九寨溝

写真より綺麗なんですよと言われて行くことにした九寨溝
本当に写真より綺麗でした。
まだ秘境だったころの九寨溝です。

2002年4月訪問

写真は五花海

九寨溝は四川省の省都・成都から北へ約500キロ。私が訪れた2002年は旅行会社曰く「道が出来たんで『秘境』と言うのは辞めたんですよね」という場所でした。しかし、実際に行ってみると、道は出来ていないし、辿り着くだけで成都から2日かかるという立派な秘境でした。
今では近くに空港が出来ているらしいし(当時も「もうすぐ空港が出来るんですよ~」という話はありましたが、空港予定地は全くの荒地でした)、きっと様子も変わっているんでしょうけれど、秘境だったころの九寨溝をまとめてみます。

九寨溝は四川省の岷山山脈のカルスト台地(石灰岩で構成された台地)に広がる渓谷です。

凄く大雑把に言えば、元々はチベット圏。「九寨溝」という名前は渓谷にチベット人の9つの村があった・・・ということに由来しています。

右は中国国家観光局発行の日本語の四川省観光案内に載っていた地図。4000m級の山の合間の渓谷ということが分かるでしょうか。

九寨溝は3つの渓谷で構成されていて、Yの字の形をしています。Yの字の下のIにあたるのが樹正溝、そしてYの字の上のVにあたる2つが則査窪溝(左)と日則溝(右)。

九寨溝の自然保護区の広さは約720㎢。シンガポール(約630㎢)よりも広いのです。
しかも、奥の長海は標高3103m。高山病になってもおかしくない高地です。
私は2日かけて、この九寨溝を見学しました。


上の地図のYの字の下のIの部分の距離が約14K。Vの部分は左右とも約17~18K。途中、バスを利用しつつ散策を楽しむ・・・という形になります。
1日目は、まず、Yの字の下のI部分・樹正溝を散策。Vの字の下というか合流地点というか、犀牛海から盆景海へと地図では下に降りていく形で観光しました。


樹正溝

犀牛海から老虎海へ

緩やかな坂道を歩きながらの散策です。
4月、新緑が美しい。それにしても湖水の水が綺麗すぎる。



素晴らしい透明度



新緑と青い湖水



不思議な静けさ



水の透明感が素晴らしい。
   



老虎海から樹正群海

更に、降りて行きます。なんと綺麗な青でしょう。



新緑も素晴らしい。



所々に小さい滝が・・・渓谷の高低差が表情を豊かにしています。



チベット人の捧げたタルチョが風に揺れていました。



夢の中のような景色
   



展望台から見た樹正群海

樹正群海は臥龍海・火花海・老虎海など多くの湖沼と滝が連なる場所です。特徴的なのは自然の堤防のようなものが出来ていること。これは石灰質が長い時間をかけて沈殿したもので、その上に樹木が生い茂っているのです。湖に横に連なるラインが幾つも並んで、なんとも不思議な光景。




横のラインが幾つも連なっているのを撮ってみました。



水は相変わらず綺麗



展望台から降りて、更に散策


臥龍海

龍が潜んでいるように見えるから臥龍海というんだそうです。




展望台から降りて行く途中で見えた景色
   



このラインはかわいい。盆栽が並んでいるみたい。



湖底の岩も表情を豊かにしてます。




火花海

丸い石を花に例えて名付けられたようです。




則査窪溝

Yの字の上のVの左側・則査窪溝はバスで移動。地図には上季節海・下季節海という湖も描かれていますが、私が訪れた4月末は枯れていました。九寨溝の水が最も豊かになるのは夏。ただ、その時期は雨による土砂崩れなどもあるのだということでした。
バスで一挙に一番奥の長海に行きます。ここは標高3103m。空気が薄い。長海は長さが7キロにも及ぶ九寨溝で一番大きく、しかも深い湖です。ヨーロッパか北米のような光景と言う人もいました。氷河によってできた地形なんでしょうか。


長海




この後、近くの五彩池へ


五彩池

道を下って行くと木々の間に美しい水色が・・・




綺麗すぎる五彩池




帰る途中、芦原の中を川が流れていました。なんとも幻想的。




日則溝

2日目はYの字の上のVの右側・日則溝を観光。バスで幾つかのポイントを見てから、後半はゆっくりとハイキングといった形の観光となりました。

鏡海

まずは鏡海。湖水が鏡のようだから・・というのも納得



熊猫海

ここはパンダが出てくることがあるので、こんな名前なのだとか。



箭竹海

ここも静かな湖です。




五花海と孔雀河道

上から眺めた五花海



五花海は九寨溝の渓谷で最も狭くなったところにあります。

上から眺めた五花海は不思議な色の湖。
湖の中に幾つもの色があるというか・・・。
透明な水が湖底の色を写しているのか・・・。

この美しさから孔雀の羽根と評されることもあるそうです。確かに鮮やかな青と緑。

九寨溝では石灰岩に含まれる炭酸カルシウムによって水が浄化されるため、湖水が清らかに澄み切っているのだそうです。

この五花海の周囲は孔雀河道という散策ルートになっています。
上から見た五花海も見事な美しさでしたが、間近で見る五花海も素晴らしい。
九寨溝のハイライトと言ってもいいかもしれません。

湖底に折り重なるように沈む倒木や、美しい新緑を見ながらの散策。
標高は2472m。ゆっくり景色を味わいながら歩きました。


静かな散策路です。



倒木が多い。この倒木が湖底に沈んで行くんですね。
   


美しい水の色。本当は写真より綺麗です。



新緑と美しい湖の青。
   

綺麗、という言葉以外出て来ません。

この後、滝の上を歩いて行くと大きな滝が。


珍珠灘瀑布





2日かけて、ゆっくり味わった九寨溝
写真より美しいというのは本当でした。
新緑の時期だけでなく、夏は最も水が豊かだし、
秋は紅葉、冬は雪の白化粧で美しいのだそうです。


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参考文献

中国BEST SELECTION17(中国国家観光局)
21世紀世界遺産の旅(小学館)
世界遺産を旅する6(近畿日本ツーリスト)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。