クラック・デ・シュバリエ

地中海とホムスの中間点にあるクラック・デ・シュバリエ
クラック・デ・シュバリエとは「騎士の城」という意味です。
最も保存状態の良い十字軍の城と言われます。
2003年7月訪問

写真はクラック・デ・シュバリエ全景


クラック・デ・シュバリエは切り立った山の上に建っています。まさに天然の要塞です。元々はアラブの砦だったものを十字軍が奪い、十字軍の城に改修・増築しました。1142年から1271年に城を所有していたのは聖ヨハネ騎士団。一時は4000人もの兵士が駐屯していたといいます。

城は二重の防壁になっていて、外壁には13の塔があり、衛兵の小屋・馬小屋・倉庫などがあります。内壁と外壁の間には堀があり、内壁内には集会所・食堂だけでなく礼拝所もあります。かって、正門には跳ね上げ門があったそうです。



城内に入ります。
光りをうまく取り入れているようです。ちょっと幻想的でかっこいい。




切り立った壁。凄いです。これを攻めるのは大変でしょう・・・・。
   



外壁から内壁へ
   

外壁と内壁で二重の防御を考えているのが分かる写真を選んでみました。左の写真、垂直に切り立つ外壁の縁を歩いています。かっては兵士がここで戦ったんでしょうね。
右の写真、内壁に入る入口です。後ろに外壁が写っています。


内壁の中には中庭もあります。


武骨な印象のクラック・デ・シュバリエですが、ここでは綺麗な装飾がなされていました。
この部屋はラージ・ルームと呼ばれています。



城の頂上付近から周囲を見渡してみました。
先ほど歩いた外壁が下に見えます。


小高い山の上にあるだけのことはあります。敵が攻めてきたら一目瞭然。地中海からの風は物凄く、立っているのも辛いほどですが、かっては、ここで何回も戦いが繰り返されていたのです。

それにしても、こんな高いところで戦った兵隊さんたちというのは凄い。手すりも何もないんですよ。砦である以上、当たり前なのでしょうけれど、高所恐怖症の兵隊さんは生き延びられません・・・。

162年間に渡って十字軍の支配下にあったクラック・デ・シュバリエですが、1271年にはついにアラブ人に攻め落とされ、以後はアラブの支配下に入ります。物凄い戦いだったんでしょうね。


十字軍の城というのは、なかなか見ることが出来ないのではないでしょうか。
私が訪れたのは2003年ですが、その後の2006年に世界遺産に登録されています。
天空の城ラピュタのモデルということで、若い人たちにも人気があるようです。


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参考文献

イスラムの誘惑(新潮社)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。