アクロティリ遺跡と博物館 アトランティスのモデルと言われるサントリーニ島 海底火山の大噴火で埋もれたアクロティリ遺跡 遺跡と遺跡からの出土品を展示する博物館を紹介します。 2016年9月訪問 百合と燕(アテネ考古学博物館)
現在の遺跡は屋根が設けられ、遺跡の間を通路で移動しながら見学する形になっています。
@ 公共的建物?
公共的建物?を飾る化粧石。なぜか建物からはオリーブの木が見つかっています。 この遺跡、2005年に屋根が落ち、柱を立て直すことになりました。 その時、最も深い場所では火山灰が30mも積もっていることが分かったそうです。 A 双角の建物 ちょっと通路から遠いので手を思いっきり上に上げて写真を撮ってみました。
風にそよぐ百合と、飛び交う燕が描かれています。
アクロティリが民家、クレタが王宮や貴族の家という違いもあるのかもしれません。 どちらもそれぞれ魅力的なのですが、違いが面白い。 B ピソスの家 ピソスと呼ばれる大型貯蔵用壺がたくさん見つかった家 アクロティリ遺跡を発掘したマリナトス教授が最初に見つけた場所だそうです。 個人の家は化粧石は建物の角にしか使われず、壁は石が積み上げられただけ。
線文字Aはクレタ島を中心とするミノア文明圏で使用されていた文字 残念ながら、解読されていません。 ピソスのたくさんある家から少し進むと公開されている遺跡の一番奥となるのですが ここからも素晴らしい壁画が見つかっています。 壁画の内容から女性たちの館と呼ばれます。 C 女性たちの館 壁画はサントリーニ島フィラの新先史期博物館に展示されています。 まず、目に留まるのが、この女性。胸を出した姿。女官とも言われます。 等身大とまではいかないと思うのですが、かなり大きな壁画です。
近くには他にも女性や美しいパピルスの壁画 パピルスの壁画はエジプトとの交易が盛んだったことを物語っているんでしょうね。 女性の衣装はクレタに似ていますが、頬紅を強調する化粧はアクロティリの流行でしょうか。 女性たちの館から入口に戻る形で進むと、大きな家に出ます。西の館と呼ばれます。 D 西の館
アクロティリ遺跡の前の土産物屋で買った絵葉書 イルカが踊るように船の周囲を泳いでいます 船が街に到着。街の裏の山には鹿が描かれています。どこなのでしょう。 元々の壁画はかなり大きなもので、幾つもの街に訪れているそうです。 本物見たかった・・・実に興味深い壁画なので非常に残念です。 このような壁画から西の館は船長の家だったと考えられています。 西の館のあたりは遺跡の中に降りることができます。 三角形の広場 三角形の広場は、かっての街の中心だったのではないかとされています。 広場左側の立派な家が西の館。右側が双角の家。 かっての住居の間を歩いていくと、広場というには小さい空間がありました。 粉ひきの広場と広場両側の家EF
ボクシングをする少年(アテネ考古学博物館) ボクシングをする少年は等身大。遊んでいるところ。 左側の少年は貴金属を付けていて裕福な家の子と考えられます。 青い猿(サントリーニ島フィラ・新先史期博物館) 流れるような猿の動き 猿が青いのは想像で描いたものだから。 クレタの猿も青かったけれど、このあたりには猿はいないんだとか。
遺跡入口付近まで戻って来ました。 @の公共的建物の左隣のGの建物も大きな建物です。 G 成人式をした場所?
かってはアテネ考古学博物館に展示されていた「サフランを摘む少女」 これも近年の地震で破損したのか、現在は修復・保存のため公開されていません。 遺跡近くで絵葉書を買っておいてよかった。 実に可愛い。 本物見たかったなあ・・・ 足を怪我してうなだれる女性の壁画。この壁画も今は見れない壁画です。 こういった人々の生活、悲しみを描いた壁画が同時代にあるでしょうか。 現地ガイドさんに、もう少し早く来ればよかったね、と言われました。悔しい。 アクロティリ遺跡は決して規模が大きいものではありませんが 発見された壁画の量や質がずば抜けています。 凄い豊かな街だったことが、びんびんと伝わってきます。 多くの民家が、こんな見事な壁画で飾っていたなんて・・・ ポンペイに先立つこと、約1700年ですよ。凄すぎる。 新先史期博物館
アクロティリの土器は絵柄がシンプル。流れるような筆使いが印象的。
イルカが可愛い 壁画の断片も展示されていました。
同じミノア文明でも、クレタとは少し違う魅力のアクロティリ遺跡 壁画に描かれた人々は、なんとも表情豊か。 しかも、同時代に何人もの絵師がいたような気がします。 アクロティリ遺跡からの出土品は素晴らしいですが 遺跡自体はどうしても地味なので 博物館と合わせて訪れるのがおすすめ。 ギリシャと周辺の遺跡に戻る 参考文献 古代ギリシャ・時空を超えた旅(2016年東博展覧会図録) 図説ギリシャ・エーゲ海文明の歴史を訪ねて 周藤芳幸著 ふくろうの本 古代地中海血ぬられた神話 森本哲郎編 文春文庫ビジュアル版 古代ギリシャがんちく図鑑 柴崎みゆき著 バジリコ株式会社 基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。 |
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