カッパドキア

アナトリア高原中央部
奇岩が林立するカッパドキア
キリスト教徒の地下都市や洞窟教会も見どころです。
2002年8月訪問

写真はウチヒサールの奇岩群


奇岩で有名なカッパドキアはトルコ中央部、アナトリア高原の中央付近に位置します。アンカラから車で4時間ほどでしょうか。標高1000mの高原地帯に林立する奇岩群は約96㎢にも渡って広がっているのだそうです。

先史時代、この地方のエンジュルス火山が噴火し、長い時間をかけて堆積した火山灰と溶岩が凝灰岩と溶岩層となりました。
そして、更に更に長い長い歳月をかけて風と雨が岩を浸食し、その結果、このような奇妙な形を創り出したのです。

火山灰からできたカッパドキアの岩は柔らかいため、紀元前4000年ころから人々は岩を掘って住居としていたようです。

紀元前17世紀のヒッタイト時代には交易都市として繁栄しました。

後3世紀半ばころから、キリスト教徒たちがローマ帝国からの弾圧を逃れるため移り住み始め、7世紀後半以降はイスラム勢力から逃れてきたキリスト教徒たちが急増します。

その結果、7世紀から13世紀にかけて、カッパドキアはキリスト教徒たちの一大シェルターとして多くの聖堂・教会が造られることとなりました。

現在、カッパドキア周辺の人々はほとんどがイスラム教徒となっていますが、多くの人たちが岩山をくり抜いて住居などに利用しています。


カッパドキアの奇岩群は個性豊かです。




妖精煙突
   

白い奇岩の上に黒い帽子のような岩が乗っているのを地元の人たちは「妖精の煙突」と呼んでいます。このような妖精煙突はいたる所にごろごろあります。妖精ちゃんの集落ですね。
右の岩も妖精煙突ですが、「きのこ岩」と呼ばれているとか。確かに、「しめじ」に見えます(笑)。
下の白い部分は火山灰の凝灰岩で、上の黒いのは玄武岩なんだそうです。



こちらはデルベントの谷というところにある「らくだ岩」

特に説明はいりませんよね。近づくと結構大きいのに驚きます。
このらくだ岩のあたりはピンク色の岩が多く、「ピンクの谷」と呼ばれているとか。



人が住むだけでなく、ウチヒサールの鳩の谷では岩に小さな穴を開けて鳩を飼っています。
色々な利用方法があるみたいですね。



かっこいいです・・・。





カイマクルの地下都市

カッパドキアにはキリスト教徒たちが襲撃を受けた時に備えて造った地下都市もあります。6世紀から10世紀にかけて、ペルシャやアラブの襲撃に備えて造られたものと考えられていて、大人数が隠れ住むことができるように、住居のみならず集会所や教会、井戸、ワイン醸造所、馬屋、倉庫、更には墓地まである「都市」を「地下」に造り上げたのです。

しかも、地下都市は1か所ではなく、現在、分かっているだけでも、カイマクル、デリンクユ、オズコナック、アジギョル、マズ、タトラリン・・・と複数に及んでいます。

今のところ、最大の地下都市はオズコックのもので、なんと地下20層、数万人が暮らすことができたと考えられています。

それだけでなく、これらの地下都市はトンネルでつながっていることも分かっています。古代にどうやって離れた地下都市をトンネルでつなぐことができたのかは謎となっています。

私はカイマクルの地下都市を見学することができました。
カイマクルは地下8層まで彫られています。

右は円盤型回転扉とでも言いましょうか、丸い石を転がして通路を塞ぎ、敵が進めないようにするためのものです。
このような進入防止の石には真ん中に穴が開いていて、そこから槍で敵を突いたのだとか。

地下都市の中には火を使うときの煙を逃がす穴とか、空気穴とか、ともかく生活の臭いがぷんぷんしていて、ほんとにここに人々が住んでいたんだ、ということが実感できます。


どこまでも地下に続く通路や、工夫をこらした居住空間
     

内部はくねくねしていて、ほとんど迷路
20年前に行方不明になった観光客は今も見つかっていないそうです。




ギョレメ野外博物館



カッパドキアのキリスト教文化の中心地がギョレメで、最盛期には400以上の洞窟聖堂や修道院があったといいます。現在、ギョレメの谷に残る30ほどの洞窟聖堂をギョレメ野外博物館が保存・公開しており、見学することができます。

教会の多くは7世紀から11世紀ころまでに作られたものが多く、素朴なフレスコ画が綺麗に残っています。

龍を退治する聖ジョージの壁画というのは、この地方で好まれたテーマ。この地方出身の聖人らしく、龍は異教徒の象徴とも言われています。いくつかの寺院で見ることができました。
他に、もともとは美貌の女性だった髭のある聖人オノフリウスの壁画(美貌のゆえに軽薄だった女性が改心して悔い改めたので、神が男から身を守るために長い髭を与えた・・・ということらしい)等、興味深い壁画も多いです。

岩肌に残る寺院の跡
   


自由時間に有料の洞窟寺院に入ってみました。
入ってみて、壁画の素晴らしさに驚きました。
後で調べたら、「暗闇の聖堂」と言われるギョレメで最も有名な聖堂でした。
他の人達が写真を撮っていたので有料だからいいのかと思って2枚撮ってから撮影禁止と気付きました。
懺悔の気持ちを込めて公開します。

   
撮影禁止のところで撮ってしまうと結構落ち込みます。
きっと壁画保存のために撮影禁止になっているんだと思うんですよね。



一度は行きたいカッパドキア
やっぱり面白かった。
写真だと地味ですが地下都市が凄い面白かったです。


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参考文献

世界遺産を旅する(近畿日本ツーリスト)
世界遺産の旅(新潮社)
カッパドキア(トルコにて購入)


基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。