テルメズ周辺の仏教遺跡 アフガニスタンとの国境に近いテルメズ テルメズ周辺には数多くの仏教遺跡が残ります。 遺跡と博物館、更に発掘に携わった研究所を訪れました。 2015年9月訪問 写真はファヤズ・テパ
古い仏教遺跡を巡りました。 ファヤズ・テパ ファヤズ・テパ全景
遺跡はストゥーパだけでなく複合的な作りになっています。 タシケントの歴史博物館に説明図と復元図がありました。
ファヤズ・テパのストゥーパ このストゥーパ、中に入ることができます。中には2世紀のオリジナルのストゥーパ。 オリジナルのストゥーパの表面にはかっては絵が描かれていたようです。 タシケントの歴史博物館の写真展示を見ると、法輪か蓮の花のようなものが描かれています。
ストゥーパから見た講堂・中庭付近 写真中央の中庭に面した壁の中央付近が大きく崩落しているのが分かるでしょうか。 この壁の下から美しい釈迦三尊像が発見されました。 その像がこちら。タシケント歴史博物館で展示されています。 タシケント歴史博物館の至宝ともいうべきもの。
お釈迦様の髪の毛がまだ螺髪になっていないのも古い様式の特徴 講堂からストゥーパを見たところ。 中庭の周囲には柱の基礎が残ります。 そして、中庭の真ん中からは手を洗う水桶が発見されました(右下)。 単なる桶ではなく、何らかの儀式に使ったのかもしれません。テルメズの博物館で展示されてます。 食堂に行ってみましたが、正直、何も残っていません。 僧坊の方に移動すると、こちらは色々な部屋があります。 この部屋は四本の柱の基礎が残っていました。 僧たちが暮らした部屋は色々な広さがあります。広い部屋は高僧の間と呼ばれています。 この部屋は小さめでしたが、壁に壁龕が残っていました。仏像を置いたのでしょう。 ファヤズ・テパの壁は壁画で飾られていました。 タシケントの歴史博物館で見ることができます。 僧坊を飾っていた壁画。寺院・仏教の保護者たちと考えられています(1〜2世紀)。
Alexander The Great とあります。アレクサンダー大王? アレクサンダー大王ゆかりの地だから描かれたのでしょうか(1〜2世紀)。 保存状態は悪いものの、ブッダの姿や美しい人物像(1〜2世紀) タシケントの歴史博物館には、このような仏像も展示されていました(1〜2世紀)。 破片からの復元なのでしょうか。説明を聞きそびれましたが、菩薩像? 日本で見慣れた仏像と何か印象が違うと思ったら、指を広げているんですよね。 カラ・テパ遠望 ファヤズ・テパ近くの丘からはカラ・テパ遺跡を眺めることができます。
ズルマラ・ストゥーパ
ダルヴェルジン・テパ
城壁内の仏教寺院跡 36sの金製品が入った壺が見つかった「金持ちの家」 テルメズの博物館の復元展示によると二軒がくっついていたそうです(右下) とはいえ、遺跡を見ても、良く分からない。 その後、かっての要塞・シタデルにも登ったんですが 正直、今の遺跡からは、かっての姿を想像するのは難しく、若干物足りない印象。
教授の書いた本に載っている黄金のネックレスや金の延べ棒 877gの金の延べ棒だけで21個あったそうです。 この研究所最大の見どころは、この「クシャーナ朝の王子」の頭像(1〜2世紀) 実に美しく、かつ、りりしい頭像です。 この帽子はクシャーナ朝の王族が被るものだとのことで「クシャーナ朝の王子」と呼ばれています。 多くの博物館に展示されていますが、教授曰く、これが正真正銘のオリジナル 街の城壁の外にある古い方の仏教寺院の「王族の間」から見つかりました。 教授によると外の寺院には「王族の間」という仏教の保護者・寄進者の部屋があったとのことで そこからは他にも王族の像や寄進者の豪商の像も見つかっています(1〜2世紀)。
教授はダルヴェルジン・テパはクシャーナ朝初期の都だったのではないかと考えているそうです。 また、城壁外の寺院からの仏像の方が小さく、城壁内の仏像の方が大きいのだとか。 仏教の力が大きくなっていったことを示すものなんでしょうね。 当初はかなりギリシャ風の彫刻も、次第に独自の表情に変わっていきます。
こちらは城壁内の仏教寺院の菩薩像(3世紀)。なんともハンサム。 美しいだけでなく白毫部分に金が埋め込まれています。 素晴らしい仏像はあるものの、正直、破壊の跡が痛々しい仏像の方が目に付きます。 ササン朝による仏教の攻撃って、後のイスラム教徒なみです。 この美しい仏頭は、右の下半身だけの像の足元に落ちていたそうです。 3世紀のもので髪が螺髪になってます。 こちらも破壊の跡が生々しい菩薩像(3世紀)。なぜか頭部が綺麗に残ってますが これは頭部を覆っていた漆喰が壊れ、下の粘土部分が出てきているもの。 小さな壁画も展示されていました。 これは仏教に帰依することで子供の病気が治ったというお話を描いたもの。
シルクロードの遺跡に戻る ウズベキスタンの遺跡に戻る 参考文献 興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国(森安孝夫著・講談社) 中央アジアの歴史 新書東洋史(間野英ニ著・講談社現代新書) 文明の十字路 中央アジアの歴史(岩村忍著・講談社学術文庫) 玄奘三蔵、シルクロードを行く(前田耕作著・岩波新書) 基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。 |
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