ダンブッラ

文化中央地帯のほぼ中央に位置するダンブッラ
小さな町に世界遺産の石窟寺院があります。
2011年5月訪問

写真は寺院外観


ダンブッラは紀元前1世紀に造られたスリランカ最大の仏教石窟寺院。南インドのタミル人による攻撃で都を追われたワッタガーマニー・アバヤ王は仏教僧に助けられ、ダンブッラの山の上にある洞窟に身を潜めます。後に都をタミル人から奪還した王は仏教僧たちに助けられたことを感謝し、この洞窟を仏教寺院として整備したのだそうです。
この寺院は、その後、歴代王達が手を加え続け、シンハラ王朝が終わった後の20世紀になっても新しい窟が作られています。


第1窟

第1窟はデーヴァ・ラージャ・ヴィハーラ(神々の王の寺院)と呼ばれています。

この寺院はダンブッラの石窟寺院の中で最も古いもので、内部には巨大な涅槃仏が横たわっています。

石窟内には涅槃仏の他にも5体の仏像と、壁一面に描かれた壁画、それとヴィシュヌ神の像があります。

しかし、やはり目を引くのは巨大な涅槃仏。
涅槃仏は全長14m。
自然の岩から彫り出したもので、全身が金色に塗られています。

特徴的なのが涅槃仏の足の裏。
赤く塗られていて、綺麗な模様が描かれています。

この仏の足の裏を赤く塗るというのはスリランカならではの特徴ということで、シンハラ王朝の開祖ヴィジャヤ王がインドからスリランカに渡って来た時、踏みしめたスリランカの大地が余りに熱かったため、足の裏が赤く染まったということに由来しているのだとか。。


涅槃仏の足の裏。とても綺麗です。





第2窟

第2窟はマハー・ラージャ・ヴィハーラ「偉大なる王の寺院」と呼ばれます。偉大な王とは石窟を開いたワッタガーマニー・アバヤを指していて、石窟内には王の像も置かれています。
この石窟の特徴はなんと言っても、その広さ。ダンブッラの石窟の中でも群を抜く広さで、幅52m、奥行き25mもあります。天井の高さは高いところは6m、奥に行くに従って低くなっています。
広い空間に50体を越える仏像が置かれ、壁にも天井にも、びっしりと壁画が描かれています。

石窟内に入ると、何体もの仏像が並び、頭上には大きな仏画が迫って来ます。



彩られた仏像と壁画が美しい。
天井には涅槃仏の壁画も見えます。



石窟内に仏塔が置かれ、その周囲を仏像が取り囲んでいました。



洞窟の壁際には多くの仏像がずらりと並んでいて、壮観。
   



面白いのは天井から湧水が湧いていること。
小川に見立て、泳ぐ魚が描かれています。


天井からの湧水は聖水とされ、壺に集められ、儀式に用いられるそうです。


天井画を頑張って撮ってみました。
右は菩提樹の下に座る釈迦、右手で地を指し、悪魔たちを追い払っています。
   

天井画は岩肌の凸凹に沿って描かれていることから布が張ってあると誤解する人もいるとか。
仏画は色褪せると描き変えられるので、古い時代のものは全く残っていません。
現在、見ることができるのは18世紀の壁画ということでした。


大きな仏画だけでなく繊細な仏画も見逃せません。
これはお釈迦様の生涯を描いたもの。
   



第3窟



第3窟はマハー・アルト・ヴィハーラ(偉大なる新しき寺院)と呼ばれます。

第3窟は名前のとおり新しい寺院で、造られたのは18世紀のこと。

寺院とされる前は、倉庫として利用されていた石窟なのだそうです。

石窟は第2窟には及ばないものの、ダンブッラの石窟で2番目の広さを持ち、この石窟内にも50を超える仏像が置かれています。

この石窟は、本来の洞窟の形を利用したデザインになっていて、正面にある仏像は天井からつながっている岩を彫って作ったものだそうです。

確かに天井からつながっていて、切れ目がありません。

なかなか美しい仏像です。

第3窟には他にも、石窟北側に9mの涅槃仏があります。

天井が迫っていて、ちょっと窮屈そうでした。

他にも、王様の像なども仏像と一緒に並んでいます。


左は涅槃仏。右の写真の右から3つ目の立像は王様の像。
   



第4窟

第4窟はパッチマ・ヴィハーラ(西の寺院)と呼ばれます。第2窟や第3窟に比べると、かなり狭い寺院で、仏像も10体ほど。中央には仏塔が置かれています。43年前(2011年当時)に仏塔が壊され、中の宝石が奪われたということでした。現地ガイドさんの話では、この石窟は第1窟を作るためのサンプルとして、王が多くの仏師に仏像を作らせ、その中で一番気に入った仏像を作った仏師に第1窟を造らせたのだとか。真偽不明ながら、ちょっと面白いお話です。

   



他に20世紀に造られた第5窟もあるのですが、閉まっていて見ることができませんでした。
石窟寺院から出たら、元気のいい子供たち。
先生と一緒にお勉強に来ているのだそうです。




実はダンブッラの石窟は山の上にあり、結構急な坂を登らないといけません。
(途中、シギリヤ・ロックも見えます)
行きは少しでも楽をしようと途中までオートリキシャで行って、横道から坂を上ったのですが
帰りは本来の道を歩いて降りることになりました。

降りてびっくり。



これが、本来のダンブッラ石窟の入口であるゴールデンテンプル



ふざげた娯楽施設ではありません。
大真面目なお寺で、有名な高僧がいらっしゃるそうです。

後ろには僧の人形が行列しているし、スリランカの美意識はよく分からない・・・。

正面に廻ると確かに「GOLDEN TEMPLE」の看板が・・・。
大仏に睨まれているみたいな、怪物におちょくられているような・・
私の信心が足りないせいでしょうかね。





世界遺産の石窟は雰囲気のある場所だったのですが
正直、最後のゴールデンテンプルの印象が強烈過ぎる・・・。


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参考文献

スリランカ日本語版(BONECHI)
世界遺産を旅する8(近畿日本ツーリスト)
21世紀世界遺産の旅(小学館)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。