トルファン かって車師前国・麴氏高昌国・高昌ウイグル国の都だったトルファン 玄奘の大唐西域記はトルファンから始まります。 麴氏高昌国は玄奘のパトロンとも言える国でした。 2015年5月訪問 写真は高昌故城の宮殿址
現在のトルファンの街角
私達のツアーでは天山山脈の北のウルムチからトルファンまでバスで移動しました。 途中、綺麗に見えた天山山脈。 トルファン市近郊の遺跡を紹介します。 高昌故城 高昌故城入口。堅牢な外城
まずは歩いて外城を抜け、高昌故城内に入ります。 広い遺跡なため、昔はロバ車で見学したそうですが、今はカートで移動。 延々と続く外城が見事です。外城の総延長は5.4㎞。高さは10m。 カートで移動中に内城が見えました。 残念ながら、ところどころしか残っていません。 農民が内城の煉瓦を綿畑の肥料に使ってしまったんだそうです。 東南小寺 仏塔が綺麗に残っています。 仏塔の前が仏殿があり、覗くと壁画がちょっとだけ残っていました。 高昌ウイグル国(高昌回鶻国)末期(12~13世紀)のものだそうです。 宮城 かっての宮殿の跡です。
再びカートに乗って移動します。 西南大仏寺 非常に大きな建物が見えて来ました。仏教寺院だそうです。 手前にも多くの建物が残っていました。 かなり厚い壁を抜けて内部に入ります。 正面には主殿が見えます。 主殿の正面には大きな仏塔があります。 かっては大きな仏像が置かれていたのでしょう。 光背の形の窪みが残っています。
この大寺も主殿前の礼拝所の周囲は僧坊となっています(左下)。 珍しいのは入って右側にある円形の建物(右下)。 説法堂
玄奘が招かれた宮殿がどこだったのか 玄奘が講義を行ったのはどこだったのか 今となっては定かではありません。 でも、この高昌故城のどこかだったことだけは確かです。 玄奘が、この地を歩いていたと思うだけで、結構、ロマンです。 大寺を出た正面は巨大な城壁でした。 これは内城だそうです。 このあとカートで入口に戻りました。 ざっと1時間くらいの見学でした。 徒歩でゆっくり見学できたら楽しそうですが、5月でもかなり暑かった。 アスターナ古墳
216号の壁画(ウルムチ新疆ウイグル自治区博物館の写真展示) 人物は金人・石人などと書かれていて、儒教の教えを表わしているそうです。 215号壁画(絵葉書)花と鳥が描かれています。 新疆には居ない鳥が描かれていることから商人の墓と考えられています。 新疆ウイグル自治区博物館の展示品
交河故城
坂道の手前に断崖を使って大きな地図が書かれていました。 右下の南門から入ります。 南門 巨大な南門 交河故城の建物は土を固めて造る版築という建築法で建っています。 この南門からは幅3mの中央大通が北に向って通っています。 城に入ってすぐは大きな建物が多く、案内板では「大型院落区」とありました。 居住区のようです。 しばらく進むと道が東西に分かれます。 西を進むとすぐに大きな建物が見えて来ました。 後で分かりましたが、東に進むと官署区に出ます。 南部仏寺 大きな建物です。見張り台との説もあったけれど、今ではお寺とされているとのこと。 更に道を進むと「寺院区」とあるところに出ます。多くの寺院があったようです。 寺院区を進むと正面に立派な建物が見えて来ました。 中央大塔 塔の基壇が残ります。 この塔の裏手に進むと、大きな建物が見えて来ます。 大仏寺 案内板によると4世紀に建てられた寺院だそうです。 随分と古い寺院です。車師前国時代でしょうか。 凄い大きな建物で、思い切り後ろに下がらないと全景は撮れません。 内部も広い。 広い広場のようになっていて奥に大殿があります。 現地ガイドさんは広場のようなところを礼拝所と言っていました。 礼拝所の手前部分には、かって左右に鐘楼があったそうで方形の基壇が残っています。 礼拝所の周囲は僧坊になっています。
大殿に進むと、内部に塔がありました。 塔には壁龕があります。なんと壁龕に仏像が残ってます(右下)。 大仏寺の裏手東西にやや小さめの寺院、西北仏寺と東北仏寺があります。 西北仏寺 大仏寺に比べれば小さいものの、かなり大きな建物です。 5世紀に建てられ、9~10世紀に改築されたそうです。 この寺の内部は面白かった。 中央に奥殿があるのですが、その左右から通路があって後ろを通ることができます(左下)。 キジル千仏洞の中央柱窟を思い出す構造です。 周囲は僧坊のようですが、地下室もありました(右下)。 東北仏寺 少し離れたところにある東北仏寺 こちらはお寺に通じる参道の左右に建物があったようです。 案内板を撮り忘れましたが、門のような印象を受けます。 内部に入ると正面に塔が残り(左下)、周囲は僧坊になっていました(右下)。 僧坊には井戸のようなものも残っています。 東北仏寺から更に北に進むと塔林があります。 塔林 ちょっと分かりにくいかもしれませんが、中央の塔の周囲にも小さな塔があります。 小さな塔は25基で1組となっていて、全部で4組。 中央の塔と合わせると、実に101もの塔があるわけで、まさに「塔林」です。 遺跡のかなり北まで来ました。今度は遺跡の東側を見学しながら南門に戻ります。 東門 現地ガイドさんが「是非見せたい」と連れて行ってくれた東門 修復してあって、かっての門の様子がよく分かります。
その後、遺跡を見渡せる見晴台へ 左奥に大仏寺が、右奥に東北仏寺と塔林の塔が見えます。 この見晴らし台の付近には赤子の墓地があります。 すぐ近くが官署区(かっての役所街)なのに、なぜ赤子の墓地があるのか、謎だそうです。 官署区 中国の団体さんが来たので、ちょっと待ちました。
ここから南に戻ると南部仏寺付近に出て、南門に戻ります。 交河故城、凄い面白かった。 遺跡好きには絶対おすすめ。 トルファンは実に見どころが多い。 火焔山とベゼクリク千仏洞は別にまとめました。 シルクロードの遺跡に戻る 中国の遺跡に戻る 参考文献 玄奘三蔵 岩波新書 前嶋信次著 玄奘三蔵、シルクロードを行く 岩波新書 前田耕作著 シルクロード・新疆仏教美術 新疆大学出版社 新疆国寶録 新疆人民出版社漢文発行所 基本的には現地ガイドさんの説明を元にまとめています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||