エル・ジェム

ローマ帝国3番目の規模を誇る円形闘技場があるエル・ジェム。
保存状態の良さでは世界一とも言われる世界遺産です。
2011年1月訪問

写真は円形闘技場全景


エル・ジェムはチュニジア中部、スースとスファックスのちょうど中間ほどの場所に位置します。車だと、どちらの街からも1時間ほどでしょうか。海からは少し離れた内陸の街です。

エル・ジェムは元々は先住民であるベルベル族が築いたツール・ドゥルースという町でした。紀元前3世紀にカルタゴの支配下に入り、紀元前146年には第3次ポエニ戦争でローマ帝国により破壊されます。しかし、後46年にローマ皇帝カエサルが復興し、ハドリアヌス帝のころにはオリーブオイルの交易で栄えました。世界遺産となっている円形闘技場は3世紀にローマ皇帝ゴルディアヌス3世によって建設されたものです。しかし、重税に住民が反発し、未完成となりました。

その後、7世紀にベルベル人とアラブ軍の戦いとなった際はベルベル人の女王カヒナが要塞として利用し、戦います。ベルベル人は敗れ、アラブの支配下に入りますが、その後も、17世紀にはオスマン・トルコに大砲を撃ち込まれ、第2次世界大戦の時は爆撃も受けたそうです。それでも現存する円形闘技場としては最も保存状態が良いとされるので、よっぽど堅牢な造りなんでしょう。

円形闘技場は町中にあります。




入口には観光地らしくラクダがいたりもしましたが、ともかく猫が多い。
おじさんたちは猫とたわむれ、子猫が遊びまわっていました。
   

猫に気を取られつつも、観光開始。


入口近くに円形闘技場の説明図がありました。

ご覧のように円形闘技場は楕円形の建物。
149m×124mの大きさです。
収容人数はなんと3万5000人。
観客席は3階建て。高さは36m。

観客席は1等席から4等席まで分かれていて、VIP席も用意されていました。

真ん中に剣闘士が動物達と戦ったアリーナがあります。
アリーナは67m×37m。

アリーナは大理石で出来ていて、周囲の観客席は砂岩で出来ていました。

アリーナが大理石で出来ているのは、動物たちが引っ掻いても逃げることができないようにしたためだそうです。

動物たちは地下から檻に入ったままエレベーターでアリーナに上がってきたそうです。
この円形闘技場には地下も残っており、地下が残っている唯一の円形闘技場なのだとか。

この円形闘技場は観客席に登ることができます。
上からアリーナを見てみました。
今は鉄格子となっている部分はかっては木造だったそうです。
動物が左右のエレベータから上がってきて剣闘士と戦ったわけです。




3階から見下ろしてみました。
   


客席内部
   


アリーナ周辺(左)と1階観客席(右)
   


地下も潜ってみました。アリーナ中央の鉄格子になっているところの下にあたります。
   


アリーナ入口からの景色



この円形闘技場単独で世界遺産に登録されただけあって立派なものです。
でも、剣闘士や動物たち、奴隷たちの戦いを見て、楽しめるものなんでしょうか。
実はショーみたいなものだったのかなあ。


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参考文献

世界遺産を旅する2(近畿日本ツーリスト)
21世紀世界遺産の旅(小学館)


基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。