ガウディの建築物

ガウディの活動拠点バルセロナ
サグラダ・ファミリア以外にも多くの作品が残されています。
街に点在するガウディの作品を訪れました。
2018年3月

写真はグエル公園の守衛小屋


アントニオ・ガウディはバルセロナ近郊のレウスという町で金属細工の職人の家に生まれました。建築家が作品を残すには建物を建築するだけの財力が必要ですが、家系にも人脈にも恵まれなかったガウディが多くの建築物・作品を残せたのは19世紀のバルセロナの特殊性にありました。
カタルーニャ地方はスペインで唯一の産業革命が興った場所で、その中心であるバルセロナでは街の拡大に伴い、多くの富裕層により建築家に多くの製作の場が与えられたのです。

グエル公園

カタルーニャ屈指の実業家だったグエルの名の付く公園はバルセロナ北部にあります。
ガウディの時代はバルセロナの中心部から離れた郊外でした。


グエル公園は元々はガウディのパトロンであったグエルがロンドン郊外の田園都市に感動し、バルセロナ郊外にも美しい田園都市を造ろうと始めた新興住宅地造成計画。グエルの構想に共感したガウディはパブリックスペースの建築や道路整備を行いますが、残念ながら分譲は全く進まず計画は挫折。しかし、代わりに美しい公園となりました。上の地図の黄緑色の部分が中央公園。正門(今は出口専門)から入って真っ直ぐ進むとモニュメント階段があり、そこを上ると多柱室。多柱室の上が美しいベンチで囲まれたラ・ナトゥーラ広場。最大の見どころは、この中央公園周辺ですが、駐車場・入口は中央公園から離れた場所にあり、緑の中を歩くことになります。

公園に入ると目に入る遊歩道。雨の日も恋人たちが濡れることなく散策できるようになっています。
   

土地の高低差を上手く工夫しています。



多柱室の上の中央広場が見えて来ました。美しいベンチで囲まれています。


この中央広場は行事用の野外劇場として造られました。

タイル破片で美しく飾られたベンチ。
   

ベンチは波のように曲線を描きます。様々なタイル模様が楽しい。
 

ベンチから正門付近が見えています。



広場から見下ろした正門周辺。おとぎ話に出て来そうな家が正門の左右に建っています。
左側が管理小屋。右側の塔のある家が守衛小屋



実は広場は修理中。普段は床の下に隠れているものが見えました。
広場の下に水を集め、これを下の多柱室の柱を通して地下の貯水槽に溜めています。



多柱室に下りて行きます。
   


多柱室の天井。太陽や月が飾られていました。
ガウディの協力者ジョゼップ・マリア・ジュジョールの作品。


この柱の中を通して水が地下に溜められています。
この多柱室は市場といて利用される計画でした。

多柱室から見た正門。手前はモニュメント階段



モニュメント階段(大階段)
ここにはグエル公園のシンボルになっているドラゴンがあります。

有名なドラゴン。トカゲにしか見えない。
 
 お顔がカワイイ。


トカゲの下も階段は続きます。
 
 エリマキトカゲ?ギリシャ神話の蛇らしい。


下から見た多柱室。ギリシャ建築のようです。写真の左下にはドラゴンもいます。



階段の下には雨宿りに良さそうな場所もありました。



管理小屋と守衛小屋



ダリは「ケーキのようだ」と言い、ミロは「粉砂糖をかけたお菓子のようだ」と評したそうです。
おとぎ話のお菓子の家のよう。特に守衛小屋は可愛すぎる。こんな屋根はガウディしか造らない。
   


多柱室を階段を下りずに横に進むと洗濯女の回廊
回廊入口
 
 時間がなくて奥に行けませんでした。残念。



カサ・ミラ



バルセロナのパッセイジ・デ・グラシア通りに面して建つカサ・ミラもガウディの代表作の一つ。史上初めて地下駐車場を持つマンションとして建築されました。街のメイン通り、しかも交差点に面して建つカサ・ミラは非常に目立つ、大きくて立派な建物です。直線部分が全くない非常に斬新な建物で、ガウディは石工にノミを入れさせてカーブを造りました。しかし、建築当時は評判が悪く、「石切り場」と言われたそうで、ガウディは施主ともめてしまい、完成させたのはグエル公園でもガウディに協力したジョゼップ・マリア・ジュジョールです。
「山」をイメージしているとしている本もありますが、波立つ曲線は海をイメージしているように思われます。バルコニーを飾る鉄製の飾りを現地ガイドさんは「海藻みたい」と言っていました。



カサ・バトリョ

カサ・バトリョもパッセイジ・デ・グラシア通りに建っています。カサ・ミラからも歩いてそんなにかかりません。

カサ・ミラがマンションだったのに対して、こちらは個人の邸宅。繊維業者であるバトリョ氏の邸宅です。

パッセイジ・デ・グラシア通りは19世紀末ころから街の中心としてブルジョア達が競って邸宅を建てるようになっていて、バトリョも購入した古い建物を取り壊してガウディに新築建物を依頼しました。ガウディが依頼を受けたのが20世紀になったばかりの1901年。
しかし、ガウディは新築ではなく改築することで、古い建物を一新させました。

通りからカサ・バトリョを眺めると、まず目に付くのが2階の窓を飾る骨のような柱。完成当時は「骨の家」と新聞で書かれたそうです。

そして、目を上にやると、花で飾られたかのような美しい外壁。

少し角度を変えて建物を横から見ると、ファサードが曲線で構成されているのが良く分かります。いかにもガウディっぽいですね。

 建物上部の美しい壁
 横から見たカサ・バトリョ

入口を入ると2階に通じる階段。ドラゴンの骨のようです。
ドラゴンの骨のような階段
 
 手すりの美しい曲線

2階に上がるとマントルピースのある小さなホール
マントルピースのベンチは1人掛けと2人掛けのベンチが向かい合っていて
これはカップルと若い女性の付き添いが座れるようにしてあるもの。


当時はカップルが2人だけで会うことは許されなかったのだそうです。

マントルピースのある部屋の先がバトリョ家のメインのサロン
美しいステンドグラス。窓の外には骨のような柱


街のメイン通りに面したこのサロンで客たちはもてなされました。
海のイメージでしょうか。サロンの天井はまるで海の渦のよう。


美しいシャンデリア
欄間にも美しいガラスがはめ込まれています。
 
 ステンドグラスが何とも幻想的
窓を開ければテラスになるそうです。


通りの反対側はバトリョ家の人々のための居間
1階の屋根が中庭になっていて、外に出られるようになっています。


居間の天井には輪のような装飾
 
 窓から見た中庭

窓の近くに置かれたオブジェ
 
 中庭から見たバトリョ邸

中庭の装飾。タイルのモザイクが美しい。



再び建物内を見学
建物には吹き抜けがあるのですが、太陽の光の強さを考えて
上の方は濃い青、下の方は淡い青となっています。
   


廊下
 
 屋根裏部屋


屋上には幾つもの不思議な形の煙突


煙突の奥の茶色い物体は「ドラゴンの背」と言われますが、
実際には水槽タンクが置かれる小屋でした。


煙突はペンキを塗ったガラスで飾られています。
 
「ドラゴンの背」とダブル十字



グエル邸

ガウディの生涯のパトロンであった実業家グエル氏の邸宅
旧市街、ランブラス通りから入ったところにあります。
時間切れで中は見学できませんでしたが、外観も実に見事でした。

ファサードのパラボラ・アーチと見事な鉄細工の装飾



金属職人の家に生まれただけあって実に見事な鉄細工
 


見上げると屋上にいくつもの煙突


カラフルな煙突



実際は2日に分けて見学しましたが、紹介した4カ所は1日で回れます。
観光時間が長い夏ならグエル邸も入場観光できたのではないでしょうか。

カサ・ミラとカサ・バトリョはどっちを入場観光にしようか迷ったんですが
カサ・バトリョにして良かった。実に見ごたえがありました。
入場料は高いですが維持・保存に使われるそうなので我慢しました。


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参考文献

バルセロナのガウディ建築案内 丹下敏明著 コロナブックス 平凡社
添乗員ヒミツの参考書魅惑のスペイン・紅山雪男著・新潮社
プロの添乗員と行くスペイン世界遺産と歴史の旅・武村陽子著・彩図社


基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。