リュブリャナ

ユリアン・アルプスの麓
様々な様式の美しい建物が並ぶ
スロヴェニアの首都
2019年ン10月訪問

写真はリュプリャナ城からの眺め


スロヴェニアの首都リュブリャナ。スロヴェニアは西はイタリア、北はオーストリア、東はハンガリー、南はクロアチアに囲まれた中欧の国で、面積は四国ほど、人口は200万人という小さな国。
リュブリャナも首都と言っても人口27万人という日本なら地方都市規模の小さな街です。しかし、街にはルネッサンス・バロック・アールヌーボーと様々な様式の建物が残り、しかも晴れた日にはイタリアやオーストリアの国境となっているアルプスの山々の美しい姿を見ることもできます。

新市街のホテルから旧市街を目指します。
途中、アールヌーボー様式の美しい建物がいくつもありました。

なんとも個性的なピンク色
ちょっとオリエントな雰囲気
 
 白く美しい建物
今はホテル


ピンク色のフランシスコ会教会が見えて来ました。



プレシーレノフ広場



プレシーレノフ広場は旧市街に通じる三本橋の手前にあるリュプリャナの中心的広場です。

広場に面してピンク色のフランシスコ会教会が建ち、橋の近くには広場の名前の由来となった19世紀のロマン派の詩人プレシーレンの像が置かれています。
スロヴェニアは1991年にユーゴスラビアから独立しましたが、独立後の国歌にはプレシーレンの詩が用いられました。

旧ユーゴスラビアの中でもスロヴェニアはビザンティン帝国とオスマントルコの強い影響を受けなかった唯一の地域で、他の旧ユーゴの国々とは異なりバルカンには属さないとされています。

スロヴェニアは8世紀のフランク王国の支配を経て、10世紀に後の神聖ローマ皇帝となったオットー1世の公国に組み込まれ、14世紀以降はハプスブルグ家の支配下に入りました。
19世紀初頭にナポレオンの短い支配があったものの、オーストリア・ハンガリー王国の支配は第1次世界大戦の終戦まで長く続きました。

このためスロヴェニアはオーストリア・ハンガリーの影響が色濃い国と言われています。


ピンク色のフランシスコ会教会は17世紀に建てられたバロック様式

頂上では聖母子が街を見下ろしています
 
 地球を持つ神

広場の周囲はお洒落な建物ばかり



 お洒落な入口。
 伝統的様式の建物なのでしょうか。可愛い。


三本橋

プレシーレノフ広場から旧市街へと繋がる3本の橋


新市街と旧市街を繋ぐ三本橋。リュブリャニャニツァ川にかかる旧市街への入口である橋は元々は木造の跳ね橋で夜になると吊り上げて旧市街には入れないようになっていました。現在の橋は1930年代に建築家プレチュニクにより建設された石造のもの。本来は中央の橋が車道で左右が歩行者用だったそうですが、今では中央の橋も歩行者(観光者?)が大勢歩いています。

3本の橋であるのを分かるように撮りたかったんですが、なかなか難しい。
 

三本橋であるのが分かるでしょうか。
橋を渡れば旧市街。橋の正面の丘の上にはリュブリャナ城。


真っ直ぐ進むと市庁舎がある広場に出ますが
川沿いに進むことになりました。
ギリシャ建築の柱廊のような建物も三本橋を建設したプレチュニクの作品。



肉屋の橋

前衛作家の彫刻があると思ったら肉屋の橋の入口でした。
恋人たちが愛の誓いに南京錠を橋に付けるのが流行っていて若人の恋愛スポットになっています。

 橋のたもとにはアダムとイブの像
 凄い量の南京錠

アダムとイブの像は失楽園の場面だと思うんだけど、こんなところで愛を誓って良いのでしょうか。
更に進むと獰猛な顔の竜がいます。

竜の橋

   

4匹の竜が守る竜の橋。この竜はリュブリャナの守護神。伝説ではギリシャ神話の英雄イアソンが金羊皮をコルキスから奪ってギリシャに戻る途中、この町の近くでドラゴンを倒し、そのドラゴンが町の守護神になったとされているそうです。コルキスは黒海東岸・今のジョージアにあったとされる国なので、ギリシャへの帰路、ここに立ち寄るなんて無理なんじゃないかと思いましたが、帰国後調べたらイアソンの一行は帰国の際、イタリアのサルディーニャ島のあたりまで放浪したとのことなので一応辻褄はあっているようです。倒された竜が守護神になると言うのも面白いですね。

この竜の橋からリュブリャナ城へのケーブルカー乗り場はすぐです。
途中、普段なら賑わっている青果市場を通りました。

日曜日なのでお休みの青果市場
 
 お城へのケーブルカー


ケーブルカー乗り場の手前に可愛いカンガルーがありました。なんだと思います?

 カンガルーの手のボタンを押すと・・・
 水が出て来ます。手洗い場だったんですね。


ケーブルカーを降りたら、ここにも竜がいました。影もかっこいい。
   


リュブリャナ城

階段を上るとお城の中庭に出ます。



お城の立体模型


街を見下ろす丘の上に建つリュプリャナ城。1144年に建てられ、14世紀からハプスブルグ家の所有となりました。かって牢屋として使われた部屋や見張り台などが残っていますが、カフェや結婚式場にもなっています。ケーブルカー乗り場の上の城壁には上ることができて見晴らし抜群。

美しいユリアン・アルプスの山並み
イタリアやオーストリアとの国境となっている山々です



これまで歩いてきた川沿いにあった柱廊のような建物、竜の橋、市場、
そしてケーブルカー乗り場に続く道を見下ろせます。



時計塔
牢屋だった部屋や礼拝堂もこのあたりにあります
 
時計塔近くの礼拝堂
15世紀に建てられたもの


歴史を感じさせる建物がカフェになってました。お洒落。



お城から麓に降りて更に街を散策

聖ニコラウス大聖堂

 青いドームと鐘楼
 聖人たちの像

聖ニコラウス大聖堂は18世紀にバロック様式で建てられました。青いドームと鐘楼が印象的。近くからは鐘楼は1本しか見えませんが、実は2本あって遠くからは良い目印になってます。
日曜日でミサをしていたので残念ながら内部は見学できませんでしたが、外側の6人の司教のレリーフや正面入口の扉のレリーフが美しい。正面扉には上部に法王と3人の司教が、その下には生命・力の象徴の木とともにスロヴェニアの歴史が彫られています。オスマントルコの兵に子供が連れ去られるシーンなども彫られていて、この地方の厳しい歴史が伝わってきます。

6人の司教
 
 キリスト教伝来の歴史


きれいな雰囲気のある通りが続きます。

 お洒落なカフェ
 可愛い観光バス


リュプリャナ市広場



大聖堂の近くにオベリスクの立つリュプリャナ市広場があります。

オベリスク近くの緑色の時計塔が魅力的な建物は市庁舎。

この市庁舎はリュプリャナの旧市街で最も古い建物で15世紀に建てられたもの。その後、バロック様式を取り入れて改修され、現在の姿になりました。
現地ガイドさんによると、時計塔の上の風見鶏は鳥じゃじゃなくてドラゴンなんだとのこと。

オベリスクはイタリアのコピーだそうで、3つの川を擬人化した像で飾られています。建物の影になってしまって写真が暗くなってしまいましたがなかなか美しい。川の擬人化だからか、持ってる壺から水が出てました。

広場の市庁舎側から撮ったのが右の写真。
青いドームと聖ニコラウス大聖堂もすぐ近く。大聖堂の2本の鐘楼も良く見えます。

ここから旧市街観光の出発点だった三本橋までは数分の距離。散策では川沿いに曲がって進んで来ましたが、橋から真っ直ぐ進めばこの広場に出ます。

市庁舎
 
 時計台


スロヴェニアというと、どこ?とか
スロヴァニア?とか言われがちですが
絵になる街角が続く美しい国でした。



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参考文献

図説バルカンの歴史 芝宣弘著 ふくろうの本 河出書房新社
るるぶ クロアチア・スロヴェニア

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。