ヤシュチラン メキシコとグアテマラの国境を流れるウスマシンタ川。 その川沿いにあるヤシュチランは美しいリンテルで有名。 多くが大英博物館やメキシコ国立人類学博物館等に移されましたが、 今でもジャングルの中に美しいリンテルが残っています。 2003年1月、2014年3月訪問 建造物20のリンテル ![]()
遺跡を進むと、すぐに下の写真のような建造物・・・・まるで、城壁のようなものが現われます。 ![]() 人との比較から大きさが分かるかと思います。 上の写真、左に進むと、次のような景色となります。
グランプラザ 建造物19、「迷路」を抜けると、そこには開けた空間が広がります。 ここからがグランプラザです。 写真はグランプラザ側から見た建造物19「迷路」 ![]() グランプラザといっても、ご覧の通りのジャングル。 ジャングルの中に多くの建造物が残っています。 2003年はホエザルの声が凄かったのですが2014年は静かでした・・・。 ![]() 広場を進むと球技場がありました。 ![]()
遺跡を進むと左右に建造物が現われます。 これは進行方向左手の、たぶん建造物11。ここのリンテルはマヤ文字。王名表だそうです。
入口で上を見上げた時に見える石。 下向きであるため雨風による摩耗が防げたため保存状態が良いものが多いのです。 ヤシュチランの魅力は、素晴らしいリンテルが多いこと。 建物の入口では頑張って体を屈めて上をチェック。 更に進むと巨大な階段が現われます。大階段です。
この大階段に面して広場があります。多くの石碑が並ぶ広場です。 ![]()
![]() 鳥ジャガー4世が歴史改竄をしたのはヤシュチラン王家のお家事情が関係しています。
石碑の人物部分をアップで撮ってみました。 右側が鳥ジャガー4世で左側が父王の楯ジャガー2世だそうです。
この広場には他にも石碑がいっぱい。 左下は残念ながら上半身が失われています。 右下、人物の頭飾りが綺麗なので調べたら、なんと6世紀の結び目ジャガー1世でした。 鳥ジャガー4世の200年前のご先祖で、幾つもの戦いに勝利しながら、最後は捕虜となった王です。
この石碑も上部が失われているのですが左下に美しい人物像が残っていました。
左下 これも上部が失われています。人物が3人いるようです。綺麗なだけに残念。 右下は保存状態が余り良くないですが・・頭飾りを付けた人物?
次は、大階段の下の基壇にある建造物に向います。 大階段の左に建造物20・21、右に22・23・24があります。 ![]() まずは左側の建造物20。鳥ジャガー4世の息子である楯ジャガー3世が建てた建物です。 ここには見事なリンテルが2つ残っています。 ![]() 右の男性が鳥ジャガー4世、左の女性が妻の「偉大な頭蓋骨」王妃 楯ジャガー3世が両親を描いたものです。 人物をアップで撮ってみました。 王と王妃の頭飾りや豪華なネックレスが見事です。 ![]() こちらはやや保存状態が悪いですが、やはり鳥ジャガー4世と偉大な頭蓋骨王妃 ![]() 建造物20の隣、大階段の横が建造物21
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鳥ジャガー4世が即位した時には既に母イク・頭蓋骨王妃は亡くなっていたそうです。 母の像を刻むことは鳥ジャガー4世王自身の権威を強めるためだけではなかった気がします。
建造物21から大階段を挟んで反対側に建造物22・23・24があります。 建造物22のリンテルは見事なマヤ文字。ヤシュチランの歴史が刻まれているそうです。
建造物22に隣接して建造物23・24があります。 ![]()
大階段を登って建造物33を目指します。 階段の途中にも建造物25・26があります。 寄り道しながらでも、結構息が切れる高さの大階段。 現地ガイドさんは40mと言っていたような・・・。 登りきると正面に建造物33が現われます。
グランアクロポリス 建造物33の周囲はグランアクロポリスと呼ばれています。 建造物33には3つの入口があり、大きな屋根飾りが付いています。 ![]()
![]() 上の石碑の両脇に下の石碑があります。 鳥ジャガー4世の父・楯ジャガー2世と祖父・鳥ジャガー3世。 どちらもボールは捕虜のはず・・・。
建造物33では3つの入口のリンテルも見事です。 鳥ジャガー4世と息子(後の楯ジャガー3世)が「鳥の杖」の踊りを踊っているところ。 ![]() 手に持っているのが「鳥の杖」でしょうか。
他のリンテルも綺麗でした。 こちらは王と王妃のようです。儀式の様子だそうです。 ![]() これも美しい。鳥ジャガー4世が神の小像を手にしています。 ![]() 美しかったので、これもアップで撮ってみました。 ![]()
小アクロポリス ジャングルの中を下ったり登ったりして小アクロポリスに着きました。 現地ガイドさんが居ないと迷いそう・・・。最後はきつい登り道です。 ![]() 小アクロポリスと言っても、かなり立派です。遺跡に説明図がありました。
基壇に続く階段(左下)と基壇の上の建造物で囲まれた中庭(右下)
基壇の上から周囲を見下ろすと、下にも多くの建造物があることが分かります。
建造物のリンテルには美しいレリーフや色のついたものもあって、ちょっとした宝探し気分。 左下は建造物42の鳥ジャガー4世のレリーフ。右下と中央は建造物44の楯ジャガー2世。
国立人類学博物館 遺跡の建造物23で国立人類学博物館所蔵の美しいリンテルを紹介しましたが 国立人類学博物館のマヤ室にはヤシュチランのリンテル・石碑が数多く展示されています。 楯ジャガー2世の戦勝記念の石碑 左下は石碑18・捕虜の髪を掴む楯ジャガー2世、右下は石碑15・ひざまずくのは捕虜となったラカンハ王
リンテル53・儀式にのぞむ楯ジャガー2世と妃(左下)。イク頭蓋骨ではない妃だそうです。 リンテル32・鳥ジャガーー4世が父楯ジャガー2世と母イク頭蓋骨を一緒に描いたもの(右下)
石碑10・鳥ジャガー4世の姿が両面に彫られた巨大な石碑(左下)。裏は保存状態が余り良くありません。 リンテル43・鳥ジャガー4世と妃(右下)。一部欠けていますが、非常に保存状態が良いレリーフです。
左下はリンテル58・鳥ジャガー4世から王権の象徴である王笏を継承する楯ジャガー3世 右下はリンテル9・鳥ジャガー4世が義理の兄弟である偉大な頭蓋骨とはためく杖を交換する場面 偉大な頭蓋骨は鳥ジャガー4世の息子楯ジャガー3世の摂政だったとも言われているそうです。
ヤシュチランの遺跡は探検気分が味わえて見どころたっぷり。 遺跡内のリンテルだけでも見ごたえがありますが 国立人類学博物館のリンテル・石碑の充実度を見ると どんな芸術家集団がヤシュチランにいたんだろうと考えてしまいます。 最初に訪れた時は知識不足で、ずっと再訪したいと思っていました。 念願かなって満足。 中米の遺跡に戻る ![]() 参考文献 古代マヤ王歴代誌(創元社 サイモン・マーティン/ニコライ・グールペ著 中村誠一監修) 古代マヤ文明(河出書房新社ふくろうの本 寺崎秀一郎著) メキシコ国立人類学博物館 日本語版(ボネーキ出版社)メキシコ国立人類学博物館にて購入 古代メキシコ 日本語版(ボネーキ出版社)メキシコ国立人類学博物館にて購入 マヤ 日本語版(ボネーキ出版社)メキシコ国立人類学博物館にて購入 古代マヤ・アステカ不可思議大全(草思社 芝崎みゆき著) マヤ・アステカ遺跡へっぴり気候(草思社 芝崎みゆき著) 基本的には現地ガイドさんの説明に基づいてまとめています。 |
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