カタルーニャ音楽堂

モダルニスモの提唱者モンタネール
かってガウディ以上の名声を博した建築家
その最高傑作がカタルーニャ音楽堂です。
2018年3月訪問

写真は大ホール


ルイス・ドメネク・イ・モンタネールはガウディと同時代の建築家。ガウディが金属細工職人の家に生まれたのに対し、モンタネールは上流階級出身。バルセロナ建築学校の教授・学長を歴任した人物で、2歳年下のガウディを教えたこともあったそうです。更に政治家としても活躍しました。

現在はガウディの名声に隠れてしまって余り有名ではありませんが、モンタネールはスペイン風アール・ヌーヴォーと言えるモデルニスモ(ムダルニズマ)の提唱者で、当時はガウディより名声を博していました。

モデルニスモというのはアール・ヌーヴォーの影響を受けながら民族主義的な伝統の再生も図るというもの。ゴシックやムデハルといった歴史様式を基礎に、伝統的技法を取り入れつつ新素材を導入するという独特のスタイルです。

カタルーニャ音楽堂はモンタネールの代表作であるだけでなくモデルニスモ建築の代表作とされています。

この音楽堂はカタルーニャ・ルネッサンスで指導的役割を果たした合唱団のために建てられた「庶民のための音楽堂」。上流階級だけでなく庶民に音楽を楽しんでもらうことを目的としていました。また、この合唱団は世界で初めての合唱団に女性を加えた合唱団でもありました。

カタルーニャ音楽堂はバルセロナの旧市街・ゴシック地区にあり、カタルーニャ広場から歩いて5分ほどの距離。アパートの立ち並ぶ狭い路地の中に突然現れます。

外観

カタルーニャ音楽堂は1908年完成。赤レンガ造りの建物には様々な装飾が施されています。

建物正面上部
 
 入口付近


2階ベランダには薔薇の花で飾られた多くの美しい柱。天井も美しい。
柱の上にはベートーベンやバッハなどの音楽家の胸像。


モンタネールは薔薇の花が大好き。花の建築家と呼ばれるそうです。

建物の角にはまるで船のへさきのように彫刻が彫られています。
バルセロナの守護聖人サン・ジョルディ(聖ゲオルギウス)が庶民を音楽に誘うイメージ。
   


音楽堂の横側
 
 かってのチケット売り場。かわいい。

現在はここではチケットは買えません。入口は横の現代的な建物となります。
モンタネールの建物を保存する形で増築がなされたということでした。

入口周辺
 
 ガラスの奥に元々の建物

現代的な入口から入ると、そこはモンタネールの素敵な世界。

1階

1階に入るとバルになっていました。軽食がつまめます。ここにも薔薇の花の装飾。
   

こんなお洒落な空間で軽食を摂ったり、お茶したりするのって、凄い贅沢。
庶民の幸せっていうのかな、分かってる感じですよね。

バルの横の小ホールでお勉強をしてから見学開始。。
音楽堂の内部観光はガイド付き。ガイドさんに従って2階の大ホールへ。

階段も上品で綺麗。庶民向けとは思えない優雅さ。


階段を上ると、いよいよ大ホール。
2階席に通じる階段は続きますが、まずは1階席からの見学です。
   


大ホール

入った瞬間、目に飛び込んでくる大ステンドグラス



そして、美しい舞台


大ホールに入ると、まず天井の素晴らしいステンドグラスに息を呑みます。

太陽と、それを取り囲む女性たち。世界初という女声合唱団の女性たちでしょうか。
青空に輝く太陽と空に広がる黄金の光。黄金の太陽の部分は下にせり出して輝き、ステンドグラスでありながら、同時にシャンデリアのようになっています。凄い綺麗。

綺麗なのは天井だけではありません。舞台も、客席も、あらゆるところが「綺麗」で埋め尽くされています。

舞台の上では様々な楽器を手に音楽を奏でる美しい女性像。女性たちは観客席からは16人しか見えませんが、演奏している人からは18人見えるのだそうです。

舞台と観客席を分ける柱には音楽家の胸像が飾られ、その上には右側には馬を走らせる男性、左側には美しい女性が彫られています。

天井を支える柱からは孔雀の羽根模様が扇のように広がり、その周囲の天井など至る所に施された薔薇の花の彫刻。
そして、客席の窓からもステンドグラスを通して淡い光が差し込みます。

美しいだけでなく、この音楽堂は音響が素晴らしいことでも有名。音響の素晴らしさから、この音楽堂での演奏を好む音楽家が多いのだとか。坂本龍一もここでの演奏が好きだそうです。音響効果を考えてカーテンはありません。
そして、3778本のパイプのあるパイプオルガンはドイツ製。今も現役のコンサートホールです。

舞台の背景に彫られた演奏する女性たち。
上半身が立体的でスカートがモザイクというのは面白い。


フラメンコを踊る女性も一人います
 
 様々な楽器を奏でる女性たち


舞台と客席を分ける柱の装飾も素晴らしい。そして、天井には無数の薔薇の花。
左側
 
 右側


 左側・花を編む女性
右側・ 馬を走らせる男性


観客席の天井。孔雀の羽根模様と無数の薔薇。



観客席(横)の照明もかわいい。



観客席の窓のステンドグラスや柱、照明も美しい。
   


一度大ホールから出るように促されます。
大ホール前の広間。ステンドグラスや柱が綺麗と思っていたら、
なんと窓(ガラス戸?)を開けて先ほど外から眺めた2階のベランダに出してくれました。

美しいステンドグラスと柱
 
 ここで開演を待つのでしょう。

先ほど下から眺めた美しい空間に立っています。
綺麗な柱の模様や柱を飾る薔薇、そして天井を間近で見ることができました。
 


そして、最後に最上階の観客席からの眺め



上から見たスタンドグラス


見とれているところに、音楽を流してくれます。
う〜〜ん。感動。

観客席のステンドグラスが良く分かります。ピンクがかわいい。



孔雀の羽根の装飾も間近で見れました。
   


人気のガウディと違って資料が少ない・・・。
でも、ガウディって時々見るならなら凄いけど、毎日見るならモンタネールだと思うんです。
ガウディの造った家で暮らす勇気はないけど、ここの1階のバル、通えるなら毎日通いたい。
なんていうのかな・・・安心できる心地良さ。想像の範囲内の天国。
ガウディの家って家具もみんなガウディに造ってもらわないと世界観が破綻しそうじゃないですか。
というか、ガウディの世界に私が入るのは、おこがましいというか。落着けないっていうか。

こう思うのは、私が庶民だからかな。
お金が一杯あったらモンタネールに家を造ってもらって、
たまにガウディ見に行って「ガウディって凄いねえ」って言いたい。

カタルーニャ音楽堂の見学はガイド(英語とスペイン語)付きで、ガイドさんに従う形になりますが
色々な工夫をしてくれていて、非常に楽しめます。


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参考文献

添乗員ヒミツの参考書魅惑のスペイン・紅山雪男著・新潮社
プロの添乗員と行くスペイン世界遺産と歴史の旅・武村陽子著・彩図社
21世紀世界遺産の旅・小学館

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。