ナポリ

「ナポリを見て死ね」と讃えられながら
一時は観光客も敬遠する地となっていた街
今、再び輝きを取り戻しつつあります。
2017年8月・10月訪問

写真はナポリ湾から見たヌオーヴォ城と王宮


ナポリは紀元前5世紀にギリシャ人の植民都市として生まれました。その後、支配者はローマ帝国・ビザンティン帝国・・・11世紀にはノルマン人と次々に変わりますが、13世紀にアンジュー家がナポリ王国を興すとその都として栄えるようになりました。16世紀にアンジュー家が滅ぶとスペイン支配下に入りますが、18世紀にブルボン家が支配するようになるとナポリはパリに次ぐヨーロッパの大都市となり、絶頂期を迎えることになります。当時ナポリを訪れたゲーテが「楽園」と評したほどです。しかし、1860年にイタリア王国にナポリ王国が併合されるとナポリは地方都市へと転落し、治安も悪化して観光客も敬遠する地となってしまいます。
そんなナポリの治安を復活させたのが20世紀末のバッソリーヌ市長。治安も改善し、世界遺産に登録されたこともあって、今では世界中の観光客で賑わうようになっています。

卵城



ナポリ湾の中に突き出た埠頭の先に建つ卵城。12世紀にノルマン王が建て、その後13世紀からはアンジュー家の居城となりました。卵城という名前の由来は、城を建てる時、「この卵が壊れる時ナポリも滅ぶ」という卵が隠されているから。城の形が卵型とか、そういうことではありません。でも、隠された卵がどこにあるかは今でも分からないんですって。

ナポリ湾に沿って歴史ある建物が並びます。フェリー乗り場からの景色



ヌオーヴォ城

フェリー乗り場近くのヌオーヴォ城。ヌオーヴォとは「新しい」という意味
卵城の後に造られた王の居城・カプアーノ城の後に13世紀に造られた城。



ナポリ湾から国立考古学博物館に向かう途中に立派な広場がありました。

ダンテ広場とアルバ門

16世紀に市場だった場所に立つダンテ像。
広場を半円状に囲む建物には王の徳を擬人化した27の像が並びます。


 左側には1625年に建てられたアルバ門
なんとも優しげな門の装飾

門の下では古本市が開かれていました。


ナポリ国立考古学博物館



ナポリ国立考古学博物館はポンペイからの出土品などを展示する素晴らしい博物館です。
教科書でお馴染みのアレクサンダー大王とダレイオス3世の戦いのオリジナルはここにあります。


ナポリ国立考古学博物館は独立してまとめました。


プリンチペ・デ・ナポリ・ギャラリア

お洒落な通り



スパッカナポリ

ナポリ旧市街を東から西に真っ直ぐ走る道、スパッカナポリ
観光の起点となる広場を目指します。

ジェズ・ヌオーヴォ広場

立派な尖塔が見えて来ました
 
 尖塔の周辺には飲食店のテーブル

18世紀に建てられたインマコラータ(無原罪の聖母)の尖塔です。

スパッカナポリとはナポリをスパッカ―レ(2つに切る)という意味。
日本語のスパッと切ると語感が似てますね。実際、細い道が東西に真っ直ぐ走っています。
スパッカナポリの中心となる通りはビアジョ・デイ・イブレイ通りとトリブナーリ通りで
こちらはビアジョ・デイ・イブレイ通り
西を見た眺め
 
 東を見た眺め

スパッカナポリには古い寺院やお店が並ぶナポリの散策スポット
まずは広場周辺を観光

ジェズ・ヌオーヴォ教会

広場の名前の由来となっているのが、ジェズ・ヌオーヴォ教会。イエズス会の教会で、広場に立っている塔もイエズス会の布教を讃えるものです。

教会の外観は四角錐にカットされた灰色の石が積まれた質素な造り。
この建物は元々は15世紀に建てられた王子所有の宮殿で、16世紀にイエズス会の教会とされたもの。その際、宮殿の外壁をそのまま利用したのだそうです。

灰色で質素な外壁の入口部分だけが柔らかい印象を受けますが、これは後に付け加えられたもの。

一見すると地味なので通り過ぎたくなりますが、実は内部は豪華絢爛。

イエズス会と言えば日本ではフランシスコ・ザビエルですが、彼のように海外の布教に努めた宣教師によって富がもたらされたようです。
イエズス会って本来清貧を旨としていたと思うんですけど、教会を豪華にすると言うのは矛盾しないんでしょうか。まあ、ともかく中に入るとイエズス会が凄いお金持ちであることが実に良く分かります。


入口にはイエズス会の紋章



豪華絢爛な教会内部。バロック様式。



豪華な主祭壇
 
 天井が見事

教会の左右には礼拝堂が並びます。


教会入口の上には巨大なフレスコ画が描かれています


「神殿から追放されるヘリオドロス」



サンタ・キアーラ教会


ジェズ・ヌオーヴォ教会のすぐ近く・・というか斜め前といった場所にサンタ・キアーラ教会はあります。

サンタ・キアーラ教会は14世紀にアンジュー家のロベルト王とサンチョ王妃がフランチェスコ会に寄贈した教会です。

当初はゴシック様式の建物でしたが、18世紀の改装で豪華なバロック様式の教会となりました。しかし、第二次世界大戦中に教会は爆撃を受け、大きな被害を受けました。
現在の姿は爆撃を受けた後、高い天井を持つゴシック様式の建物として再建されたもの。当初の姿で再建されたわけです。

この教会内部はジェズ・ヌオーヴォ教会とは違って簡素な印象。
豪華絢爛な教会では、感動はするものの、どこか美術館に来たような気になってしまいますが、こういった質素・簡素な教会に来ると心が洗われる気がします。

左右の側面には礼拝堂が並んでいます。礼拝堂の上に並ぶステンドグラスの窓が美しい。

簡素な教会内部


主祭壇にはアンジュー家のロベルト1世の墓碑。彼の一族も葬られています。



ステンドグラスが美しい。
   


キアラ女子修道院(クラリッセ)の回廊


サンタ・キアーラ教会を出て左側の裏手に廻りこむと教会付属のキアラ女子修道院(クラリッセ)の回廊があります。実は、この回廊の方が教会より有名な観光地かもしれません。

四角い中庭を囲む回廊にマジョルカ焼のタイルで装飾を施すだけでなく、中庭には十字の形に通路を造り、その通路の両脇にマジョルカ焼のタイルで飾った柱とベンチを置くという構造。

18世紀に造られたものだということですが、マジョルカ焼の鮮やかな黄色や緑が美しい。

これは修道女たちを慰めるためのものでもありました。

修道女は結婚せず生涯独身を通さないといけないのはもちろんですが、彼女らの生活は世俗を離れた修道院での集団生活で、当時は一度修道院に入ると外に出ることはできませんでした。
回廊のタイルには修道女がもはや見ることができない田園風景や人々の日常生活、更にはおとぎ話のような場面が描かれています。外の世界にしばし思いを馳せたんでしょう。

美しい回廊。壁のフレスコ画も綺麗です。女性らしい優しい色合い。
   

中庭のマジョルカ焼のタイルで飾られた柱とベンチ



この美しさは女子修道院ならでは・・・でしょうね。イタリア人はやっぱりセンスが良い。
   


噴火するベスヴィオ火山



猫に餌をやる修道女



村の宴会
孔雀が引く車


美しい回廊を出て通りに戻ります。
通りを散策していると、昔の貴族の館が点在しているのに気が付きます。

立派な門にいたずら書きしてるのがナポリ
 
 松明消し。口に松明を押し込んで消していました。


 ナポリの道化師・プルチネッラ
 サン・ドメニコ・マッジョーレ教会


ニーノ像 ナイル河を擬人化した像



ビアジョ・デイ・イブレイ通りに並行して東西に走るトリブナーリ通りにも行ってみました。

丸いドームのサンタ・マリア・マッジョーレ教会
正面にはナポリで最も古い11世紀の鐘楼。
 
 ブルガドリオ・アダルコ
通称「煉獄」教会

煉獄教会の髑髏のレリーフ



 サン・パオロ・マッジョーレ教会
 ソッテラネア・地下ナポリツアーの入口

ソッテラネアは地下ナポリツアー。ナポリにある地下施設を巡るツアーです。紀元前4世紀のギリシャ植民市時代に地下に建設された導水路。ローマ時代に拡大され、その後はゴミ捨て場になったり、ワインクーラーに利用されたり、第二次世界大戦中は防空壕として利用されました。狭い通路をろうそくの灯りだけで歩いたりするツアーなんですが、特にツアー後半のローマ劇場見学が面白かった。ナポリでは古いローマ劇場を利用して建物が建てられていて、普通の民家の地下にローマ劇場の通路が残っていたりするんです。これはちょっと忍者屋敷みたいで面白かった。


帰りはイタリアの伝統的なクリスマスの飾り・プレセピオの店が並ぶサン・グレゴリア通りを歩いて戻りました。

プレセピオというのはキリスト生誕を描くジオラマ模型のこと。

キリストが生まれた馬小屋と揺り籠りにした飼葉桶、聖母マリア、幼児イエス、ヨセフが基本ですが、凝ってくると、どんどん大きくなります。

各家庭で部品を購入したり、手作りしたりして、どんどん大きくしていくそうです。

東方三博士、天使、村人・・・と人物を増やし、羊などの動物も配置し、馬小屋だけでなく洞窟や山などを作っていくのだそうです。

家庭だけでなく、教会でもプレセピオを作っていて、さすがに教会のものは大きくて立派。

教会の立派なプレセピオを見て創作意欲を刺激させられたりするんでしょうね。人形だけでなく、建物や背景の山などの専門店までありました。

サンタ・キアラ教会のプレセピオ


 お土産屋さんでもプレセピオを売ってました
 プレセピオの人形が並びます


ナポリ、2回訪れましたが、コワイという思いは一度もしませんでした。
ローマの方が治安悪かった気がする。
ホテルからはヴェスヴィオ山を染める朝焼けも見れました。


ナポリ、機会があったら長逗留して
王宮なんかも見てみたい。


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参考文献

ナポリと南イタリアを歩く 小森谷賢二・小森谷慶子著 新潮社 とんぼの本
南イタリアへ!地中海都市と文化の旅 陣内秀信著 講談社現代新書


基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。