ポロンナルワ

シンハラ王朝二番目の都ポロンナルワ
王宮やクワドラングル以外にも多くの見どころがあります。
2011年5月訪問

写真はガル・ヴィハーラ


王宮跡・クワドラングルについてはこちら
ポロンナルワ(王宮・クワドラングル)


ランカティラカ

王宮跡・クワドラングルの北にランカティラカはあります。

   

ランカティラカは13世紀にパラークラマ・バーフ3世によって建てられた寺院です。この寺院の特徴は巨大さ。寺院の奥には巨大な仏像があります。頭は取れているにも関わらず、高さ13mという巨大さ。巨大な仏像を収める寺院は高さ17.5m、幅18m、奥行きは52mという巨大さ。

単に巨大なだけでなく、細部の美しさも見逃せません。
寺院に通じる階段のレリーフ。海の怪物マカラと思われるレリーフや美しい天女。


左は上の写真の天女部分。
右は寺院入口左側です。守門神のレリーフだったのでしょうか。
   


この寺院、煉瓦造りの上に漆喰を塗っています。
面白いのは外壁のレリーフに寺院の姿が彫られていること。
シンナラ建築のゲディゲという様式なのだそうです。
かっての寺院の姿を想像するよすがになりますね。

   

見事な寺院のレリーフ。
かっての寺院は数階建てだったみたいです。





キリ・ヴィハーラ

ランカティラカの近くには多くの仏教遺跡があります。
左はキリ・ヴィハーラ。キリとはミルクの意味。白い漆喰で覆われた仏塔だったようです。
右は名前を失念したのですが、やはり近くにある仏塔。

   


近くには大学の跡もありました。沐浴場も残っています。
   




ガル・ヴィハーラ

ポロンナルワの北にガル・ヴィハーラはあります。
御影石の岩山から彫り出された仏像が並ぶポロンナルワを代表するもののひとつです。
ちょっと巨大すぎて1枚の写真に収めることができなかったので、2枚に分けて撮ってみました。
それでも、かなり後ろに下がらないと撮ることができません。
小さくなりすぎて迫力が伝えられないかも・・・左の写真の壁龕部分が普通の寺院の大きさです。

   

ガル・ヴィハーラの仏像は、左から座像、壁龕内の仏像、そして右側に立像と涅槃仏と並んでいます。壁龕を挟んで、右の涅槃仏と左の座像は、それぞれ独立した印象。かっては仏像を覆う形で木造の寺院があったのではないかと考えられているようです。


左側の座像。瞑想中の釈迦です。高さ4.6m。
穏やかな表情。光背の形も面白い。



壁龕内の座像。
ブラフマンやヴィシュヌに囲まれています。
この壁龕には壁画が僅かに残されています。




右側の立像と涅槃仏。

涅槃仏については争いようがありませんが、立像については色々と説があります。
仏陀が涅槃に入るのを悲しむアーナンダという説もあれば、仏陀自身の姿という説もあります。
現地ガイドさんは蓮の花の上に乗っているから仏陀だと仏陀説を主張していました。
仏陀自身とする説は、人生の辛さを憂う姿なんだとか。
どちらにせよ悲しむ姿という点では共通です。
腕を組む姿からは、なんともいえない憂いといったものを感じます。
それに比べて涅槃仏は穏やかな表情。

   

立像の高さは7m。このように腕を組んでいる仏像の姿は珍しいそうです。
立像の仏像の衣は二重線の繰り返し。これはポロンナルワ期の仏像の特徴なんだとか。
涅槃仏の全長は15m。
涅槃仏の枕の模様は太陽を表しているそうです。

   




ティワンカ・ピリマゲ寺院


ポロンナルワの遺跡の最北端にティワンカ・ピリマゲ寺院はあります。

ティワンカとは体を3つの折り曲げるポーズを言うそうで、この寺院に置かれている仏像は腰と首を曲げたポーズをしています。

頭が失われてしまっているのが残念ですが、なかなか美しい仏像です。

しかし、この寺院の何よりもの見どころは、内部の美しい壁画でしょう。

ポロンナルワは13世紀に再び南インドの侵略を受け、都は略奪を受け、廃墟となります。

廃墟となったポロンナルワを再興するため、パラークラマ・バーフ3世王によって、この寺院には釈迦の前世の善行や釈迦の教えなどが壁画として描かれました。

寺院内部は暗く、フラッシュ禁止なので、懐中電灯を使っての見学となりましたが、驚くほど美しい壁画でした。

決して保存状態は良くないのですが、シーギリヤ・レディとは別の美しさがあります。


菩薩たちなのか、天人・天女なのか・・・冠や首飾りなども美しい。



腕を上げているのは何かを捧げているのでしょうか・・



実に美しい方々・・・・。表情がなんとも言えません。



懐中電灯を使って、アップを狙ってみました。
本当に美しい。シギリヤ・レディとは違う繊細な魅力があります。

   

上手く写真には撮れなかったのですが、ここには飢えた僧に捧げるものを持たなかった兎が我が身を火の中に投じたという説話も描かれています。兎の善行を記念して帝釈天は月に兎の姿を描きます。スリランカでも月には兎がいるわけですが餅をついている日本の兎とは随分違いますね。

この寺院は全くノーマークだったので、実に驚きました。
もっと知られても良い寺院だと思います。
懐中電灯を持ち歩く癖を付けていて良かった・・・。


ポロンナルワ、実に見どころが多かった。
午前中にシーギリヤを見て午後ポロンナルワを観光したのですが
1日かけて、じっくり見てもいいかもしれません。


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参考文献

スリランカ日本語版(BONECHI)
世界遺産を旅する8(近畿日本ツーリスト)
21世紀世界遺産の旅(小学館)

基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。