプリカ) インダス文明では既に車輪が発見されていました。 牛車の姿は今も見かける姿と余り変わりはありません。 他にも遺跡からはインダスの人々の生活を楽しませていた様々な品々が発掘されています。 ラホール博物館に、そのレプリカが展示されていました。
謎の文明、インダス文明 当時の人々は生活を楽しんでいた気がします。 パキスタンの遺跡に戻る 南アジアの遺跡に戻る 参考文献 インダス文明 インド文化の源流をなすもの(NHKブックス) 四大文明 インダス(NHK出版) 基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。 |
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