ポルト

ポルトガル北部の港湾都市ポルト
リスボンに次ぐポルトガル第二の都市
ポートワインでも有名
2019年5月訪問

写真はカイス・ダ・リベイラ


ポルトガル北部の街ポルトは大西洋に注ぐドウロ川の河口近くに位置します。天然の良港として古代から街が築かれ、ローマ時代にはポルトゥス・カレ(カレの港)と呼ばれており、これがポルトガルの国名の由来ともなっています。古い街で居住区が限られるため人口は約23万人ですが、周囲の街を含めた「ポルト圏」の人口は約160万人。ポルトガル第二の都市です。また、ポルトは18世紀からイギリスへのワイン輸出で賑わい、ワインは「ポートワイン」として有名となりました。

ドウロ川北岸の飲食店が並ぶ地区をカイス・ノヴァ・リベイラと呼び、美しい景観で有名です。

私たちのツアーは、このカイス・ノヴァ・リベイラを眺めるため、ドウロ川にかかるドン・ルイス1世橋を渡って南岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアに行き、景色を楽しんでから、ポートワインのワイナリーを訪れ、その後、再び橋を渡って北岸に戻り歴史地区を散策しながらカイス・ノヴァ・リベイラまで歩いて、昼食後、ドウロ川クルーズも楽しむというプランになっていました。

ポルトの街は見どころが多く、歴史地区には多くの教会や見事な建物が数多く残され、世界遺産となっています。実はドン・ルイス1世橋も世界遺産に追加登録されています。世界遺産だらけの街と言ってもよいかもしれません。

ここではツアーで訪れたドウロ川周辺や散策したバイシャ地区を中心に紹介し、歴史地区のうち中世に建てられたカテドラル、アズレージョ(装飾タイル)が見事なサン・ベント駅、エンリケ航海王子広場に並んで建つ金泥細工が見事なサン・フランシスコ教会とアラブの間など豪華なポルト商人の財力を示すボルサ宮は独立してまとめてみました。     歴史地区はこちら

ドン・ルイス1世橋とドウロ川周辺

サン・ベント駅近くのホテルを出てカテドラルを横目に進むとドン・ルイス1世橋。
橋の上を地下鉄が走ってます。


どこが橋か、ちょっと分かり難いですね。
写真中央のドームのある建物(セーラ・ド・ピラール修道院)は川の南岸に建っています。
北岸の旧市街を守る城壁から修道院の手前くらいまでが橋となります。


橋から覗き込むと、ドン・ルイス1世橋の影が綺麗にドウロ川にかかってました。


ドン・ルイス1世橋は1886年に建設された鉄橋です。パリのエッフェル塔で有名なエッフェルの弟子テオフィロ・セイリグが建設しました。

橋は2階建てで上層は地下鉄と歩行者用、下層は自動車と歩行者用となっています。

ツアーでは、まず往きは下層を歩いて渡り、帰りに上層部を渡ることとなりました。

とはいえ橋から下を覗きこむとかなりの高さがあります。どう下りるのかと思ったら、ギンダイスのケーブルカーという便利なものがありました。

左の写真、城壁の右側に線路のようなものが写っているのがわかるでしょうか。
この線路がケーブルカーの線路。

ポルトの街は丘が多く、ドン・ルイス1世橋の上層部は川の両岸の高台を結び、下層部は低地を結んでいます。その高低差60m。

ケーブルカーの駅は地下にあって、初めはトンネル。トンネルを抜けると、まるでジェットコースターのような急こう配を一気に下りて行きます。
ジェットコースターみたいな速さはないけど、それでもちょっとコワイ。

ケーブルカーを降りると、すぐに橋です。

 下から見たドン・ルイス1世橋
 渡りながら上を見上げてみました。凄い。

橋から見た対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア


ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにはワイナリーが並びます。高台と結ぶロープ―ウェイもあります。
実はヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアは行政区分からするとポルトの隣町なんですって。

橋を渡ってヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアに着きました。


ポルトから出たことになります。
対岸から眺めるカイス・ダ・リベイラ



カラフルな壁にオレンジ色の屋根。実に美しい。
ワイナリーが多いヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアでは川にワイン樽を積んだ船を並べています。



中央に見えるのはクレリゴスの塔。右手高台はカテドラル。



どこを撮っても、まるで絵葉書のような美しさ。



本当に絵になる街です。



ワイナリー


ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアには30ものワイン工場が並んでいて、多くのワイナリーが見学ツアーを行っています。

私たちが行ったのはサンデマン。スコットランド人が創設したワイナリーだそうです。
看板になっている黒マントとサンブレロの男性がトレードマーク。同じ格好をした男性が案内をしてくれました。

ポートワインはドウロ川上流で収穫されたブドウから作られています。ドウロ川上流のワイン生産地域は世界遺産となっているほどのブドウの産地。

ブドウはポルトの酒蔵で熟成されます。最低3年は寝かせるそうです。

ポートワインの特徴は、まだ糖分が残っている発行の途中でブランデーを加えること。これにより酵母の働きが抑えられ、独特の甘みとコクが生まれるのだそうです。

美しい色のポートワイン。飲んでみると非常に強いお酒です。アルコール度数は20度前後だそうで、普通のワインより、ずっと強い。

あんまり試飲すると酔っ払いそう・・・
ワイナリーの近くも散策してみました。

ドン・ルイス1世橋を地下鉄が渡って行きます。
 
 上を見上げるとロープ―ウェイ。


河口に近いアラビダ橋が見えます。



散策の後、ロープーウエィで橋の上層部に向かいました。
ロープ―ウェイを下りたところからの見晴らしも素晴らしい。



近くから見る橋の迫力も凄い。


でも橋の手前の家の屋根が壊れてる・・・これ直した方が観光上良いんじゃないんですかね。

橋を渡ってポルトに戻ります。

歴史地区

カテドラルの横を通って街の中心部へ



カテドラルから5分ほど坂を下れば街の中心サン・ベント駅



サン・ベント駅の手前をドウロ川方面へ。フローレス通りを進みます。
名前のとおり綺麗な通り。
   


 手回しオルガンの大道芸
もこもこしてるのは鳥さん
 通りに見事な建物がありました
教会で博物館になっているみたいです

フローレス通りを10分ほど進むとエンリケ航海王子の像が立つ広場

エンリケ航海王子広場


広場の向こう側の建物はサン・フランシスコ教会(左)とボルサ宮(右)。
どちらも内部が素晴らしい。ポルト歴史地区でまとめました。

エンリケ航海王子広場まで来るとドウロ川はすぐそこです。

カイス・ダ・リベイラ

ドウロ川沿いのリベイラ広場



 広場に立つ洗礼者ヨハネ像
 お洒落なレストランで昼食となりました。


食後の散策
川沿いに飲食店が並びます。木の後ろにドン・ルイス1世橋



リベイラ広場近くから見たドン・ルイス1世橋


川には様々な船が浮かび、色々な舟遊びが楽しめます。
この後、クルーズを楽しみました。

ドウロ川クルーズ

 私たちの船会社はここ。
 ドウロ川、魚も多い。

ドウロ川では多くの船があって色々な舟遊びを楽しめます。私たちが参加したのは1時間弱のクルーズでドウロ川にかかる多くの橋を見ながら上流に行き、途中で向きを変えて、今度は下流の河口近くまで行って戻ってくる、というもの。川は穏やかですが海に近づくと風は強かった。

ドン・ルイス1世橋



船着き場から、まずは上流へ。最初にドン・ルイス1世橋の下を通ります。
ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア側の丘の上に建つセーラ・ド・ピラール修道院の大きさにも驚きました。



次に見えてくるのがインファンテ橋
自動車専用道路



インファンテ橋の先に2つの橋が見えて来ました。



ドナ・マリア・ピア橋とサン・ジョアン橋


手前のドナ・マリア・ビア橋は1877年にエッフェルが建てた鉄橋
元々は鉄道専用橋でしたが、その後サン・ジョアン橋が鉄道橋の役目を引き継ぎました。

遠くに見えるのがクルーズで一番上流にあるフレイショ橋



船はここで向きを変えて、今度は河口を目指します。
大きなクルーズ船が停まってました。1週間かけるドウロ川クルーズもあるそうです。



ドン・ルイス1世橋の近くまで戻って来ました。
ポルト旧市街を守っていた城壁が良く見えます。



船から見るカイス・ダ・リベイラ



下流を目指します。カモメの群れ。風も出て来ました。



川沿いにある大きな建物は税関とのこと。



1番川下にあるアラビダ橋。自動車専用橋。



水平線は大西洋でしょうか。河口が近い。



ここで向きを変えて船は戻ります。
船着き場に近づいた時、サン・フランシスコ教会とボルサ宮が見えました。



バイシャ地区

ポルトに3連泊で自由時間が多いツアーだったので、
サン・ベント駅の北側のバイシャ地区も散策してみました。

サン・ベント駅前のコングレガドス教会


青いアズレージョが美しい。

信号を渡り、教会の前を左に進むとリベルダーデ広場


立派な建物が並びます。広場奥の時計台のある建物が市庁舎。

広場の前を通り過ぎ、更に左に坂を上って行くと正面にクレリゴス教会。



クレリゴス教会の塔は75m。
ポルトガルで最も高い塔だそうです。
 
 近くにはレトロな市電も走ります。
観光客が多かった気がする。

実は、クレリゴス教会まで行ったのは教会の近くにある本屋さん「リブラリア・レリョ」を見てみたかったから。

この本屋さん、店内中央の階段やアールヌーヴォー様式の装飾が美しいことから「世界で最も美しい本屋」に選ばれているのです。

また、ハリー・ポッターに出てくる本屋のモデルとも言われていて、ポルトの観光ポイントとして有名になっているので、ちょっと覗いてみようと軽い気持ちで訪れたのですが・・・・・。

一言で言うと超満員。小さな店の前に列が出来ているので、そこに並べば良いのかと思ったら、まず近くの建物内でチケットを買って、それから並ぶんですって。

近くの建物内のチケット売り場までは行ってみたのですが、ここも長蛇の列だし、そもそも7時までだというので断念しました。

別の日に行った人に聞いたら、やっぱり凄い混んでて入るのに1時間くらいかかったそうです。
正直、ポルトには他にも素晴らしい場所がたくさんあるので長時間並ぶのはもったいない気がしますが、負け惜しみにしかならないかな。

本屋を諦めて、まだ日が高かったのでアズレージョが見事だという教会を巡ることにしました。
サン・ベント駅前のコングレガドス教会も見事でしたが、その前を通り越して坂を上がり
サンタ・カタリーナ通りというブティックなどが並ぶ道を進むと素晴らしい教会が建ってました。

アルマス礼拝堂


信号機のある交差点の角に建っています。
18世紀に建てられた礼拝堂で20世紀初頭にアズレージョで飾られました。
約1万6000枚のタイルが使われているのだそうです。


描かれているのはアッシジの聖フランシスコと聖カタリナの生涯とのこと
車が行き交う中、鑑賞しました。


幾つもの画面が描かれていますが、特に美しい女性が目に付きました。
美人で賢かったという聖カタリナでしょう。

建物横壁のアズレージョ
 
 教会正面、影になってしまいましたが美しい

サンタ・カタリーナ通りって、ひょっとしてこの礼拝堂の聖カタリナに由来しているのかな・・・。
サンタ・カタリーナ通りを戻り、バターリャ広場まで出ると、そこにもアズレージョの見事な教会

イルデフォンソ教会
 2つの鐘楼が印象的
アズレージョだけでなくスタンドグラスもあります 

18世紀に建てられた教会で約1万1000枚のアズレージョが使われているそうです。
イルデフォンソは7世紀のトレドの大司教

実は泊まったホテルはイルデフォンソ教会のすぐ近く
泊まった3日間、毎日、見ることができました。

5月のポルトガル、日が沈むのは8時過ぎ
夕食に出かける時、夕暮れのクレリゴスの塔が美しかった。



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参考文献

図説ポルトガルの歴史 金七紀男著 河出書房新社ふくろうの本
21世紀世界遺産の旅 小学館
るるぶ情報版ポルトガル JTBパブリッシング

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。