ベンメリア

東のアンコールとも言われるベンメリア。
アンコール・ワットのモデルになったと言われる寺院跡です。
未修復のままの遺跡は、ちょっとした探検気分が味わえます。
2006年12月訪問

写真は崩壊が進む遺跡


ベンメリアのベンとは「池」、メリアとは「花の束」、花束の池という意味のこの遺跡は、アンコール・ワットより20年ほど前の11世紀末から12世紀初めころに建てられたと考えられています。建設には数代の王が関与しましたが、アンコールワットを建設したスールヤヴァルマン2世が主となって建てたということです。

この遺跡は、アンコール・ワットの東約60キロのところに位置します。

コー・ケー方面とプリヤ・カン方面への分岐点にあたることから、アンコール朝時代には重要な場所だったようです。

少し前までは、この遺跡は地雷が多く、道路も悪く、観光で訪れるなんて、とても無理と言われていました。

現地ガイドさんによると2002年までは地雷が凄かったということです。

2006年には地雷の処理が終わり、シェムリアップからの道も整備されて、各国の観光客が訪れるようになっていました。

右の写真は遺跡入口の手前にあったナーガ。
中国人カップルがポーズを付けて延々写真を撮っていて、やっとどいてくれた時に撮った一枚です。

なかなか立派なナーガです。元々は、このあたりから参道だったのでしょう。

もっとも現在の遺跡入口は寺院本来の正面入口ではなく、南側から入ることになります。



遺跡は崩落が進み、瓦礫の山の中を建物の上に登ったりしながら見学することになります。
左下はラーマーヤナのシータ姫が火に身を投じるシーンのレリーフがある破風・
右下は連子状窓が続く建物。かっての回廊部分でしょうか。

   


実は、アンコールワットは、この寺院をモデルに建てられたと言われています。この寺院は規模こそ小さいものの、伽藍の配置などがアンコールワットとよく似ているのだそうです。

アンコールワットと同じように三重の回廊があるほか、十字回廊もあったとか。しかし、ここまで建物の崩落が進んでいると、回廊部分かな、と思われる場所はあっても、かっての建物の姿を想像することは困難です。

それでも、ところどころに残るレリーフは見事です。ガルーダに乗ったヴィシュヌ神らしきレリーフ(左下)や仏像のようなレリーフ(右下)がありました。ラーマーヤナやヒンズー教のレリーフが多いですが、実はこの寺院からは立派な仏像が発見されており、仏教寺院だったと考えられています。

   


こちらは乳海撹拌のレリーフ。




北の経蔵。連子状窓が綺麗です。




ところどころに建物が残っています。デバターが彫られています。




こちらの建物は形が残っていますが、建物内も瓦礫でいっぱいです。





ベンメリアは、その歴史的価値はともかく、今では「探検気分を味わえる遺跡」、という位置づけになりつつあるような気がします。実際、建物の上に登ったり、なかなか楽しいです。

また、最近では天空の城ラピュタのモデルになった場所ということでも人気があるようです(シリアのクラック・デ・シュバリエもラピュタのモデルと聞きましたが・・・、色々とモデルがあるようです)。

私たちのツアーでは、ベンメリアの後、コーケーも見学しました。ベンメリアとコーケーの観光は最近ではセットになっていることが多いようです。


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参考文献

アンコール 遺跡を訪ねる旅 日本語版(ARCHIPELAGO PRESS ディエリー・ゼフィー箸)

基本的に現地ガイドさんの説明をもとにまとめています。