ゴゾ島

マルタ共和国第の島ゴゾ
小さな島ながら長い歴史を持つ島です。
美しい景色も見どころ
2017年1月訪問

写真はフェリーから見たゴゾ島


ゴゾ島はマルタ共和国で2番目の大きさの島。2番目と言っても東西14q、南北7qという小さい島で人口は約3万7000人。しかし、小さな島ながら、世界最古の宗教施設で世界遺産にも登録されているジュガンティーヤ神殿や聖ヨハネ騎士団が築いた城壁で囲まれた街チタデル、そして美しい海の風景といった見どころの多い場所です。

ゴゾ島にはマルタ島北西部のチェルケウアからのフェリーで向かいます。
フェリーで約25分。近いのでフェリー乗り場からも見えるそうです。
ただ、ゴゾ島の手前にコミノ島があって、まず目に入るのはコミノ島

コミノ島はマルタ共和国で3番目の大きさの島ですが、面積は僅か3.5ku
それでも2つホテルがあって、観光シーズンは賑わうそうです。
もっとも、定住者はおじいさん1人とおばあさん2人だけだとか・・・

コミノ島の海岸には波の浸食による洞窟などがあって、
遊覧船やダイビングで美しい海を楽しめるのだそうです。



コミノ島の陰からゴゾ島が見えて来ました。



多くの教会が見えます。コミノ島よりは、随分と大きい。



港には観光客待ちのバスがずらり。



私たちもバスに乗り換えて島の観光を始めます。
車窓から豊かな緑とドームが立派な聖ヨハネ教会が見えました。


ゴゾ島は農業が盛ん。マルタ島より土地が肥沃なのだそうです。


チタデル(大城塞)

ゴゾ島中央部にあるヴィクトリアの街はゴゾ島の首都
ローマ時代から島の中心部として栄えていたそうです。
坂の上に建つチタデルを訪れました。



坂を上ると入口です。見事な城壁



入口に復元図が描かれていました。
チタデルは城壁で守られた街。この城壁は16世紀に聖ヨハネ騎士団によって築かれました。

騎士団がマルタ島に入ったのは1530年のことですが、それから間もない1551年にオスマントルコの海賊がゴゾ島を襲い、6000人もの住民を奴隷として連れ去るという大事件が起きます。当時の島民は9000人だったとのことなので、およそ3分の2にあたる人々が連れ去られてしまったわけです。島には老人や病人しか残されなかったとか。

この悲劇をきっかけに騎士団が島を守るために造ったのが現在の大城塞・チタデル。
島民は夜になると、この城塞の中に入って過ごしたのだとか。凄い恐ろしい時代ですね・・・。

 現在の城壁は16世紀から築かれたもの
 発掘作業中


チタデルの中に入ると出迎えるように建っているのが大聖堂
島が騎士団に守られ、再び人口が増えた18世紀に建てられました。
聖堂入口の上にあるのはマリア像



大聖堂内部


一見すると、ドームを備えた聖堂に見えますが、実はこのドームはだまし絵。18世紀にマルタ島ではドームのある聖堂が大流行しており、島民もドームのある聖堂を建設しようとしました。ところが実際に建て始めたら資金難。とてもドームは造れない。でも流行りのドームは欲しい・・・ということから、苦肉の策として一見、ドームがあるように見えるだまし絵を天井に描いたのだそうです。

入口から見た天井
ドームがあるように見えます
 
 近くに行って天井を見ると・・・
ドームに見えたのはだまし絵。上手いですね。


マリア像
 
 キリストの絵ろうそく

大聖堂の脇の細い道を進むと見晴らしの良い場所に出ます。

ドームがあるのは聖ヨハネ教会。海の向こうはマルタ島



緑が豊かです。畑でしょうか。ジャガイモが有名とのこと。


四方に海が見えます。小さな島なんですね・・・。


城壁の上を歩いて廻りました。
廃墟のようになっていますが、島民が夜を過ごした場所かもしれません。



変な形の建物と思ったら、横から見た大聖堂です。
ドームがないのを確認できますし、正面の壁が薄いのにもびっくり。


ドームだけでなく、色々と騙された気がする・・・


 城壁から見た大聖堂正面・チタデル入口付近
 大聖堂の右手には大砲が置いてありました。




ジュガンティーヤ神殿と博物館

ゴゾ島観光で絶対に外せないのがジュガンティーヤ巨石神殿


ジュガンティーヤ神殿は紀元前3600年の大神殿と紀元前3300年の小神殿とという2つの神殿を外壁で囲んだ神殿。大神殿はエジプト最古のピラミッドより1000年近く古いもので、世界最古の宗教施設とされ、世界遺産となっています。当時は車輪も金属もない時代なのに、巨大な石を切り出し、巨石神殿を築きました。内壁は半円状の形で構成され、それを外壁が囲み、内壁と外壁の間に土や石を入れて強度を補強する形となっています。
小さなゴゾ島に、何故こんなに古い宗教施設があるのか。ジュガンティーヤ神殿は必見です。

外壁の石組み
 
 内壁の石組み

巨石神殿の入口には小さな博物館があり、遺跡からの出土品が展示されています。

丸い人物像
右下はかたつむり
 
 神殿から出土した蛇のレリーフ
脱皮する蛇は再生のシンボル


 写真展示ですが
鳥の線画。飛翔する姿が見事
 彩色された人物像
人物像はかっては彩色されていたようです

見どころが多い巨石神殿は独立してまとめました。



アズール・ウインドー

☆アズール・ウインドーは私が訪れた約2ヶ月後の2017年3月8日、嵐により崩落しました☆
以下は、ありし日のアズール・ウインドーの記録です。

ゴゾ島は美しい自然にも恵まれています。
見どころの一つ、アズール・ウインドーに向かいます。
駐車場で車を降りて足元に注意しながら進むと見えて来ました。



アズール・ウインドー
風と波の浸食によって作られたアーチ


アーチの向こうに見える青い海がまぶしい。

ちょっと場所を移動して撮ってみました。


アーチの高さは20m、幅は100m、奥行きは40m
かなり大きなアーチのようです。


ちょっと視線を外すと周囲はこんな風景。左にあるのは騎士団の見張り台。



現地ガイドさんによると、この周囲の見どころは3つ。

1つ目は、何よりアズール・ウインドー。

2つ目が、「将軍の岩」。
左の写真が、その将軍の岩。この岩に自生するコケ科のファンガス・タオリタニスという植物を騎士団が薬として使用していたのだそうです。
騎士団は勝手に草を採られないように、物見の塔まで近くに建てていた(上の写真の左に写ってます)ということなのですが、なんと、実際は、何の効果もない草なのだとか。

でも、現地ガイドさんが地元のドライバーさんから聞いた話では「俺のじいさん、ばあさんは、ドイツ人に売っていた」ということで、結構笑える良い話。現地ガイドさんが言うには、ドイツ人に売っていたというのがツボなんだとか。

そして、3つ目が「インランド・シー」。外海に通じる洞窟によって、海水が内陸部に入り込んだ場所。
海水が温かく、泳ぐのに適した場所というだけでなく、アズール・ウインドーを巡るボートの船着き場にもなっています。


インランド・シー
ボートが戻ってきたところ


自由時間にインランド・シーからボートに乗るか迷ったんですが、お天気はいいけどちょっと風があったので、へたれの私はボートには乗らずに付近を散策してみました。アズール・ウインドー近くの岩場に上ってみたところ、ここからの眺めもなかなかのもの。




崖の下には海水のたまり場がありました。
綺麗な水の色。



アズール・ウインドーは近いうちに壊れてしまうと言われているそうです。
壊れる前に見ることができてよかった。



小さいながら見どころの多い島です。
マルタ島から日帰りで訪れたので観光時間に限界がありました。
オデッセイで歌われたカリプソの洞窟も訪れたかったなあ。


マルタの遺跡に戻る

イタリアと周辺の遺跡に戻る


HOME


参考文献

日本語版マルタ諸島 Miller Distributours Limited

基本的には現地ガイドさんの説明に基づいてまとめています。