アニ・ツァングン寺

ラサ3大尼僧院の1つアニ・ツァングン寺。
ジョカン寺・バルコル近くの
小さな可愛い寺院です。

2010年5月訪問


ラサには三大尼僧院と呼ばれる尼僧院があります。アニ・ツァングン、ドゥプトプ・ラカン、チュプサン・ゴンパというお寺です。その中のアニ・ツァングンを訪れました。バルコルから少し離れた住宅街の中にあり、ジョカン寺からも、そう遠くないところにあります。

近くまで行っても、お寺だとは気付きませんでした。綺麗な小さな入口からマニ車を手にした人が出てきて、ようやく気付いたといった感じ。入口を入るとマニ車が並んでます。上の絵は僧侶?

   


マニ車が並ぶ通路を抜けると、こんな感じ。

お香を焚く場所や、タルチョ(チベットの五色の祈祷旗)が巻いてある高い棒も立てられているので、確かにお寺なんだなあ、とは思いますが・・・。

黄色い壁に黒く縁どられた可愛い窓。
幌の色は可愛いピンク。屋根も赤いみたい。

境内には花が植えられていて・・・ちょっとお洒落なお宅訪問といった雰囲気。

日本でも住宅街の中に小さなお寺があったりはしますが、お寺だということは屋根やら建物の造りから一目瞭然ですよね。でも、このお寺は普通の住宅との違いが一見しただけではよく分かりません。もちろん、チベット建築がよく分かっていないからなんでしょうけれど。

しかし、説明によると、この尼僧院は7世紀に創建された歴史ある寺院。

ニンマ派の寺院で、120人ほどの尼僧が暮らしているのだそうです。

日本の尼僧院も独特な綺麗さ・美しさがありますから、チベットの場合もそうなのかなあ・・・。


狭い境内の中にもマニ車は置かれていました(左下)。
本堂を拝観します(右下)。
   

前に植木鉢が並べられた可愛い建物ですが、中に入ると雰囲気一変。薄暗い本堂の中には仏画や仏像が並びます。嬉しいことに、この寺院は本堂の中も写真撮影が制限されていません。


チベット仏教らしい密教系の仏。憤怒仏と言うのでしょうか。。
   


本堂の本尊は千手観音。美しい布がかけてあります。



本堂の中で、まず目に付くのが、美しいタンカ。タンカというのは簡単に説明すると仏画の掛け軸です。持ち運びができるように掛け軸の形にしたもので、表装(下地)の上に仏画を縫い付けるのが一般的。仏画は顔料で描かれるものの他に刺繍などで描かれることもあるそうです。
掛け軸を保護するために上部には包布が置かれ、包布を巻き上げるための紐が付けられます。

尼僧院だけあって、仏様も美しいし、表装もどこか女性的。
   


とても綺麗なタンカが並びます。



いったい幾つタンカがあるのか。




タンカ・仏画だけではありません。もちろん、多くの仏像も置かれています。

日本人からすると、ちょっと面白いと思うのが仏像の置き方。

右の写真、本堂の片隅を写してみました。
箱が幾つも並んでいるのが分かるでしょうか。

実はこの箱の中に、それぞれ仏像が置かれているのです。箱の正面はガラス張りになっていました。仏像を保護しつつ拝めるようにしているんでしょうね。厨子と言うべきなのでしょうか。

仏像が置かれた箱(厨子?)の前に白い布が巻き付けられています。ガイドさんに質問するのを忘れたのですが、チベットでは白いスカーフを渡すことが敬意を示す挨拶なので、おそらく、仏様に敬意を示すために捧げられたものだと思います。

また、仏像の前に置かれた灯明もチベット独特のもの。
バターで造られた灯明です。

仏像の前には紙幣が置かれていました。お賽銭ですね。



十一面千手観音

女性的な仏像



 
こちらは高僧のようです。
 
バターの灯明も撮ってみました。



本堂の後、この寺院で最も古い場所を見せてもらいました。本堂の下の洞窟のような場所で、本堂の後ろ横の入口から入ります。薄暗い中に置かれたバター灯明の明かりが印象的。
帰国後調べたら、ソンツェン・ガンボ王の瞑想堂と呼ばれる場所だったようです。ソンツェン・ガンボ王といえば6世紀末に即位し、チベットを統一した吐蕃国の初代王。唐から迎えた文成公主、ネパールから迎えたティツン妃がともに仏教を信仰していたことから仏教をチベットに取り入れた王です。その王の瞑想堂というのは、凄いですね。この瞑想堂から、この尼僧院の創建が7世紀とされるのでしょう。





寺院の観光の後、甘いチャイをいただきました。実は、この尼僧院、境内で茶館を経営しているんです。茶館は右下の写真の右端部分。お客が多かったので茶館の中の写真は撮りませんでしたが、簡単な椅子とテーブルがあってチャイをごちそうになれます。写真では尼僧さんが水道でお茶碗洗ってます。

それにしても尼僧さんたちが植木鉢を並べて花を育てているのが素敵。左下の写真でも右下の写真でも境内に多くの花が植えられているのが分かると思います。

   


尼僧さんたちの生活も垣間見せてくれました。下の尼僧が何をしているか分かるでしょうか。紙を切っていますが、実はこの紙はマニ車の中に入れる経典。細く切ったお経を巻いてマニ車の中に入れるんだそうです。回すとお経を唱えたのと同じ功徳があると言われるマニ車。本当に中にお経が入っているんですね。修行でもあるそうです。一生懸命作ってくれたんだから功徳ありそう。





小さな可愛いお寺でした。
大きなお寺だけでなく、こういうお寺も素敵。


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参考文献

旅行人ノート・チベット(旅行人編集部)
地球の歩き方・チベット(ダイヤモンド社)


基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。