青蔵鉄道の旅(ゴルムド〜ラサ)

青海省のゴルムドからラサへ。
2006年に開通した青蔵鉄道の旅。
車窓から見る3つの山脈は圧巻。


2010年5月

写真は夜明けの崑崙山脈

青蔵鉄道は中国青海省の省都・西寧と西蔵(チベット)自治区のラサを結ぶ鉄道です。青海省と西蔵(チベット)をつなぐことから、この名前が付きました。全長約1965q。標高4000mを越えるチベット高原を走り、標高5072mの唐古拉峠が最高高度。それまで一位だった南米ペルーのクスコ・プーノ間の4783mを越え、世界一の高所を走る鉄道となりました。
4000m以上の区間は約960q、それだけでなく永久凍土の区間が550qもあります。このため工事は困難を極め、5年の歳月がかかりました。過酷な工事だったため電化工事まで行う余裕がなく、ディーゼル機関車に牽引される客車で運行しています。機関車はアメリカ製。
でも、完成した青蔵鉄道の客車の中は酸素と気圧が調整されているので高山病の心配もほとんどなく快適とのこと。青蔵鉄道の起点は西寧ですが、日月山や青海湖を観光した私達のツアーはゴルムドから乗車してラサに向います。ゴルムドからラサまで約15時間の青蔵鉄道の旅です。

私達が乗る列車はゴルムドの駅を早朝3:46に出発予定。
乗車する前にはスーツケースの検査等があるというのでホテルを3時前に出発して駅に向かったのですが・・・。

駅の表示板には「晩点」との文字。遅延を意味するとのことです。なんと、まだ2:03発の列車が到着しておらず、到着予定が4:20とのこと。当然私たちの列車も遅れています。

ひたすら待って、約2時間。5:33にゴルムドを発車しました。現地ガイドさんによるとラサには予定時間に着くとのことだけど、そんなことってあるのでしょうか。


しかし、遅れたことで良いこともありました。
7:20ころ、崑崙山脈が朝日の中、見えて来ました。
予定通りだったら、真っ暗で見えなかったはずの崑崙山脈です。
崑崙山脈は全長3000kmもの大山脈。玉珠峰6178mが見えるそうですが・・・
   


ちなみに青蔵鉄道の車窓は紫外線避けなのか薄い青色。
肉眼では景色はもっと青く霞んで見えます。
また、写真を撮るとどうしてもガラスが光ってしまったりすることもあります。


ココシリ自然保護区を列車は通過。
野生動物を見ることができるといいますが、なかなか写真を撮るのは難しい。

8:50ころ、何か動物が撮れました・・・キャン(チベットノロバ)のようです。



9:00ころには遊牧民のテントと放牧されている黒いヤクや羊が見えました。




トトフ駅を通過して間もない10:30ころ陀陀河(トト河)を渡ります。長江の源流です。



雁石坪駅を通過して間もない11:10ころ山脈が見えて来ました。
唐古拉(タンラ)山脈だそうです。

唐古拉(タンラ)山脈はチベット高原を西北から南東に貫く山脈です。

11:55ころ。間もなく最高地点



12:00に世界最高所の駅・唐古拉駅(タンラ駅)5068m通過。まもなく最高地点のタンラ峠5072m通過。
 12:00少し前
12:00ころ
タンラ峠を越えるとチベット自治区です。


13:13アムド駅通過。間もなく青い湖が見えて来ました。
チベットで聖なる湖と呼ばれるツォナ湖です。

13;25ころのツォナ湖



ツォナ湖は美しいだけでなく大きな湖です。20分くらいの間見え続けました。
湖の近くにはヤクの群れ(右下)。
   



14:30 那曲駅到着。一時停車で外に出られます。
4513m。空が近い。空気が薄い。
   



那曲駅を過ぎてしばらくすると再び山脈が見えて来ました。
ニェチェンタンラ山脈です。

15:30ころ



16:00ころ



6000mを越える山々が延々と続きます。凄い。



ニェチェンタンラ山脈には7162mのニェチェンタンラ峰、6590mのサムディン・カンサン峰があります。
16:10ころ山の向こうに高い三角形の山の姿が見えました。
   


サムディン・カンサン峰は頂上部分が三角形と聞いたので、それっぽい山を狙ってみました。
16:20ころ。立派な山が続きます。
   


16:50ころの景色。相変わらず高い山々が続きます。



17:05当雄駅通過。17:25ころの景色。
線路は山脈の間を回り込むような形で走っているようです。



17:45半八井駅を過ぎたあたりから列車のスピードが上がりました。
一気に500m降りて行きます。速度も100qを越えています。
ちょっとコワイかも。


18:15ころ、ラサ盆地に入りました。久しぶりの緑。



18:20ころ。ラサの街が近づいてきます。周囲は畑が広がっていました。



18:35 ラサ到着


驚くことに、約2時間遅れでゴルムドを出発したのに、本当に予定時間どおりにラサ到着。現地ガイドさんの言ったとおりになってしまいました。一体、どうなっているのでしょう。日本の感覚とは全く違うことだけは確かです。
ラサ駅到着後、ホームで青蔵鉄道の列車の先頭部分を撮ろうとしたら警備員に制止されました。
なんで?と思いますが、やはりここはラサ。色んな意味で制約が強いようです。青蔵鉄道の建設は中国によるチベット支配の強化・独立運動の抑圧が目的とも言われていますし・・・。



ラサ駅


現代的な駅ですが、しっかり武装警官?軍人?が警備してます。


約13時間(本来は15時間)の青蔵鉄道の旅
車窓の風景は本当に素晴らしかった。
崑崙山脈・唐古拉(タンラ)山脈・ニェチェンタンラ山脈
3つの山脈が全て見えたのは本当に幸運でした。

高山病の危険も飛行機でラサに入るより少ないそうです。
食堂車での昼食も、まあまあでした。
乗り合わせた人達は穏やかで折り紙で盛り上がりました。
でも、でも、トイレだけはなんとかして欲しい。
トイレは外国人が多い1等車まで行くべきです。



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参考文献

地球の歩き方・チベット(ダイヤモンド社)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。