シャリマール庭園

皇帝が家族のために造った広大な庭園
皇帝が見た天国の夢を元に造られたものだそうです。
ラホール城と共に世界遺産となっています。
2015年1月訪問

写真は2段目のテラス


シャリマール庭園はムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが1642年に家族のために造営した庭園です。皇帝が夢で見た天国を再現したものだそうで、3段のテラスとなった庭園を水路が流れる構造。世界遺産となったのは、おそらく、この水路・噴水の技術が凄いから。
造営当時はラホールの郊外に位置し、皇帝は家族と共に保養のため、この庭園を訪れたといわれ、庭園内には皇帝や家族が泊まった建物・小宮殿も残っています。
ラホール市街の拡大により現在は庭園は市内に組み込まれ、市民の憩いの場となっています。

3段の一番上の壇から見学。
デング熱対策で水が抜かれ、噴水が動いていないのが残念。


一番上の壇はペルシャ式の左右対称の庭園。
正方形をしているそうで、マンゴーやミカンの木が植えられています。
水路に沿って進むと(広いので結構歩きます)、小宮殿に出ました。

小宮殿から見た2段目のテラス。はるか先には一番低いテラスも見えています。



庭園2段目・中央のテラスには大きな池が配置されています。

 池の中央には踊り場があって左右に通路
池の手前には玉座があって撮影ポイント
 池の左右には赤砂岩のパビリオン
池中央に繋がる通路が通っています



小宮殿から降りて撮影ポイントとなっている玉座に出ました。


この玉座周辺、変わった構造。

小宮殿から白大理石が三角形に組まれていて、その斜面に美しい模様が彫られています。

実は、かっては、この斜面を水が流れ、その水が玉座の下を通って池に流れ込むようになっていたのだそうです。人工の滝ですね。

この人工の滝の周囲にはランプを置き、水に写るランプの色と水の流れる音を楽しんだということでした。凄いお洒落。

この庭園は第5代皇帝シャー・ジャハーンが夢に見た天国を地上に再現させたものと言われています。

現地ガイドさんによると一番上のテラスは皇帝が夢に見た天国にマンゴーやミカンや花がたくさんあったので、それを元にデザインし、次の壇は皇帝が踊りを見るために造り、そして最後の一番下の壇は星を見るために造ったものなのだそうです。

つまり、皇帝はこの人工の滝の下にある玉座で光と水の音を楽しみながら、池の中央の踊り場で踊り子が踊る姿を鑑賞していたということになります。
帝国の皇帝って、やっぱり優雅です。

池の反対側から見た小宮殿
かっては黄金や宝石で飾られた美しい宮殿だったそうです。



2段目の端から一番下のテラスを撮ってみました。
白大理石で通路のような橋のようなものが建てられています。



一番下の壇に降りて見てみました。


ここも面白い構造

皇帝が踊りを楽しんだという2番目の壇から、一番下の壇に繋がる部分も、かっては滝になっていました。

今は水が流れていませんが、かってはこの段差部分を水が流れていたわけです。

面白いのは滝となった部分の壁にたくさんの窪みが造られていること。

これは単なるデザインではなく、かっては、この窪みに様々な色のランプを置いたのだとか。

滝を裏から様々な光で照らしていたわけです。
綺麗だったでしょうね。

通路というか橋のようになっている部分を散策したりして、光と音を楽しんだのでしょうか。

皇帝っていうのは本当に贅沢です。家族が楽しむためだけに、こんなに広い庭園を造り、色々な工夫をしたわけですから。

今のパキスタン政府はお金もないみたいだから水を流すことも管理もできないけど、かっては潤沢な維持費をかけてたんでしょう。


ここで自由時間となりましたが、折角だから一番端まで行って見ることにしました。



結構歩きます。
一番下のテラスの端から撮ってみました。
噴水が動いていたら、全く景色が違うんでしょうね。



正直、最初は「なんで世界遺産?」と思いました。
タージ・マハルのないタージ・マハル庭園みたいじゃないですか。
おまけに水は枯れているし、池の水もよどんでいるし・・。

でも・・・
噴水が動き、水が流れ、庭木が左右対称に美しく手入れされていたら・・・
想像すると全く違う景色が見えて来ます。

美しい青い水が池を満たし、滝や噴水が白い水しぶきをあげていたら
当時の人には、本当に地上に再現された天国に見えたんじゃないでしょうか。


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参考文献

ユネスコ世界遺産D(講談社)
世界遺産を旅する8(近畿日本ツーリスト)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。