ラ・マンチャ

青い空に白い風車
ドン・キホーテの舞台は
風が強かった。
2018年3月訪問

写真はコンスエグラの風車


マドリッドの南、カスティーリャ・ラ・マンチャ州の中でも州都トレドの東南に位置するラ・マンチャ地方。ここは風が強く標高の高い平原地帯でドン・キホーテの舞台となった場所。ラ・マンチャという言葉はアラビア語の「乾いた大地・マンシャ」に由来すると言われ、川が少なく夏の雨量も少ないことからかっては赤茶けた大地が広がる貧しい地方でした。今ではダムができて農業も盛んになってきているそうですが、小高い丘の上に並ぶ風車は観光名所となっています。

コンスエグラ



コンスエグラは12世紀の要塞が残る町。要塞の近くの丘の上に11基の風車が並ぶことで有名です。

この要塞は元々はイスラムのものでしたが、カスティーリャ王がイスラムを撃退し、後に聖ヨハネ騎士団に寄付したもの。

この地に風車をもたらしたのは要塞にやって来た聖ヨハネ騎士団だと言われています。ヨハネ騎士団は様々な国の出身者で構成されていたので風車の知恵を持っている人がいたんでしょうね。

この風車、近寄ってみると結構大きい。ドン・キホーテが風車を巨人と思い込んで突撃したというのも分かる大きさ。

丘の上に並んだ風車は色んな方向を向いていましたが、風車の向きは屋根を動かして調整します。風車の後ろには太い棒があって、この棒をロバに引かせて屋根を動かすんだとか。

内部を公開している風車もあって、入ってみると2階に大きな歯車と石臼がありました。風車の回転を縦軸の回転に変えて、縦軸の回転で石臼を動かす仕組み。ラ・マンチャ地方の風車は全て粉ひきのためのものだそうです。

大きな石臼
 
 大きな歯車


丘の上に点々と並ぶ風車
中には風車がないものも・・・修理中なのか使われなくなったものなのか。
使われなくなると、まず風車が、次いで屋根が壊れ、最後に白い建物部分だけが残るのだそうです。



並んだ風車の向きが逆というのは面白い。


風車見学の時は強風注意です。
考えてみれば風が強い場所だからこそ風車を建てたんでしょうけど
半端でない風の強さでした。


プエルト・ラピセ



コンスエグラ近くのプエルト・ラピセの村の街道沿いにはドン・キホーテの作者セルバンテスが何回も泊まったという旅籠が残っています。

騎士道物語の読み過ぎで正気を失ったドン・キホーテは街道沿いにある旅籠を城と思い込み、旅籠屋の主に正式な騎士として叙任してくれと願い出ますが、その旅籠のモデルがここなんだそうです。

中庭に面して回廊があって、多くの部屋が並んでいます。そして、中庭には釣瓶のついた井戸と馬やロバが水を飲んだ水盤が置かれていて、その隣にはドン・キホーテの像。
ドン・キホーテの像の他はセルバンテスが泊まった当時のままだそうです。馬に乗った旅人やロバに荷物を積んだ商人たちが訪れたんでしょうね。水盤の大きさからすると、何頭もの馬やロバが水を飲めそうです。

今は旅籠ではなくレストランになっていて、お茶や食事を楽しめるし、お土産も売っているし、2階はドン・キホーテの博物館になっています。

トイレ休憩も兼ねて立ち寄るツアーが多いようで、大型バスが何台も停まってました。我々もそのひとり。お茶も美味しかった。

かっての農具も置いてありました。



2階の博物館は無料。ドン・キホーテに関連するものが展示されています。


世界各地で翻訳されたドン・キホーテも展示されてました。
下のは日本語版。サムライの格好のドン・キホーテ。



ドン・キホーテの書斎(イメージ展示)
 
 素敵なイラスト


ドン・キホーテは大人気




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参考文献

添乗員ヒミツの参考書魅惑のスペイン・紅山雪男著・新潮社
プロの添乗員と行くスペイン世界遺産と歴史の旅・武村陽子著・彩図社

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。