アティトラン湖周辺

世界で最も美しい湖といわれるアティトラン湖
湖の周辺にはマヤの末裔であるインディヘナの村が点在します。
村ごとに特徴を持つ彼らの伝統衣装も実に美しい。
2004年8月、2012年5月訪問(特に記載のない写真は2012年)

写真はパナハッチェルからの眺め(2004年)


グアテマラシティの西約150キロ。標高1500mを越える高原地帯にアティトラン湖はあります。
アティトラン湖は周囲をサン・ペドロ火山、トリマン火山、アティトラン火山と山々に囲まれた表面積125㎢。穏やかな湖面の湖です。204年に訪れた時はパナハッチェルに泊まってボートで移動する形で観光できました。ホテルに桟橋があり、そこから観光です。

湖面を行くボートが線を残します。本当に穏やかな湖面(2004年)。




サンティアゴ・アティトラン

穏やかな湖をボートで30分ほど。サンティアゴ・アティトランの桟橋に着きました。
桟橋の近くに村人が集まっていると思ったら誕生パーティなのだそうです。
女性はみんな伝統衣装のウィピルを着ています。
彼らが私たちをビデオで撮り出したので、私たちも写真を撮らせてもらいました。


グアテマラのインディヘナの伝統衣装ウィピルは貫頭衣ですが、村ごとに独特の刺繍や織りがあり、その美しさで有名です。桟橋から村に入ると、道の両脇にはお土産屋さんが並びますが、やはり目立つのはウィピル。本当に色鮮やかで美しい。刺繍も細かく本当に見事。

   


サンティアゴ・アティトランの女性は頭に帽子のような形で布を巻いています。
お土産屋さんの女性が実演してくれました(左・中央)
右は私たちのボートの運転手さん。美しい半ズボンはサンアントニオ・パロポ村の伝統衣装。
     


サンティアゴ・アティトランの男性は白っぽい半ズボンの人が多いですね。
村の市場です。金曜日と日曜日には市が立ちます。


のどかな風景ですが、ガイドさんの話では、この地方は内戦時代は子供の誘拐が多発したところなのだそうです。グアテマラでは1996年まで内戦が続いていましたが、内戦時代は電線を切って村を真っ暗にして、まだ小さな子供をさらう。さらって、思想教育を叩き込み、戦士にする。それを軍も反政府軍も、どちらもやったのだそうです。物心つかないうちに親元から離され、思想教育で染められて、同じ村出身の少年が互いに殺しあわなければならなかった。ほんの十数年前まで、そんな時代だったということは・・・村人である程度の年の人は、みんなそんな時代を経験しているわけです。正直、2004年の時点では村人の観光客に対する目は厳しく、写真を撮るのも神経を使いました。

サンティアゴ・アティトランには、キリスト教とマヤの土着信仰の融合を示す教会があります。

右の写真は、村人が刻んだ教会の飾りですが、天使と向かい合っているのはケツァルというグアテマラの国鳥。

美しい羽とめったに人に姿を見せないことから、マヤの時代から、この鳥の羽根は貴重品とされました。
(今でも「幻の鳥ケツァルを見に行こうツアー。ただし、必ずケツァルに出会えるとは限りません」などというツアーが結構あります)

人に捕まえられるとすぐに死んでしまうことから、自由の象徴でもある鳥でもあります。

これは、つまり、ケツァルに象徴される地元の文化とキリスト教の出会いを現しているもの。

周囲の飾りはマヤの主食であるトウモロコシ(上のところを見てね)だし。

日曜日の教会は信者で賑わい、一見インディヘナの人たちは敬虔なキリスト教徒に見えます。

しかし、話はそんなに単純ではありません。


これは教会の祭壇に彫られたマッシモンという土着の神様


マヤの人たちのしたたかさは、教会の祭壇に、しっかり地元の神様を彫っているところでしょう。土着信仰といってもキリスト教の影響があるらしいのですが、この神様はいいことも悪いこともかなえてくれる。
実際にお店を開いたりするときは、みんなこの神様にお願いするのだそうです。他にも、この地方には土着信仰の神様がいて、その神様の像を谷に落としたキリスト教徒は半殺しにされたのだとか・・・。



チチカスティナンゴ

チチカスティナンゴの村は木曜日と日曜日に市が立ちます。この村の市はサント・トマス教会という教会の前で開かれますが、この教会ではマヤの神話を書いたポポル・ヴフという本が発見されたことで有名です。
ポポル・ヴフはキリスト教の宣教師達に伝統文化が破壊されるのを恐れたマヤの知識人が、ひそかに書き残した本と言われていて、なぜか教会に隠されていました。今ではマヤの聖典として信仰の対象となっています。不思議な内容の本ですが、マヤの世界観を知るための貴重な本です。

実は、この教会の階段は、昔のマヤ時代の神殿。スペイン人はマヤの神殿を壊してキリスト教会をつくったわけです。基礎部分にはマヤ時代の神殿の石が使用されています。

写真は2004年の教会とポポル・ヴフ発見のプレート。
   


教会前の石段は聖なる場所でお香を焚いています。インディヘナ以外は入れません。
2004年の市も凄かったですが、2012年は更に盛大な市になっていました。
   


市で目立つのは、やはり美しいウィピル。
   


民芸品や日用品も売っています。
   


こちらはバスケットボール場を利用した野菜市場。地元の人たちが集まっています。
   



ソロラ

ソロラの街はアティトラン湖周辺の村の属するソロラ県の県都です。周囲の「村」と異なり「街」と言える場所で、街の中央には公園があり、スペイン風のお洒落な塔もあります。公園には多くのインディヘナが集まっていました。

   


ソロラの男性はピンク色の綺麗なズボンをはいています。かわいい。



公園の隣では市場が開かれていました。
ここの市場は観光客ではなく、あくまでも地元の人たちの生活に密着した市のようです。



インディヘナの人たちは写真を嫌うことが多いのですが
ソロラでは何人か嫌がらずに写真を撮らせてくれる人たちもいました。
   


グアテマラ観光の魅力のひとつがインディヘナの人々の鮮やかな民族衣装でしょう。
2004年は、まだ内戦の影響が残っていたのか、彼らの目は厳しかったですが
2012年の彼らの目は、すっかり穏やかになっていました。
観光が彼らを豊かにしてくれるといいのですが。



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現地ガイドさんの説明を元にまとめています。