山岳オアシスとサハラ砂漠

チュニジア南部に広がるサハラ砂漠
その手前、アルジェリアとの国境近くにはアトラス山脈の岩山
山岳オアシスの村々と砂漠を巡りました。
2010年12月~2011年1月

写真はレザー・ルージュ


レザー・ルージュ

チュニジア南部、アルジェリアとの国境近くはアトラス山脈が走り、岩山が続きます。この岩山が作るタメルザ渓谷を走るのがレザー・ルージュ(赤いトカゲ)と呼ばれる観光列車。
レザー・ルージュはメトラヴィの町からセルジャの間16キロを走ります。人気の列車は客車がバラバラ、やたら豪華な椅子のある客車もあれば窓がない客車もありました。発車して間もなくは殺風景なリン鉱石工場の横を走りますが、トンネルを抜けるとグランド・キャニオンを小型化したような景色に変わります。列車はビュー・ポイント2か所で停車し、撮影タイムもあります。
約1時間の列車の旅、見どころを走るのは30分くらいでしょうか。案外短い印象。

   

レザー・ルージュを降りてからは、四輪駆動車に分乗して山岳オアシスめぐりです。



ミデス



ミデスはアルジェリアとの国境から約1キロという場所に位置します。ここの渓谷の上には、かって村がありました。しかし、1969年、2週間続いた大雨で村は流され、以後、廃墟となっています。確かに、ぶーポイントから、岩山の上にへばりつくように建物が残っているのが見えます。ここは、映画イングリッシュ・ペイシェントの撮影がなされた場所だそうです。

渓谷は、まるでグランドキャニオンの小型版。
崖が切り立ち、恐々下を覗くと水が流れた跡が見えます。ワジです。

ワジというのは普段は枯れていて、雨季・大水の時だけ水が流れる川のこと。このワジの源流はアルジェリアということでした。

山岳オアシスは景色が売り物ですが、ビュー・ポイントのお土産屋さんには、「砂漠のバラ」が並びます。

「砂漠のバラ」というのは地中で出来た不思議な化合物で、まるでバラの花のような形に結晶した石のことです。

水から溶け出たミネラルが結晶して育つことによってできるものだそうで、砂漠といっても、かって水があった場所からでないと見つからないのだとか。

大きさも色々。手のひらサイズから1mを超すような巨大なものまで売られていました。

他には化石なども売っています。



グランド・カスカド(大滝)

ミデスの少し南にグランド・カスカド(大滝)があります。
駐車場の周囲には土産物屋が並んでいました。

   

さぞ、凄い滝かと思いきや・・・



日本人だと拍子抜けしてしまう滝ですが、地元の人たちは大興奮。
日本とは全く自然が異なるわけです。



シェピカ

更に少し南にシェピカはあります。



シェピカも1969年の大雨で廃村となったアトラス山脈のオアシスの村跡です。日干し煉瓦で建てられた家の跡が残り、村跡を見ながら山を登って見たのが上の写真。山の下にオアシスが広がっています。
ごつごつした岩山と谷間のオアシスの対比が面白い。山の稜線に彫刻が置いてありました(下)。




谷に降りて行くと滝がありました。小さな滝ですが、やはり地元の人は大喜び(左)。
泉にはカエルもいます。鳥のような声で鳴きます(中)。
民族衣装に身を固めたお兄さん(右)

     



タメルザ

この日、泊まったホテルはタメルザ・パラス&スパ
ホテルからは廃墟となったタメルザの廃村が見えます(左)。
右は廃村を利用した大晦日のライトアップ。

   



トズール

翌日、まずは砂漠の入口トズールの街へ。



トズールはチュニジアのオアシスの中でも最大のオアシスです。アルジェリアとの国境に近い大きな街で、サハラ砂漠の入口と言える街でああり、サハラの県都となっています。
この街では夏が非常に暑いことから、室内を涼しく過ごすため12世紀ころより日干し煉瓦で建物が建てられるようになりました。日干し煉瓦は壁面の装飾として用いられ、ミナレットや建物は美しさを競い合っているようです。街の人たちは小鳥を可愛がっていて、軒先には鳥籠が多く見られました。

   



ジェリド湖

トズールの南にショット・エル・ジェリド(ジェリド湖)があります。
湖といっても、砂漠に近い湖だけあって、普通の湖ではありません。
雪のように白い湖、塩湖です。



ジェリト湖はチュニジア最大の塩湖。4800㎢あります。98%が塩分で2%がミネラル。塩湖の北にはアトラス山脈が、南にはサハラ砂漠が広がります。この塩湖で砂漠のバラが採れるということでした。白い塩湖の所々には水が現われていて、濃い塩分から水面が鏡のようになっています。



クサールギレン

ジェリド湖から四輪駆動車は砂漠を目指してひた走り。
舗装道路と言えるか言えないかレベルの悪路を時速120~130キロで飛ばしまくります。
チュニジアで一番のスリルを味わって、クサールギレンに着きました。

クサールギレンではイメージ通りの砂漠が広がっていました。



ここではお約束のラクダに乗って砂漠をお散歩。1月のラクダたちは正直、お行儀が極めて悪かった。繁殖期だったからということだけど、昔1月にシナイ山に登った時のラクダはお行儀が凄い良かったから、単にここの躾が悪いからかもしれません。
西洋の観光客の間では砂漠をゴーカートで走ったりするのも流行している様子でした。右は民族衣装に身を包んだかっこいいお兄さん。民族衣装っていうのは、本当にかっこいいものですねえ。

   


クサールギレンではテント型ホテルに宿泊。
夜は星空が見事です。天の川もばっちり見えました。




砂漠を出て、今度は海側を目指します。



マトマタ

砂漠を出て海側に向かう途中にマトマタの町はあります。

   

マトマタは先住民ベルベル人の住む町。人口4000人の町で、その1割が今でも伝統的な穴居住宅に暮らしています。穴居住宅は12~13世紀頃、アラブ人から身を隠すために工夫された住居で、丘の斜面に穴を横に掘ったり、丘の上に穴を掘って住居を作るというものです。
左上の写真は丘の斜面を横に掘るタイプ、右上は丘の上から穴を掘るタイプの住居です。


家の入口には魚や手が描かれていて、これはお守り。手はファティマの手と呼ばれます(左下)。
住居は観光客用に公開されていて機織りなどもしているのですが、ここでは猫が人気でした(下中央)。
住居内の様子、案外、居心地は良さそうです(右下)。

     


マトマタには穴居住宅を利用してホテルやレストランをしているところもあります。
その中でも有名なのが、ここオテル・シディ・ドリス。
スターウォーズの撮影がされたことで有名。

   


このホテルのバーでスターウォーズのロケがされたことから
ファンにはメッカのような場所になっているそうです。


チュニジアではスターウォーズのロケが各地でされていて、ロケ地を巡る旅も人気だとか。
ジュダイの騎士たちのマントは、実はこの地方の民族衣装。
お土産にも人気です(かなり暖かい)。


マトマタからは世界遺産のあるエルジェムまでは休憩を入れながら車で約3時間でした。


レザールージュは予想外に短い乗車時間でしたが
山岳オアシスの風景は美しく、訪れる価値は十分あります。
砂漠も手軽に味わえて、ホテルなどの施設も充実。
その分、いかにも観光地という感じではありますが、
安心して旅行できるのがチュニジアの魅力でしょう。


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基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。